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法学研究科(専門職学位課程)(法科大学院)

 
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教育研究上の目的と3つの方針

学部・研究科等ごとの目的

一橋大学法科大学院は、これからの法曹に必要な資質について、
「豊かな人間性や感受性、幅広い教養と専門的知識、柔軟な思考力、
説得・交渉の能力等の基本的資質に加えて、社会や人間関係に対する洞察力、人権感覚、
先端的法分野や外国法の知見、国際的視野と語学力等がいっそう求められる」との
司法制度改革審議会意見書(2001年)の提言を踏まえ、独自の目標として、
「ビジネス法務に精通した法曹」、「国際的な視野を持った法曹」、「人権感覚に富んだ法曹」
という3つの資質を兼ね備えた法曹を養成することを目指しています。

入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)

 一橋大学法科大学院では、以下の3つを基本的なアドミッション・ポリシーとしています。
1 公平性・開放性・多様性を確保する。
 法科大学院は、試験のみによる知識偏重からプロセスによる法曹養成への転換を目指して始まりました。専門職学位課程で初歩から法を学び、3年(法学既修者認定を得た者は2年)の就学期間を経て司法試験受験資格が与えられ、司法試験の合格者は、1年の司法修習の後、法曹資格を与えられます。法学に純化した学習者だけでなく、広く人材を受け入れることが理念とされています。
 一橋大学法科大学院は、このような設立の理念を尊重し、入学者選抜において何よりも、公平性・開放性を重視しています。出身大学や学部、専門の如何を問わず、全国の有為の人材を求めます。それぞれ身につけた素養が法曹として生かせる基盤となっているか、法科大学院において学生が相互に高め合う存在として意欲的に取り組めるか、司法試験合格が目標ではなく、法曹としての高い志をもっているかを評価します。このことが、結局、人材の多様性をもたらすものと考えています。
2 法律学の基礎的な学識を有する者とともに、多様な知識・経験を有する者を受け入れる。
 法は、社会のあらゆる分野に及んで、人の生活に関係しています。公正な法の運用は、複雑化した現代社会においてますます重要性を増しています。他方で、法の扱う対象も、法の体現すべき正義も、利害関係の対立も、時代とともに動いていきます。正確な法律学の学識ある者が求められるのはもちろんですが、このような状況において、法曹としての的確な活動が期待されるとき、必要なのは、現時点における細かい知識の豊富さよりは、時代を超えて維持されるであろう、また、維持されるべきである基礎的な学識であり、その応用力です。また、扱う領域が広いこと、他方で、専門化が進む社会において法律家にも専門性が求められる場面が増加することなどを考慮すると、多様な知識・経験を土台として有する人々が、法的知識・技能を身につけることが重要だと考えられます。
 一橋大学法科大学院は、このような考え方に基づき、問題意識をもって丁寧に法律を学んできた者と、法については素人であるが、それぞれの分野での知識を蓄え、経験を積んできた人々を広く求めています。
3 社会人・他学部出身者については、活動実績及び学業成績を適確に評価することにより、専門職大学院設置基準が求める程度の人数が入学できるようにする。
 専門職大学院設置基準は、入学者の3割が社会人・他学部出身者となるように努力目標を設定しています。これは、上記の1・2の理念を現実のものとするための基準です。
 一橋大学法科大学院では、1に掲げたような公平性に留意しながら、2に示した理念を体現すべく、社会人としての活動実績を適確に評価するように工夫し、他学部出身者についても、各人がそれぞれの分野で取り組んだ学業の成果を法曹としての学習の土台として適切に評価するように努めています。

教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)

一橋大学法科大学院は、(1) ビジネス法務に精通した法曹、(2) 国際的な視野をもった法曹、(3) 人権感覚に富んだ法曹という、3つの資質を兼ね備えた法曹を養成することを目指しています。この教育目標を達成するため、学生が法学の基礎的な理解を確実に習得したうえで、それを現実の法的問題の解決に活かせるだけの応用力と創造力を持ち、本学の目指す特色ある法曹として育つよう、以下のようなカリキュラムを用意しています。
法学未修者を対象とする1年次は、憲法・民法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法の5科目を配置し、その後の学習の基礎・土台を確固とする方針をとっています。これに、法学を初めて学ぶ人に法情報へのアクセスの方法や判例・文献の読み方から指導する「導入ゼミ」、近視眼的な法学習を相対化する「比較法制度論」などを加えて、基礎知識の定着と法的な考え方・法的な議論のあり方を体得させることを目標とします。
次に、2年次以降には、1年次配当の5科目については実務法曹としての活動を念頭に知識の確認をしたうえで、問題志向の課題についてソクラテス・メソッドやケース・メソッドなどを用いて、それを現実の問題を解決するために使えるだけの応用力の養成を目指します。このほか、行政法・商法などの科目については、1年次に固めた基本科目の上に、効率的かつ立体的に学習するほか、多彩な選択科目群を提供して、指導的法曹としての活動の基盤形成に資するようにします。
また、こうした基盤をもとに2年次以降は、法律実務科目も多く学んでいくことになります。2年次のエクスターンシップは、法曹への意識を高め、学習への動機づけとなり、3年次に民事・刑事両方の模擬裁判を実施することは、実務的意義はもちろん、基礎知識の定着という意味でもきわめて有効であると考えています。そのうえで2年次後期以降、「民事裁判基礎」、「法曹倫理」、「民事法務基礎」、「刑事実務概論」、「模擬裁判(民事・刑事)」など実務科目を学び実務的な能力を身に付けてもらうようにします。
さらに、3年次には、多角的・実践的視点のみならず、きわめて少人数で特定テーマについて掘り下げた研究を行う「発展ゼミ」や、研究者志望をもつ者にリサーチペーパー執筆を伴う基本的研究指導を行う「法学研究基礎」を置くことにより、法学教育に厚みを与え、学生の多様なニーズに応えます。
学生の多様な関心を育て、実務を行う上で役に立つ広範囲な知識を身につけられるように、幅広い科目を提供します。このうち、本法科大学院の特色としての教育理念との関連で特徴ある例を挙げれば、次のようなコースや科目があります。
経営管理研究科の協力を得て、ビジネスロー・コースを3年次に設けています。このコースは、特に企業・ビジネス法務に関心の強い学生を対象に設けられたもので、実践ビジネスローなど、高度な専門知識の習得を目的にしたものです。週に1日、千代田キャンパスで最新のビジネス現場を踏まえた実践的なカリキュラムによる授業が行われます。
「比較法制度論」、「外国法文献読解」など国際的視野を養う科目を設けます。また、母国の弁護士資格を持つオーストラリア人や、日本商社のイギリス現地法人で法務関係や経営を経験した人材を専任教員に登用しており、こうした教員の行う授業を通じて国際社会が求めるリーガルマインドや実務的な法のあり方を学びます。また、法学研究科が招く外国人客員教授から教育上の協力・参加を得ます。
「発展ゼミ」の中に人権実践に関するリーガルクリニック(人権クリニック)を設け、21世紀社会における人権とは何かを、実社会や実務と現行法の関連の中で学んで行きます。

学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)

一橋大学法科大学院は、一橋大学研究教育憲章が掲げる、「豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成する。」との教育理念を受けて、社会の各分野において、法に関係する指導的役割を担うことのできる人材、幅広い教養を備えた公共的志操の高い法律家の育成を目指しています。これは、現在の日本社会が抱える法的課題を、法律家として、積極的に引き受け、それに対する解決策を、現状を十分に踏まえつつも、法の理念である正義の観点から、現状を評価し、場合によっては現状を打破する方向での革新的な構想を現実的な形で提案しうる人材の育成を目指しているということです。これを一般的な目標としながら、さらに具体化した目標として、(1)ビジネス法務に精通し、(2)広い国際的視野を持ち、(3)豊かな人権感覚を有する法律家の育成を目指しています。
一橋大学法科大学院は、上記目標を達成するために必要なカリキュラムを組んでおり、そのカリキュラムに基づいて、各学年次において、進級に際して、定められた必要単位数を取得するとともに、必修科目について設定されたGPA 基準を充たすことを厳格に求めており、こうした年次要件を最終的に充足した者に対して、法務博士の学位を授与することにしています。法科大学院に直接接続する目標は司法試験の合格であることはもちろんですが、一橋大学法科大学院修了者は当然にその水準を満たし、さらに各人の働く分野において指導的役割を果たせるだけの創造的な実践能力を有し、社会に貢献しようとする高い志をもつ人材であることが求められます。