学科・専攻等
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
1.教育課程の編成方針
(1)「学び続ける教師」に必要な資質・能力として,学校創造力,授業デザイン力,子ども支援力の3つを定め,これらをより高いレベルで身につけたスクールリーダーの養成を目標として教育課程を編成しています。また,3つの力を内容面から相互に関連づけ,特に山陰における教師の生涯発達を支える基盤となるよう「山陰の教育課題」,「エビデンスの収集・活用」,「クリティカル・シンキング」,「個と多様性」,「ICT活用」の5つの共通テーマ軸を設定しています。
(2)共通科目及び選択科目においては,学校教育研究の理論と方法を修得します。総合的力量を形成するため,「基盤科目」,「学校創造科目」,「授業デザイン科目」,「子ども支援科目」から共通科目20単位を必修としています。また,修了に必要な選択科目12単位に関しては,3つの選択科目群のいずれかに特化し単位を修得することで、求められている教育課題の解決や自らの課題意識等に特化した力量を身につけることが可能な教育課程編成を行いました。
(3)課題研究科目(地域教育課題セミナーⅠ,Ⅱ)では, 自ら設定した研究テーマに即して先行研究の収集・分析や,必要な予備調査等を行いながら,学んだ理論を地域教育課題の探究と解決に向けてどのように活かせばよいかについて吟味・検討を行っていきます。また,課題研究科目と連動して現職教員学生は「地域教育探究プロジェクトⅠ,Ⅱ」,学部新卒学生は「地域教育探究フィールドリサーチⅠ,Ⅱ」の実習科目に取り組み,実際の学校教育現場をフィールドとして,仮説に基づく授業や教育活動を計画的に試行します。
(4)教育学研究科教育実践開発専攻では,すべての授業科目において,持続可能な社会の実現の基盤となるSDGsの目標「4.質の高い教育をみんなに」とその達成への理解を促します。また,特に「共に生きる場としての学校教育研究(2単位)」や「子ども理解・支援の理論と方法(2単位)」での学修を通じて,児童・生徒の個性を尊重し,子どもや保護者を取り巻く人や機関,制度をつむいだ組織的な実践ためのより高度な知識・態度の基盤を修得することで,SDGsの目標「3.すべての人に健康と福祉を」の達成に資する人材を育成します。「多様化時代の学級経営(2単位)」や「学校におけるガイダンス・カウンセリングの実践的研究(2単位)」での学修を通じて,多様な個を包摂した社会を発展させる市民を育成するためのより高度な知識・態度の基盤を修得することで,SDGsの目標「16.平和と公正をすべての人に」の達成に資する人材を育成します。「カリキュラム開発の実践的研究(2単位)」や「学校経営の理論と実践(2単位)」での学修を通じて,教職員間や,保護者や地域住民などと連携・協働するためのより高度な知識・態度の基盤を修得することで,SDGsの目標「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の達成に資する人材を育成します。さらに,全ての授業科目において,SDGsの17の目標との対応関係をシラバスに記載し,学生に授業内容とSDGsとの関係理解を促します。
2.教育課程における教育・学修方法に関する方針
(1)共通科目及び選択科目においては,授業方法として事例研究やワークショップ,附属学校や実習校での授業参観などを多く取り入れ、具体的な教育課題に即した双方向的な学び,主体的かつ体験的な学びとなるよう留意しています。また,研究者教員と実務家教員の協働,現職教員学生と学部新卒学生との協働の場を設けることにより,多様な視点にふれながら,理論と実践の往還を促し,学生の教育に対する深い学識,卓越した教育実践力を身につけます。
(2)課題研究科目では,自ら設定した研究テーマに則して先行研究の収集・分析を行ったり,必要な予備調査等を行うことにより,学んだ理論を地域教育課題の探究と解決に向けてどのように活かせばよいか,考察する力を身につけます。
(3)実習科目では,実際の学校教育現場をフィールドとして,仮説に基づく授業や教育活動を計画的に試行することで,学部新卒学生は,各自のこれまでの教育に関する様々な学びや経験から導かれた問題意識に基づいた教育実践力を,現職教員学生は勤務校やその周辺地域の教育課題に対するプロジェクトの企画から組織内での調整に至るまでのより総合的な力量を身につけます。
3.学修成果の評価の方針
各科目の学修成果は,試験や課題等の成績及び取り組み状況等を考慮し,到達目標の達成度に応じて評価します。到達目標や成績評価の方法については,授業内容の詳細とあわせてシラバスにおいて科目ごとに明示します。なお,各授業科目の到達目標は,現職教員学生と学部新卒学生のそれぞれに設定しています。
教育課程の特色(履修モデル、カリキュラムマップ等)
① 山陰地域の教育課題をふまえた教育課程
島根県及び鳥取県は、少子化や人口流出による人口減、後期高齢者割合の増加(生産年齢人口の減少)など共通した課題を持っています。このような傾向は中山間地や島しょ部において顕著であり、島根県では複式学級を有する小学校数は全体の約1/3にのぼります。一方、近年、へき地の条件を活かした特色ある教育を核として地域活性化に取り組み、全国的な注目を集めるような事例も現れ、ともすれば消極的に捉えられがちな地域社会の特性を教育環境として見直したり、その価値を再評価したりする必要性も指摘されています。 教職大学院の教育課程は、このような地域の状況をふまえ、へき地・少人数教育に関する専門的力量を身につけるとともに、学力向上、ICT活用能力の向上、教育臨床的な課題(不登校、いじめ、特別な支援を要する児童・生徒の増加)への対応など、両県の教育委員会が重視している教育課題に対応した教育課程を構築しています。
② 求められるスクールリーダー像「学び続ける教師」をふまえた教育課程
平成24年中央教育審議会答申に示された「学び続ける教師」をふまえ、教職大学院では、その具体的な姿として「子どもをよく理解できる教師」、「組織の中で力を発揮する教師」、「優れた教科指導力を持つ教師」を想定し、これに対応する3つの資質・能力(子ども支援力、学校創造力、授業デザイン力)をより高いレベルで身につけたスクールリーダーが養成できることを目標に教育課程編成を行っています。
③「総合力」の高いスクールリーダーを育成する教育課程
山陰地域で求められるスクールリーダーとは「学校改善、授業研究、個への対応等の多様な場面で指導的な役割を担い、学校が抱える教育課題を幅広い視点から考察・解決できるとともに、地域教育を活性化するために必要な創造力、企画力、調整力、コミュニケーション力等を総合的に身につけた教師」のことです。具体的な教師像を、例えば次のように示すことができます。
・小規模・少人数をスケールメリットとして活かす教師
・豊かな自然や歴史・文化資産をもつ一方、過疎高齢化が進む地域社会を教育資源として開発し、活用する教師
・学習者である子どもの特性を的確につかみ、互いが伸び合う学びの集団となるような学級・学校マネジメントができる教師
・子ども、保護者、教職員、地域住民を有機的に関わらせながら子どもの可能性を全人的に伸ばす教師
こうした高い総合力を有したスクールリーダーの養成を目指した教育課程を編成しています。
④ 理論と実践の融合を目指したカリキュラム編成
主に山陰地域が有する教育課題を考察対象にしながら、研究手法や教育理論を身につけ、さらにそれを批判的に検討することを通して「理論と実践の融合」をはかります。具体的には、共通科目や選択科目で修得した学校教育研究の方法や理論を、自らの設定した研究テーマに基づいて行う学校教育実践研究(実習科目)の中で吟味・応用し、課題解決に至る過程の中で省察を繰り返すことによって自らの教育観の深化を図っていくという学修の流れを基本型とします。さらに、これらの成果を課題研究科目において報告書としてまとめていくことになります。
⑤ 現職教員学生と学部新卒学生の協働による学び
本教職大学院においては、職歴等によるコース分けは行わず、教育実践について異なる経験を持つ学生間で展開される相互育成作用・協働作用を重視しています。山陰両県は教員の年齢構成において若手教員の占める比率が低く、いわゆるベテラン教員が若手教員をリードし、若手と協働しながら学校を運営していかねばならない状況があり、ベテランと若手両者間の相互理解と相互コミュニケーションに基づくチーム力が学校管理・運営において重要になるからです。1学年の人数が、現職教員学生と学部新卒学生とを合わせて20名という小規模であることを活かし、共通科目や選択科目(必修)の授業においては、両者が協働しながら授業を展開することとしました。こうした協働の学びの中で、現職教員学生にとっては学校経営上必要な若手をリードする力、あるいは、学校現場に戻ってからのOJT(On the Job Training)遂行の基礎的力量を、また、学部新卒学生にとっては教職に就いた後の先輩教員との同僚性を身につけていきます。
⑥ 実務家教員と研究者教員の協働による指導体制
「理論と実践の融合」の観点から共通科目の講義は、実務家教員と研究者教員の協働による指導を基本とし、多くの教員が異なる専門性と教職経験を背景に講義に参画できるよう「複数・オムニバス」による授業形態を積極的に採用しています。一方、協働による指導効果をより高めるとともに講義内容の体系性・系統性を配慮する観点から、講義全体を統括するコーディネーター教員を配置しています。選択科目においても実務家教員と研究者教員の協働による指導体制を工夫するとともに、専門教育担当者と教科教育担当者との協働も可能な限り取り入れています。現職教員学生の課題研究科目及び実習科目においては、勤務校が抱える課題や地域の教育課題について、大学における研究上の知と学校が蓄積している経験知の融合を図りながら計画的・実践的な課題解決が進められるよう、ここでも実務家教員と研究者教員の双方が有機的に関わる指導体制をとっています。
⑦ 多彩なアクティブ・ラーニングによる「考える」授業の展開
多くの授業の中で「事例研究」「模擬授業」「ロールプレイング」「ワークショップ」「フィールドワーク」「参与観察」など、アクティブ・ラーニングによる多様な教育内容・方法を組み合わせ、学校現場での実践と関連付けた授業になるよう工夫しています。同時に「グループ・ディスカッション」「全体ディスカッション」を積極的に取り入れ、現職教員学生と学部新卒学生による主体的な問題解決過程を、実務家教員と研究者教員がティームティーチング形式でサポートします。
授業科目
授業の方法・内容
年間の授業計画
シラバス等
学生が修得すべき知識及び能力に関する情報
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
・人材育成目標(社会における顕在・潜在ニーズ,修了生が身につけるべき資質・能力)・学位授与の方針
教育学研究科教職開発実践専攻では、専門職修士課程において2年(長期在学プログラムにおいては3年)以上在学した上、所定の単位を修得し、以下に掲げる資質・能力を身につけた者に教職修士(専門職)の学位を授与します。
1.学び続ける教師の基盤として求められる深い学識を身につけている。
2.学校創造力,授業デザイン力,子ども支援力を総合的力量として身につけている。
3.学校創造力,授業デザイン力,子ども支援力のいずれかについて,高度の専門的能力を身につけている。
4. 地域の教育課題に立脚した研究テーマを設定し,学んだ理論と教育実践との往還を通じて,具体的な課題解決に取り組む教育実践研究の方法を身につけている。
5.立場や意見を異にする人々と協働しながら地域の教育課題を探究・共有し,その解決に向けて主導的役割を発揮することができる。
・目標としての学修成果(学修成果として身につく具体的な資質・能力の項目)
1.学級経営:児童生徒理解に基づき,開かれた学級経営によって児童生徒の成長を促す集団づくりを行うことができる。
2.学校を取り巻く社会的・文化的要因の理解:広い視野のもとで公教育および学校と相互に影響しあう社会的・文化的要因を把握することができる。
3.家庭・地域社会との協働・連携:家庭や地域社会の様々な人々の学校教育への関心やニーズを理解し,保護者や地域住民などと連携・協働する方策をリードすることができる。
4.ビジョンの形成と具体化:学校に関わる人々に共有・支持される学校のビジョンを形成し,その具現化を図ることができる。
5.協力体制と風土づくり:各学校の教育活動や学校経営の質を向上させるために教職員が連携・協働する校内体制と風土をつくることができる。
6.倫理規範とリーダーシップ:公教育である学校教育を担う教員として,職業倫理に基づくリーダーシップを発揮することができる。
7.学習にかかわる理論を踏まえた授業研究:学習にかかわる諸理論に基づいて,授業の設計,実施,評価を行うことができる。
8.理論と実践の往還:教科教育や教科内容の知識を指導や指導の改善に生かすことができる。
9.学習観の発展・指導の改善:教育実践や自らの学習観について,省察することができる。
10.カリキュラム・ マネジメント:カリキュラムの編成・改善に必要な知識を身につけ,「開かれた学校」としてのカリキュラムを構想・改善することができる。
11.教育相談と生徒指導:教育相談や生徒指導に関する理論・技法及び実際に行う上でのポイントを理解し,深い子ども理解に支えられた関わり案の作成と実践,修正ができる。
12.子ども理解と授業改善:インクルーシブ教育システムやユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業を構想・実践・評価し,授業改善の提案ができる。
13.障がいのある子の理解と関わり:障がいや障がいのある子の特徴とそれへの適切な関わりを理解し,それらをふまえた個別の計画の作成・実践・評価・改善をすることができる。
14.校内外での連携・協働:校内組織や他機関・他分野の役割を理解し,地域の実情をふまえながら,子どもや保護者を取り巻く人や機関,制度をつむいだ組織的な実践をすることができる。
学修の成果に係る評価の基準
卒業・修了認定の基準
転学部・編入学等の可否、費用負担
| 可否 | 費用負担 | |
|---|---|---|
| 転学部 | 不可 | |
| 編入学 | 不可 |
転学部・編入学情報補足
専攻分野
| 専攻分野 |
|---|
| 教育学(教員養成課程) |
専攻分野に関する説明