学部・研究科等の特色等
多職種協働(IPW:Interprofessional Work)は、全ての人の希望である安全・安心・良質な保健医療を提供する新たなチーム医療の方略として推奨されている。そのための人材を育成することを目標に、本学では平成19(2007)年度以降「協働の知を創造する体系的IPW教育」を展開している。本学ではIPWを推進するための教育プログラム(以下、IPE(Interprofessional Education)プログラム)として、知識(認知領域)、スキル(運動領域)、態度(情意領域)の3領域のコンピテンシーを、段階的に科目に組み入れ、少人数のIP-PBL(Interprofessional-Problem/Project Based Learning:異なる専門職、専攻学生間の相互作用を生じさせながら問題解決の学習を行うこと)を活用したグループ学習によって習得するプログラムを開発し展開している。このプログラムは、医学科・保健学科の4専攻・近隣の神戸薬科大学の学生を対象とする体系的かつ正課での新たなIPEプログラムであり、このプログラムでは特に他の専門職についての正しい、適切な理解を促すためのコミュニケーションに重点がおかれている。また、このプログラムでは、経験学習論(経験に基づく学習とリフレクション学習)および成人学習論を理論基盤として展開している。本学のこのIPEプログラムは、IPEプログラム開発のための3P(Presage(計画)・Process(実施)・Product(成果))に基づいて神戸大学医学部保健学科が独自に開発したものであり、全国の大学のIPW教育のモデルとなっている。現在、他大学では、多職種協働教育が講義・演習などで展開されているが、それら多くは、これらの理論基盤に基づいたIPEプログラムではなく、さらにはプログラムの評価もふまえた展開はなされておらず、これらの点からも本学のIPW教育は他大学と一線を画するものである。