学部・研究科等ごとの目的
<多様化する地域社会。互いを認め合う、豊かな社会をめざして>
現在、少子高齢化が急速に進むなか、住み慣れた地域において充実した社会保障を提供するために 「地域包括ケアシステム」が提唱されています。
特に少子高齢化率の高い大分県では、全国に先駆けてさまざまな取組みを行っていますが、「地域包括ケアシステム」に必要な、専門的かつ幅広い知識を持った人々の生活を支えることができる人材の不足が大きな課題となっています。
<これからの地域社会に求められるのは、高い専門性と広い視野>
高齢化社会のなかで、人々が暮らす地域の福祉の姿を考えることは重要なテーマです。
これからの社会では、医療と福祉の連携がますます重要となり、各専門職には他の分野のこともきちんと理解し、生活に困っている人を包括的な視点から支援できる能力や、多職種とのかかわりの中でリーダーシップを発揮できる能力が求められています。
<医療、福祉、心理の各分野の専門性を生かし、地域社会に貢献する>
福祉健康科学部では、地域社会における人々の生活を幅広く支援するためのマネジメント能力を持ち、社会福祉・理学療法・心理といったそれぞれの専門分野でリーダーシップを発揮できる人材を養成します。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
基本理念
福祉と医療、心理を融合した新しい教育研究を通じ、リハビリテーション学、社会福祉学、心理学の学問領域に立ち、それぞれの学問領域における高度な専門的知識と技能のみならず他領域における知識等を体系的に修得することを通じて、「地域包括ケア」のリーダーとして活躍できる人材養成を行うことによって、より成熟した福祉社会の実現に寄与することです。
教育の目標
資格取得をめざすのみではなく、「高度な専門性」と「社会人としての教養と態度」を備えた医療・福祉・心理の各分野における「実践専門職」として社会に貢献するとともに、包括的な支援を高度にマネジメントできるリーダーとして「地域包括ケア」の実現に寄与する人材を養成します。
求める学生像
本学部において、以下の人材を求めます。
・大学において、教養と専門的知識を修得するために必要な基礎学力とコミュニケーション能力を持つ人
・福祉社会の実現に関心を持ち、自ら考え、実践・努力する人
・様々な活動に主体的に取り組めるとともに、思いやりの心を持って行動できる人
・地域社会や国際社会に貢献する意欲とリーダーシップを持つ人
・知的好奇心が旺盛で、新しい課題に積極的に取り組む人
〈理学療法コース〉
・リハビリテーションの専門知識や技能を生かして社会に貢献したいという意思を持つ人
〈社会福祉実践コース〉
・福祉の専門職として、地域に貢献し、社会に役立ちたいという意思を持つ人
〈心理学コース〉
・心理学の専門知識や技能を生かして社会で活躍し、貢献したいという意思を持つ人
入学者選抜の基本方針
本学部では、求める学生像のみならず、高等学校及び大学において育成すべき「生きる力」「確かな学力」の本質を踏まえつつ、アドミッション・ポリシーに基づき、受験者の多様な能力を多元的に評価する個別選抜を確立するために、一般選抜(前期日程・後期日程)、学校推薦型選抜(社会福祉実践コース)、総合型選抜(理学療法コース・心理学コース)を実施し、高等学校等で培われた学びの意欲や活動を多面的・総合的に評価し、選考します。
・一般選抜(前期日程、後期日程)
総合的な学力をみるため、大学入学共通テストと個別学力検査を課します。大学入学共通テストは6〜7教科8科目とし、個別学力検査では、各コースの専門に応じたテーマを設定した小論文及び面接を全員に課します。小論文では論理的思考力、表現力(文章構成力を含む)を、面接ではコミュニケーション能力、協調性、積極性などを評価します。
・学校推薦型選抜
「社会福祉実践コース」のみ学校推薦型選抜を行います。特に、大学入学共通テストを課さない学校推薦型選抜においては、アドミッション・ポリシーに基づき多様な能力を多元的に評価する選抜として、小論文では総合問題等を導入し、論理的思考力、表現力を測り、面接ではコミュニケーション力やリーダーシップを測ることにより丁寧な選抜を行います。
・総合型選抜
「理学療法コース」及び「心理学コース」において総合型選抜を行います。総合型選抜では、大学入学共通テストは6〜7教科8科目とし、コースの学修に必要な知識・技能を評価するとともに、小論文では論理的思考力、表現力を評価し、個別面接(理学療法コース及び心理学コース)やグループディスカッション(心理学コース)では主体性、協働力、意欲、積極性、コミュニケーション力やリーダーシップを評価します。
高等学校等の段階で修得すべき知識・能力
本学部の教育は、高等学校において学習する教科・科目を十分に理解し、修得していることを前提として行われます。個別学力検査及び学校推薦型選抜においては、これら教科・科目の試験は課していませんが、大学入学までにこれらの教科・科目を履修し、修得していることが望まれます。
国語:他者の考え・気持ちを理解するとともに、文章や資料等を的確に理解し、論理的に考え、話したり書いたりすることに習熟していることが必要です。
なお、修得しておくべき科目は現代の国語、言語文化です。
地理歴史・公民:地理歴史科及び公民科における各科目の学習を通じて、基礎的な知識や技能を修得するとともに、地理、歴史及び現代社会に対する見方・考え方を身につけておくことが必要です。また、現代社会や世界には多様な価値観や考え方があることを理解するとともに、身近な地域や社会、世界で起こっている出来事や社会的事象に対して普段から興味や関心を持つことが望まれます。
数学:数学の基本的概念や原理・法則を理解するとともに、基礎的な計算技能を修得する必要があります。単に公式を暗記して問題に当てはめるのではなく、よりよい解法を求めて、既習の知識・技能を活用する姿を期待します。また、数学的な見方・考え方を身につけ、物事を数学的に判断・処理する能力を磨くことが必要です。
なお、修得しておくべき科目は数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学Bです。
理科:基礎的な概念について理解をし、科学的な自然観を持つことが必要です。さらに、知識の暗記だけでなく、科学的・論理的な思考を展開するために必要な見方や考え方を身につけていることも必要です。
外国語(英語):外国語(英語)を聞くこと、話すこと、読むこと、書くことに関する基礎的な能力を身につけ、積極的にコミュニケーションを図ろうとする意欲にあふれていることが必要です。特に情報や考えなどを的確に理解したり、適切に伝えたりする力を養い、国際社会に生きる人間としての精神と外国語(英語)の力を持つことが望まれます。
なお、修得しておくべき科目は英語コミュニケーションⅠ、英語コミュニケーションⅡ、英語コミュニケーションⅢ、論理・表現Ⅰ、論理・表現Ⅱ、論理・表現Ⅲです。
情報:情報社会における個人の役割や責任を理解するとともに、さまざまな事象を情報との結びつきから捉え、情報技術を活用しながら、問題の発見・解決に取り組むための基礎的な能力を修得する必要があります。
なお、修得しておくべき科目は情報Ⅰです。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
<教育課程の編成と教育内容>
体系的な学修を行い,その効果を高めるため,各年次の目標を次の通り設定しています。
(1年次) 基礎概念を学ぶ
・地域社会の今と生活課題を知る
・福祉健康科学の基礎を学ぶ
(2年次) 仕組みと制度を学ぶ
・地域包括ケアの基本的視点を学ぶ
・生活課題を解決する社会資源を知る
(3年次) マネジメント能力を修得する
・支援をマネジメントできる能力を育む
・リーダーシップを取れる能力を育む
(4年次) 支援の実践を学ぶ
・リハビリテーション,社会福祉,心理の各領域の役割と機能を学ぶ
・包括的な生活支援の方法を学ぶ
本学部の教育課程はディプロマ・ポリシーに掲げられた教育目標を達成するために,「教養教育科目」,「共通基礎科目」,「共通発展科目」,「コース専門科目」,「チュートリアル科目」,「実習科目」,「基礎研究科目」のそれぞれにおいて,カリキュラムマップに対応した科目群にそって履修することにより,以下の能力を修得することを目的としています。
1.「教養教育科目」の履修を通じて,地域社会という,人々が生活する場面への理解を深め,専門職としての自分がどのような場で活躍するのかという構造を修得できる。あわせて,情報ネットワークシステムのリテラシーや,国内,海外での医療福祉の経験を積む際に必要となる語学の基礎を修得できる。
2.「学部共通基礎科目」の履修を通じて,「生活の価値」の概念を修得できる。さらに,医療,リハビリテーション学,社会福祉学,心理学それぞれの分野における「支援」の意味を修得できる。また,実際の現場を見学することで,単なる机上の理論ではない実学としての「福祉健康科学」の基礎を修得できる。
3.「学部共通発展科目」の履修を通じて,生体分野,社会分野,心理分野のそれぞれの分野の「知識と技法」についての相互理解を修得できる。
4.「コース専門科目」の履修を通じて,それぞれの分野の専門職性を理解し,専門職者としての「知識・技能・価値」を修得できる。さらに,具体的な事例を用いた演習を通じて,より高い実践する能力を修得できる。
5.「チュートリアル科目」の履修を通じて,人々の生活を包括的に支援する視点から,自らの専門性を発揮してチームを運営しながら解決に導くことができる実践者としての資質を修得できる。
6.「実習科目」の履修を通じて,これまで学修した知識や技術を実際の症例・事例に応じて選択,さらに修正して実施する能力を修得できる。これらの経験を通じて,より生活を包括的に支援する実践力を修得できる。
7.「卒業研究」を通じて,「実践を科学する」ことをめざした研究の基礎を修得できる。
<教育方法>
1.「教養教育科目」では,一社会人としての知識に加え,「生活を包括的に支援する」「生活支援の専門識者となる」ための基本知識を講義形式での授業により教育する。
2.「教養教育科目」のうち,外国語科目(英語Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ)については,入学時のTOEIC IPテストの結果を基にクラス編成を行い,学生の能力に応じた教育を行う。
3.「学部共通基礎科目」「学部共通発展科目」では,講義形式での学修を通じて,専門職の基礎となる幅広い知識を教育する。さらに,アクティブ・ラーニングを用いた演習を導入し,主体的な学びの力を修得できるよう教育する。
4.「コース専門科目」では,より専門的かつ実践的な知識を学修できるよう,講義形式又は実習形式の授業により教育する。さらに,演習や小グループによる討議などのアクティブ・ラーニングを導入し,学生が主体的な学びの力と応用する能力を修得できるよう教育する。
5.「チュートリアル科目」では,学生の問題発見・解決力を培い,主体的な学びの力が高まるよう,少人数グループによる文献の収集と分析,ディスカッション,発表等のチュートリアル教育を導入する。医学部学生と合同で実施する「チュートリアルⅢ(旧カリキュラム:チュートリアルⅣ)」では,さらに専門領域を超えた多職種連携の実際を学修できるよう教育する。
6.「実習科目」では,学内実習に加え,各種医療機関,福祉施設,児童養護施設,行政機関等での個別,または少人数グループの実習を通じて各専門職として必要な技術,コミュニケーション能力を獲得できるよう教育する。
7.「卒業研究」に相当する科目では,実際の研究を通じて,研究の流れと研究を実施する意義について教育する。さらに,研究を実施する上で重要となる,個人情報保護を中心とした研究倫理や情報リテラシーについてもe-learning,指導教員の個別指導により教育する。
<学修成果の評価>
1.学部で開講する科目については,学生による授業評価を実施する。
2.学外実習に臨む前には,コース内で単位取得状況,GPA等を確認し,知識・態度・技能を総合的に評価する。
3.学外実習の成績判定では,実習施設の指導者を評価に加え,実習期間中の学修成果物,および実習後の学内演習の結果を総合的に判断して評価を実施する。
4.「卒業研究」に相当する科目では,卒業研究論文の作成,発表に加え,研究倫理や情報リテラシーに関するe-learningの履修状況,成績を含め,総合的に評価する。
5.コースごとに,全ての授業の成績,学生による授業評価,国家試験の成績(心理学コース,および国家試験未受験者を除く),就職状況,卒業生に対するアンケートなどのデータを蓄積し,学部教育の改善を継続的に行う。
学修成果の評価は,アセスメント・チェックリストにより実施する。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
•理学療法士、福祉専門職及び心理専門職それぞれの専門性を発揮するための「知識、技能、価値」を身につけている。
•福祉健康科学の基礎となる「生活を包括的に支援する」という視点を理解している。
•生活を支援する各種のサービスをマネジメントし、さまざまな専門職との関わりの中で、リーダーシップを発揮できる高度な能力を身につけている。
•科学的に実践を展開するための基礎的な研究能力を身につけている。