学部・研究科等ごとの目的
国際的に優れた数学力・統計力を基盤に、数学モデリングを通して組織や分野の垣根を越えて各分野で共創し、イノベーションを創発する卓越した数学モデリング人材を育成することを目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
求める人材像
本学位プログラム博士前期課程では、数学、情報科学、経済学などに学問的基盤を持つ学生で、学士課程レベルでの数学の基礎学力が備わり、さらに高度で広範な数学の知識獲得や数学を用いた自らの研究の推進に意欲をもつ学生を求める。特に、高度に発達した数学理論の探究や数学モデリングを用いた応用研究に興味をいだくとともに、異分野や社会における課題にも挑戦し、新たな知見を獲得しようとする意欲のある学生を歓迎する。
なお、「学士課程レベルでの数学の基礎学力」とは、理系の学生を対象として教育が行われる「微分積分学」、「線形代数学」を初めとする、諸科学分野を学習する上で必須となる事項に関する基礎的な学術基盤や学力を指す。通常、理学部数学科等において身に付ける、現代数学の概念の理解を含む「数学力」「統計力」を習得していることを基本的に入学のための要件とするが、習得されていないときには、入学後にトランジション科目を課す。
本学位プログラム博士後期課程では、数学、情報科学、経済学などに学問的基盤を持つ学生で、大学院レベルでの数学の学力および実践的応用力が備わり、さらに高度で広範な数学の知識獲得や数学を用いた自らの研究の推進に意欲をもつ学生を求める。特に、高度に発達した数学理論の探究・構築や数学モデリングを用いた実践的応用の経験を持つとともに、異分野や社会における高度な課題にも挑戦し、新たな知見を獲得しようとする意欲のある学生を歓迎する。
入学者選抜方法(博士前期課程、博士後期課程)
基礎的な学力及び学問的な基盤を確認するために、原則として志望者には、数理学府、システム情報科学府、経済学府、等の既設専攻の入学者選抜を受験することを求める。既設専攻において合格者を決定した後、本学位プログラムを志望する者に対して、当学位プログラムへの適性を判断するために、出願理由書、推薦書等による書類審査及び口頭試問による選抜を行う。
なお、社会人学生、外国人留学生も受け入れるが、上記選抜方針は変わらない。
また、外国人留学生の日本語もしくは英語能力については、口頭試問において確認する。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
昨今の数学に対する社会からの強いニーズに応えるべく、国際的に優れた数学力、統計力を基盤に、数学モデリングを通して産業界や諸科学分野の研究者と組織や分野の垣根を越えて共創して、大学でも企業でも社会を変えるイノベーションを創発することができる、卓越した数学モデリング人材「マス・フォア・イノベーション プロフェッショナル」を育成する、博士課程一貫の文理横断型学位プログラムです。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
教育の目的と養成する人材像
人工知能技術の爆発的発展により、データサイエンスは学術、技術、ビジネス、生活のあり方を激変させている。その柱となる数学の特長は、不変な理論的基盤を提供する厳密性と、変化する状況に柔軟に対応できる汎用性である。数学には、これらの強みを最大限に生かし、他分野との積極的な協働を通して、人類社会の未来を切り拓く役割が期待されている。特に、現実世界の諸問題を数学モデルとして定式化することにより数学的解析を可能にする数学モデリングは、現代社会の広範な領域において客観的に検証可能な方法論として重要な位置を占める。
本学位プログラムの連係協力学府である数理学府、システム情報科学府、経済学府における教育・研究は「数学モデルを用いて自然界や社会の様々な現象を解析して理解を深める」という点において本質的な共通項を持つ。本学位プログラムの博士後期課程においては、これまで培われた各連係協力学府の優れた専門的な教育・研究を基盤に、数学モデリングを通して組織や分野の垣根を越えて共創し、自らの専門分野の研究を高度なレベルで行い、国際的な視野でイノベーションを創発することのできる卓越した数学モデリング人材を育成する。博士前期課程においては、その前段階として、各連係協力学府の教育・研究を基盤に、基本的な数学モデリングを通して多様な組織や分野と共創して自らの専門分野の研究を行い、イノベーション創発に貢献できる人材を育成する。
本学位プログラムは、主として数理学、システム情報科学、経済学を学ぶ学生の中から優れた数学的資質と他分野との共創に意欲を持つ学生を選抜し、基盤となる学問分野の学びを発展させながら、「数学力」、「統計力」、「モデリング力」、「共創力」、さらにそれらを統合してイノベーションを創出する「創発力」も養う。(この5つの力を以下MFF = Math-Five-Forceと称す。)ダ・ヴィンチプログラム設立の趣旨に基づき、各学生が学問的必要性や興味に応じて分野を横断した様々な課題の中から選択して学習と研究を進められるように、マルチメンター制を併用した柔軟で個別的な研究指導体制を敷き、「数学モデリング」を共通項としてカリキュラムを編成する。
本学位プログラムのカリキュラムは連係協力学府での専門的教育課程を基盤とし、高度で先端的な数学モデリングの技術を習得し、それを用いて他分野との共創の経験を積むための科目を設定する。連係協力学府での専門的教育課程に相応する科目として「講究科目(セミナー)」と「専攻教育科目」を置く。また、システム情報科学、経済学を学ぶ学生に対して、現代的な数学を運用する共通の基礎力を養う「トランジション科目」を置く。そのうえで、本学位プログラムの卓越性を保証する中核科目として
高度で先端的な数学モデリングの技術の基盤となる、広範かつ発展的な「数学力」・「統計力」を涵養する「基礎科目」(博士前期課程)
実践的な場面で、数学モデリングを行う「モデリング力」及び、他分野との「共創力」を涵養する「インターンシップ科目」(博士前期課程、博士後期課程)
研究課題や研究の方向性について、組織や分野の垣根を越えて分かりやすく説明することのできる力を養う「プレゼンテーション科目」(博士後期課程)
を置く。
博士前期課程では、以下の30単位以上を修得し、かつ修士論文審査及び最終試験に合格することを修了要件とする。
基礎科目 4単位以上(「数学共創基礎Ⅰ~ⅩⅩ」の4単位を含む)
インターンシップ科目 4単位以上
講究科目 10単位
各連係協力学府専攻教育科目 12単位以上
(学位の分野と関連する学府の専攻教育科目※)
※数理学府数理学専攻、システム情報科学府情報理工学専攻・電気電子工学専攻、経済学府経済工学専攻それぞれの開設科目の中から、体系的かつ効果的学修が可能となるよう、指導教員を中心に履修指導の上、履修科目を適切に選択。
(以下の科目も「各連係協力学府専攻教育科目(12単位)」に含めることができる)
トランジション科目(システム情報科学府及び経済学府経済工学専攻に係る入学者選抜に合格した者に限る。)
基礎科目のうち4単位を超えて履修する科目
指導教員が必要と判断する他学府(連係協力学府を除く)の授業科目
博士後期課程では、以下の16単位以上を修得し、かつ、博士論文審査及び最終試験に合格することを修了要件とする。
インターンシップ科目 6単位以上(「数学創発モデリング」の2単位を含む)
プレゼンテーション科目 2単位
講究科目 8単位