学部・研究科等ごとの目的
本学部は、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、既に社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストを養成することを目的とします。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、以下のとおり入学者選抜を実施します。
【求める学生像】
本学部では、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの教育を通じて、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指すことを使命としています。
その目的の実現のため、本学部では、社会科学とデータサイエンスの両方を専門的に学ぶとともに、それらを融合させるカリキュラムを用意しています。その教育課程では、文系・理系双方の知識が必要とされます。併せて、現実の社会における様々な課題を発見・解決しようとする積極的姿勢や、様々な人びととの適切なコミュニケーションも求められます。
よって本学部では、文系・理系にかかわらず、堅固な基礎学力に加え、以下のような知識や能力を備えた入学者を受け入れたいと考えます。まず、本学部における広範な科目での学びの基礎となる数学の堅固な基礎知識とそれに基づく論理的な思考力です。また、本学部で様々な人びととの学びを通じて社会科学とデータサイエンスの知識を修得するためには、日本語及び英語を用いた読解力、説明力、表現力、思考力が必要です。
それらに加え、社会科学とデータサイエンスの知識を融合させる上では、入学前の様々な機会を通じた学習の結果として、社会において数理的なものの考え方を応用する能力や、情報技術の活用について自ら試行する姿勢を備えていることも望ましいと考えています。
【入学者選抜の基本方針】
上記のような能力を備えた学生を選抜するため、本学部では一般選抜及び学校推薦型選抜を実施します。
すべての選抜区分において、基礎学力が確かに身に付いていることを確認するため、大学入学共通テストで6教科の受験を課します。併せて、調査書を通じて学びへの意欲を確認します。
それに加えて、一般選抜前期日程では、上記の能力を幅広く確認するため、第2次試験で数学・国語・英語・総合問題を課します。
また、一般選抜後期日程では、特に数学・英語において上記の能力が高い学生を選抜するため、第2次試験で数学・英語の試験を課し、数学では数学Ⅲの範囲の問題も出題します。
そして、学校推薦型選抜では、外国語、数学、情報学、統計学などの特定の分野における深い学びを資格・検定試験の結果で確認するとともに、応用力や学びへの姿勢を確認するため、小論文、面接試験、自己推薦書、推薦書を用いた選抜を実施します。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、ディプロマ・ポリシーに示す能力・資質等を修得させるために、以下のとおりの教育課程編成の考え方、学修内容及び学修方法、学修成果の到達目標、学修成果の評価方法により教育課程を実施します。
1.教育課程編成の考え方
(1)「全学共通教育科目」では、以下のように科目を配置します。
・本学部の卒業生には、現代社会における様々な状況において、ビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行することが求められることから、多様な背景を持つ他者とのコミュニケーションを可能とする知識・スキルを修得させるため、「外国語科目」に必修科目を設定します。
・本学部の卒業生には、「データサイエンスの体系的な知識」を修得することが求められることから、データサイエンスを学修する上での導入的知識を確実に修得させるため、「数理・情報科目」に必修科目を設定します。
・その他、卒業生が現代社会における様々な状況において活躍するために必要な、専門分野内外の幅広い知識を修得させるため、一定以上の「全学共通教育科目」を、各々の興味・関心に基づき選択・修得させます。
(2)「学部教育科目」では、以下のように科目を配置します。
・本学部の卒業生に求められる、社会科学とデータサイエンスの知識を融合できることと、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できることの実例を、学生に早期に提示するため、1・2年次に、ソーシャル・データサイエンスという学問領域を理解するための授業科目や、社会においてデータサイエンスの知識を実践する上での倫理や法的課題を学ぶ授業科目を、必修科目に設定します。
・本学部の卒業生に求められる、「ビジネス領域の体系的な知識」を修得させるため、学部導入科目(1・2年次配当)、学部基礎科目(2・3年次配当)に、「経営学・経済学系科目」群として複数の授業科目を設定します。また、学部発展科目(3・4年次配当)に、企業経営の課題を洞察しイノベーションを図るための「ビジネス・イノベーション分析科目」として、社会科学とデータサイエンスの知識を融合させて取り組む事例に基づく複数の授業科目を設定します。これらの授業科目は、各々の興味・関心に基づく履修科目の選択を可能にしつつも、一定の体系性を担保するため、選択必修科目に設定します。
・本学部の卒業生に求められる、「社会課題領域の体系的な知識」を修得させるため、学部導入科目(1・2年次配当)、学部基礎科目(2・3年次配当)に、「法学・政治学・その他の社会科学系科目」群として複数の授業科目を設定します。また、学部発展科目(3・4年次配当)に、社会課題や政策効果を洞察し解決策や改善策を探る「社会課題解決科目」として、社会科学とデータサイエンスの知識を融合させて取り組む事例に基づく複数の授業科目を設定します。これらの授業科目は、各々の興味・関心に基づく履修科目の選択を可能にしつつも、一定の体系性を担保するため、選択必修科目に設定します。
・本学部の卒業生に求められる、「データサイエンスの体系的な知識」を修得させるため、学部基礎科目(2・3年次配当)及び学部発展科目(3・4年次配当)に、「統計学科目」「情報・AI科目」「プログラミング科目」として複数の授業科目を設定します。これらの授業科目は、各々の興味・関心に基づく履修科目の選択を可能にしつつも、一定の体系性を担保するため、一部の授業科目を必修科目に、その他の授業科目を選択必修科目に設定します。
(3)本学部の卒業生に求められる、「ビジネス領域の体系的な知識、社会課題領域の体系的な知識、データサイエンスの体系的な知識を融合させ、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる能力」を修得させるため、PBL演習(PBL: Project-Based Learning)を3年次必修とし、企業や政府機関等で実際に行われているデータ分析に直接関わり、社会科学とデータサイエンスの知識を実践的に融合する機会を提供します。
(4)カリキュラムの中核である3・4年次必修のゼミナールでは、本学部の卒業生に求められる、「ビジネス領域の体系的な知識、社会課題領域の体系的な知識、データサイエンスの体系的な知識を融合させ、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる能力」を修得させるため、担当教員や他学生との協働を通じて、自発的に研究テーマを設定し、本カリキュラムの成果の集大成となる学士論文を執筆する機会を提供します。
(5)「他学部教育科目」では、卒業生が現代社会における様々な状況において活躍するために必要な、専門分野内外の幅広い知識を修得させるため、他学部が開講する科目へ幅広く履修機会を認め、社会科学の広範かつ体系的な知識を涵(かん)養します。
以上の方針に基づいて編成したカリキュラムについて、ファカルティ・デベロップメント(FD)等を実施することで、常に教育の質の改善に努めます。
2.学修内容及び学修方法
本学部では、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づき、全学共通教育科目及び学部開講科目を通じて、以下の点を重視します。第一に、系統的な学修を可能とする教育課程を提供し、社会科学とデータサイエンスの体系的な知識を修得させます。第二に、少人数の実践的な演習科目を提供し、社会科学とデータサイエンスの知識を融合できるようにします。第三に、本学の伝統であるゼミナールを核とする少数精鋭教育を通じて、主体的・協調的な学びの態度を涵養します。
学生が自らの将来計画に基づいて適切な科目履修を行うことができるように、科目体系図・履修モデル並びにすべての科目の授業科目の概要、到達目標、授業内容及び評価方法等を明記したシラバスを示します。また、Webシステム等を利用して、授業の事前及び事後の学修の指示や参考文献を示すなどして、学生の学修を支援します。なお、研究活動上の不正行為を防止するため、全学生を対象として、研究倫理教育を実施します。
3.学修成果の到達目標
本学部では、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指します。
そのため、本学部での学修を通じ、ディプロマ・ポリシーに掲げる(1)ビジネス領域の体系的な知識、(2)社会課題領域の体系的な知識、(3)データサイエンスの体系的な知識、(4)(1)~(3)を融合させ、ビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる能力、を修得させます。それにより、社会科学とデータサイエンスの知識を融合することと、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新や社会課題の解決に対する方策を提案・実行することができるようになることが、本学部での到達目標です。
4.学修成果の評価方法
各科目の学修成果は、科目の特性等に応じ、定期試験、レポート、授業中の小テストや発表を含む平常点などの方法で評価することとし、具体的な評価の方法はシラバスにおいて科目ごとに明示します。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
一橋大学ソーシャル・データサイエンス学部は、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、社会科学とデータサイエンスが融合するソーシャル・データサイエンスの学問分野において、その考え方を修得し、社会に存在する課題を解決できるソーシャル・データサイエンスのゼネラリストの養成を目指します。
本学部の卒業生には、社会科学とデータサイエンスの知識を融合できることと、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できることが求められます。
よって本学部では、以下1.に掲げる能力及び資質等を修得していることを、2.に示す方法で確認し、卒業の認定を行い、学士(ソーシャル・データサイエンス)の学位を授与します。
1.修得する能力・資質等
(1)ビジネス領域の体系的な知識
(2)社会課題領域の体系的な知識
(3)データサイエンスの体系的な知識
(4)(1)~(3)を融合させ、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる能力
2.能力・資質等の修得・判定方法
(1)本学部が考える「ビジネス領域の体系的な知識」とは、導入・基礎・発展と段階的に配置された経営学・経済学関係の授業科目を、系統的に履修することを通じて修得されるものです。よって、各々の興味・関心に基づき履修した、経営学・経済学関係の導入・基礎レベルの授業科目から修得した基礎的知識を踏まえて、ビジネスの革新に関する発展レベルの授業科目から発展的知識を修得したことをもって、同能力・資質を修得していると判定します。
(2)本学部が考える「社会課題領域の体系的な知識」とは、導入・基礎・発展と段階的に配置された法学・政治学・その他の社会科学関係の授業科目を、系統的に履修することを通じて修得されるものです。よって、各々の興味・関心に基づき履修した、法学・政治学・その他の社会科学関係の導入・基礎レベルの授業科目から修得した基礎的知識を踏まえて、社会課題の解決に関する発展レベルの授業科目から発展的知識を修得したことをもって、同能力・資質を修得していると判定します。
(3)本学部が考える「データサイエンスの体系的な知識」とは、導入レベルの数理・情報系の授業科目及び「統計学」「情報・AI」「プログラミング」関係の基礎的・発展的な授業科目を、系統的に履修することを通じて修得されるものです。このうち、数理・情報系の導入的知識と、「統計学」「情報・AI」「プログラミング」の基礎的知識は、全学生が共通して修得する必要があります。よって、本学部が指定する導入レベルの数理・情報系の授業科目及び基礎レベルの「統計学」「情報・AI」「プログラミング」の授業科目から修得した基礎的知識を踏まえて、各々の興味・関心に基づき履修したデータサイエンスに関する発展レベルの授業科目から発展的知識を修得したことをもって、同能力・資質を修得していると判定します。
(4)本学部が考える「ビジネス領域の体系的な知識、社会課題領域の体系的な知識、データサイエンスの体系的な知識を融合させ、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できる能力」とは、各領域の体系的な知識を、具体的な課題解決のために融合させる経験を通じて修得するものです。よって、本学部が指定する演習科目の履修を通じて具体的な課題解決の経験を積み、学士論文の審査に合格したことをもって、同能力・資質等を修得していると判定します。
(5)(1)~(4)で修得が確認された能力・資質等は、あくまで最低限のものです。本学部の卒業生には、現代社会における様々な状況において、社会科学とデータサイエンスの知識を融合できることと、社会で蓄積されるデータを用いて、ビジネスの革新と社会課題の解決に対する方策を提案・実行できることが求められます。よって、各々の興味・関心に基づき幅広い授業科目を履修し、その他本学部が定める要件を満たしたことをもって、本学部の卒業を認定し、学士(ソーシャル・データサイエンス)の学位を授与します。