学部・研究科等ごとの目的
特定の専門分野に偏らない総合的な視野を獲得させるリベラル・アーツ教育を行い、同時に専門課程に進むために必要な知識や知的技能を身につけ、専門的なものの見方や考え方の基本を学びとらせることを目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
東京大学の使命と教育理念
1877 年に創立された我が国最初の国立大学である東京大学は、国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野をもった市民的エリート」(東京大学憲章)を育成することが、社会から負託された自らの使命であると考えています。このような使命のもとで本学が目指すのは、自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに、国際的な広い視野を持ち、高度な専門知識を基盤に、問題を発見し、解決する意欲と能力を備え、市民としての公共的な責任を引き受けながら、強靭な開拓者精神を発揮して、自ら考え、行動できる人材の育成です。
そのため、東京大学に入学する学生は、健全な倫理観と責任感、主体性と行動力を持っていることが期待され、前期課程における教養教育(リベラル・アーツ教育)から可能な限り多くを学び、広範で深い教養とさらに豊かな人間性を培うことが要求されます。この教養教育において、どの専門分野でも必要とされる基礎的な知識と学術的な方法が身につくとともに、自分の進むべき専門分野が何であるのかを見極める力が養われるはずです。本学のカリキュラムは、このように幅広く分厚い教養教育を基盤とし、その基盤と有機的に結びついた各学部・学科での多様な専門教育へと展開されており、そのいずれもが大学院や研究所などで行われている世界最先端の研究へとつながっています。
期待する学生像
東京大学は、このような教育理念に共鳴し、強い意欲を持って学ぼうとする志の高い皆さんを、日本のみならず世界の各地から積極的に受け入れたいと考えています。東京大学が求めているのは、本学の教育研究環境を積極的に最大限活用して、自ら主体的に学び、各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは、上に述べたような本学の使命や教育理念への共感と、本学における学びに対する旺盛な興味や関心、そして、その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で、入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも、学校の授業の内外で、自らの興味・関心を生かして幅広く学び、その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。
入学試験の基本方針
したがって、東京大学の入試問題は、どの問題であれ、高等学校できちんと学び、身につけた力をもってすれば、決してハードルの高いものではありません。期待する学生を選抜するために実施される本学の学部入学試験は、以下の三つの基本方針に支えられています。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
東京大学教養学部前期課程は、以下の方針に基づき教育課程を体系的に編成・実施します。
・ 全学生を対象とした教養学部前期課程は、東京大学における学士課程一貫教育の前半部分に位置付けられるものです。ここでは、基礎科目、展開科目、総合科目、主題科目の科目区分を設け、科類ごとに学生が取得すべき必要最低単位数を定めています。
・ 基礎科目は、学士課程における学習の揺るぎない基盤となりうる基礎知識・技能、および主体的・自発的に思考する姿勢を学生が身につけることを目的とする科目です。それは、全科類共通の必修科目である「外国語(既修/初修)」「情報」「身体運動・健康科学実習」「初年次ゼミナール(文科/理科)」と、科類毎に必修・選択必修という形で履修を求める「社会科学」「人文科学」「自然科学」から構成されています。「初年次ゼミナール(文科/理科)」は、少人数のチュートリアル授業により、基礎となる学術的スキルを修得するとともに、自ら問題を設定し、その解決に取り組む姿勢を養うことを目的とする科目です。
・ 基礎科目においては、習熟度別の授業が広範に導入され、個々の学生の適性を見出し、意欲を引き出し、能力を伸ばす工夫がなされています。クラス分けにあたっては、授業の性格に応じて、学力・意欲、入試における科目選択、指定科目の履修等の基準が用いられます。
・ 展開科目は、「社会科学ゼミナール」「人文科学ゼミナール」「自然科学ゼミナール」から構成される任意選択科目で、各ゼミナールは、さらに学問領域や学術的方法に従って区分されています。前期課程における基礎科目と、後期課程における専門科目との結節点に位置付けられるもので、個々の学生が、主体的に選択した分野に固有の思考様式・分析手法を、実践を通じて体得する少人数授業です。
・ 総合科目は、広い視野から学生の総合的な判断力や柔軟な思考力を培う、多様性と体系性を備えた科目で、7つの系列(L.言語・コミュニケーション、A.思想・芸術、B.国際・地域、C.社会・制度、D.人間・環境、E.物質・生命、F.数理・情報)、さらに大科目、科目、個々の授業へと、幾重にも階層的に分類されて開講されます。学生は、特定の学問領域に偏ることなく社会科学・人文科学・自然科学を幅広く学びます。
・ 主題科目は、文字通り特定の主題に焦点を当てて掘り下げた考察を行う科目で、「学術フロンティア講義」「全学自由研究ゼミナール」「全学体験ゼミナール」「国際研修」から構成され、学生に、研究の最先端に触れる、あるいは時事的なトピックへの理解を深める機会を提供するものです。なお、学生が海外の大学等において取得した単位等を、「国際研修」の単位として認定する制度が設けられています。
・ 言語の壁を越えて自分の考えをグローバルに発信することを可能にする能動的な英語力を鍛えるために、英語を母語とする教員による少人数授業として、FLOW(Fluency-Oriented Workshop)、文科生対象のALESA(Active Learning of English for Students of the Arts)、理科生対象のALESS(Active Learning of English for Science Students)が設けられています。
・ 東京大学の「グローバルリーダー育成プログラム」の一環として、教養学部前期課程では、一定水準の英語力を有すると認められる学生を対象に、日本語と英語に加えて第三の言語の優れた運用能力を持つ人材を育成するために、トライリンガル・プログラムを導入しています。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)