学部・研究科等の特色等
沖縄県立芸術大学美術工芸学部は、沖縄の伝統に根差した美術工芸はもとより、造形芸術において新たな地平を切り拓き、自ら社会的役割を見出せる作家、研究者、教育者などの専門家として、地域と世界に貢献できる人材の育成を行ないます。
そのために、(1)学生の個性の伸長を期した専門教育において、実技と理論における基礎から高度な内容までを、4年間を通じて段階的に履修します。(2)また、各専門分野に共通し、あるいは関連する技術や理論の科目を主体的に選択できます。(3)その上で、多様な現代社会における造形芸術の役割を認識し、地域との連携を図り、社会との関係を学びます。
絵画専攻では入学後、油画・日本画分野に分かれ、それぞれの絵画表現を基礎から学び、造形表現の可能性を探求します。学年担任制のもと、多角的に自己の感性を問い表現力を養うためのゼミや種々の実習・集中講義をカリキュラムに組み入れ、共に磨き合い個々の美術表現の確立を目指します。多様化する社会状況にあって絵画表現の在りようや、美術家として社会とどのように関係を結ぶことができるかなど、自ら模索し実践します。
油画分野では、素描、ドローイング、油彩、素材応用表現をカリキュラムの土台とし、版表現、映像表現、インスタレーションやパフォーマンス等の実習を通して現代に対応する感性、表現力を養います。2、3年次の進級展を通して自己の表現テーマを探求し、段階的に卒業制作へ向かいます。日本画分野では、素描と伝統的な材料技法の基本を理解することから始め、実習を通して模写、絹本、箔、裏打ち等を学修し、課題制作として人物、風景、自由制作などで修練を重ね、現代における表現研究の下に自己のテーマに基づいた卒業制作に向かいます。
彫刻専攻では、将来、専門家として創作活動を行うに必要な基礎学修の中で、学生個々の創造能力育成に主眼を置き、教養・専門、実技・理論を一体的、総合的に捉えています。1年次から3年次前学期を通して塑造、石彫、木彫、金属、鋳造、テラコッタ等の基本的な技術と理論を修得します。そして、古典から近現代に至る彫刻とその周辺の歴史を学びつつ、3年次後学期から自己のテーマに基づいて、より実践的な展示発表を前提とした制作を行い、4年次の卒業制作に繋げます。彫刻専攻の教室・アトリエは、1年次から大学院まで学年を超えた共通の学習・制作の現場となっており、下級生は上級生との交流の中で多くを学ぶ環境にあります。また、市町村との共催による学外での演習、展覧会等を行い、さらに国際的な視野を広げるため、海外の芸術大学や卒業生の留学先等との国際交流を積極的に進めるなど、活気に満ちた教育環境づくりに専攻を挙げて取り組んでいます。
芸術学専攻では、芸術に関する論文を書くことの出来る学問的な力を備えた学生の育成を主要な目的としています。研究の対象となる分野は、沖縄の文化芸術のみならず美学・芸術学・日本美術史・東洋美術史・西洋美術史と幅広く設定され、学生の個性に応じて、自分に相応しい学問領域を選択できるようになっています。また、芸術大学の学生にふさわしい実技と理論の調和にも配慮しています。語学の選択範囲も広く、英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語・中国語・ラテン語・漢文などの他に、日本語の歴史的文書を読むための授業科目を受講できます。1年次においては実技と理論の学習が半々になるようにカリキュラムが構成されていますが、2年次以降では、理論と歴史や語学などの学習が中心となります。2年次における「学外研究」で多くの芸術作品に触れ、芸術と社会とのかかわりを考える機会を得ることによって、自分の目指す分野が明確になっていきます。3年次で専門分野の研究を深め、4年次の「卒業論文」において、学生はそれまで大学で学んだ知識と陶冶された感性を有効に用いてひとつの研究課題の下に論文を執筆することになります。
デザイン専攻では、専門領域の垣根を取り払い、様々なデザイン分野の中から学生が主体的に授業を選択できるようにカリキュラムを編成しています。
デザイン専攻のカリキュラムの編成に関しては以下の6点に集約できます。
1. 伝統工芸の基礎的研究、地場産業や地域の文化に強く根ざしたデザインを育てる。