学部・研究科等ごとの目的
保健学における基礎的及び専門的な知識・技術を修得し,豊かな人間性と高い倫理観を備えた高度な医療人としての看護師・保健師・助産師・診療放射線技師・臨床検査技師・理学療法士・作業療法士を養成するとともに,保健学の発展を担う教育研究者を養成する。また,医療人としての社会的使命感を涵養し,現代社会及び将来の保健・医療・福祉における諸課題を探求し解決できるような,総合的で学際的な保健学の能力を身につけさせることを教育研究上の目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
【保健学類】
保健学類は,「保健・医療・福祉における科学的な知識・ 理論・技術の修得と課題探究能力を養成し,豊かな教養と人間性を備えた高度専門医療人と保健学研究者を育成し,国民の医療・福祉の発展に寄与すること」を基本理念とします。教育目標は,1)現代社会の抱える諸問題を総合的に洞察できる能力の育成,2)日本語・外国語による討議・発表能力の育成,3)保健学における基礎的知識と専門的知識・技術の修得,4)保健学の知識・技術を活用した課題探究能力の育成,5)豊かな人間性と高い専門職業人としての倫理観など医療人としての社会的使命感の涵養,6)学際的保健学知識の統合による教育・研究能力の育成です。
保健学類では,国家試験受験資格の取得のためのカリキュラム編成が行われており,このため募集単位は看護学専攻, 診療放射線技術学専攻,検査技術科学専攻,理学療法学専攻, 作業療法学専攻の5 専攻を設けます。
【看護学専攻】
看護学は,人間の誕生から死までを包括的に捉え,人々が,グローバル化する社会,多様な環境に適応しながら健康的に質の高い生活を送ることを支援する学問です。看護学専攻では,健康に関わる知識と技術を体系的に学習します。さらに,学内及び学外の医療,保健及び福祉現場での実習を通じて,高い倫理観,専門職としての使命感,医療チームの一員としての責任を学びます。また,研究やゼミを通し,将来の看護科学を担う者として幅広い科学的知識,問題解決方法などを学び,将来の進歩や変化に対応するための能力を養うと同時に,看護実践力のある指導者,教育者,研究者となるための基礎も身につけます。卒業時には,看護師,保健師* の国家試験受験資格を取得することができます。
* 保健師課程は,選択制です。保健師として将来就職を希望する学生(最大 40 名)で,所定の科目を履修し,その単位を修得した者のみが,卒業時に「保健師国家試験受験資格」を取得できます。
【診療放射線技術学専攻】
診療放射線技術学は,放射線,磁気,超音波を使用した医療機器の原理や特性,情報処理技術,各種の医療画像形成法, 人体の形態,機能並びに医薬品に対する生物学的な特性などを修得する学問です。診療放射線技師となるために必要な専門技術を修得するとともに,医療や放射線機器の進歩に対応できる能力を養います。また,研究室配属を通じて,将来の診療放射線技術学を担う課題探求能力や,研究者となるための基礎も身につけます。卒業時には,診療放射線技師の国家試験受験資格を取得することができます。
【検査技術科学専攻】
検査技術科学は,主に病気の診断や治療効果判定に対して重要な情報を提供する臨床検査を学習する学問です。本専攻では臨床検査に関わる知識と専門技術を体系的に獲得し,医療現場での実習を通じて医療チームの一員である専門技術者としての役割を学びます。また,研究室配属を通じて,進歩する医療科学を担う深い科学的考察や革新的技術などを取得する能力を養います。卒業時には臨床検査技師の国家試験受験資格を取得することができます。
【理学療法学専攻】
理学療法学は,リハビリテーション医療の一専門分野で す。種々の疾患や事故などにより,神経,筋,骨格,循環器, 呼吸器などに損傷や障がいをきたした人に対して,運動療法や物理療法を駆使して治療に当たります。理学療法学専攻では,理学療法士となるために必要な治療技術を科学的,実践的に修得するとともに,医療人としてあるべき人間性を育成します。卒業時には,理学療法士の国家試験受験資格を取得することができます。
【作業療法学専攻】
作業療法士として必要な知識,技術,コミュニケーション能力を修得し,専門職としての能力を高め,研究する態度をもつ人材を養成します。本学の作業療法教育は脳機能解析学や運動器障がいをはじめ,生活能力回復学の領域において幅広い分野の専門教員の下に行われています。作業療法の技術科学を修得し,研究を進め,技術を開発し,社会に役立ちたい人の入学を希望します。卒業時には,作業療法士の国家試験受験資格を取得することができます。
求める人材
【看護学専攻】
・看護の専門技術や知識を高めて,社会に貢献する意欲を持つ人
・病める人に対する医療のために,情熱を燃やすことのできる人
・人間の健康,医療問題に対して国際的視野で貢献したいと強く願う人
・保健の分野で,新しい技術や知識を創り出す熱意を持つ人
・看護学及び看護の進歩のために,将来のリーダーとなる夢を持つ人
【診療放射線技術学専攻】
・診療放射線技師として保健医療を支えることができる有能な人
・高度先進医療に対応し常に努力することができる人
・専門的な知識を習得するのみならず研究・思考することができる人
・患者の立場に立って行動・発言できる豊かな人間性を持つ人
【検査技術科学専攻】
・病める人に対する医療のために,知識や専門技術を高めて,社会に貢献する情熱を持つ人
・医療科学の分野で新しい技術や知識を創り出す熱意を持つ人
・臨床検査技術の進歩に貢献し,将来のリーダーとなる夢を持つ人
【理学療法学専攻】
・豊かな人間性と愛情を持ち,学習意欲の高い人
・社会のニーズに応え,努力を惜しまない人
・理学療法学の今後を担い,人類社会に貢献できる人
【作業療法学専攻】
・たゆまず努力して,自分の能力を高めようとする人
・専門技術や知識を高めて,社会に貢献する意欲を持つ人
・病める人に対する医療のために,情熱を燃やすことのできる人
・人間の新たな能力を引出し活用する作業療法を修得し発展させたい人
選抜の基本方針
■一般選抜
基礎学力に加え,看護学・診療放射線技術学・検査技術科学の 3 専攻は数学・理科及び英語の学力,理学療法学・作業療法学の 2 専攻は理科及び英語の学力を重視し ます。なお,理学療法学・作業療法学は2 専攻併願で実施し,出願時に第2 志望の専攻まで選択することができます。
■KUGS 特別入試(学校推薦型選抜)
基礎学力に加え,口述試験で医療人としての適性の評価並びに調査書等の出願書類による総合評価をします。
■帰国生徒選抜
理科と英語の学力に加え,成績証明書(調査書)による総合評価をします。
■国際バカロレア入試
口述試験により理系能力及び医療人としての適性の評価並びに提出書類(志願理由書)等による総合評価をします。
■私費外国人留学生入試
学力検査により本学類の修学上に必要な基礎学力を有しているかを評価し,口述試験を通じて,志願者の日本語能力(対人コミュニケーション能力を含む),英語能力及び本学類で修学することや医療人として職務を遂行することの適格性及び適性を評価します。
入学までに身につけて欲しい教科・科目等
【看護学専攻】
論理的思考力・表現力を身につけるため,文系科目と理系科目の幅広い基礎学力の習得を望みます。
【診療放射線技術学専攻】
科学的な視点で事象を理解するための基礎的な知識が必要であり,理科・数学を学んでおくことを望みます。また,文章を正確に読解し,事象に応じて的確に記述する国語・英語力の習得を望みます。
【検査技術科学専攻】
種々の臨床検査技術における基礎となる理論や科学的考察には,数学,物理,化学及び生物学の考え方や知識が必要で,高等学校においてこれらの教科の履修を望みます。また,情報収集及び発信に必要な英語の力を求めます。
【理学療法学専攻】
高等学校までに学ぶ国語,社会,数学,理科,英語について十分な基礎学力を身につけておくことが重要です。
【作業療法学専攻】
理系科目と文系科目の均衡がとれた幅広い基礎学力の習得を望みます。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
【看護学専攻】
看護学専攻では看護師課程カリキュラム,保健師課程選択カリキュラムを置き,科目を構成している。
看護師課程カリキュラムでは,第1に看護の基盤を理解することから専門職としての研鑽への能力まで6つの目標からカリキュラムの主軸を構成している。第2に学習内容の基礎から応用へ,理解から実践へと年次的に深化する科目の配置と教育方法を工夫している。第3にActivelearning,Problem-based learningなどを用いて学生が系統的・主体的に学習できるように支援している。
保健師課程カリキュラムでは,5つの目標からカリキュラムを構成し,ヘルスプロモーションから困難事例まで様々な健康課題への理解から実践へと科目の配置と教育を工夫している。
【診療放射線技術学専攻】
初年度では人体の構造,機能や疾病を理解し基礎能力を養う。2年次以降は理工学,画像情報の理論および画像解析・処理など検査に必要な知識と技術を養うと同時に,これらを画像診断,核医学や放射線治療の臨床分野と系統立てて理解できる能力を育成するカリキュラムを編成する。また,実験や臨床実習および卒業研究指導では小人数グループ制を取り入れ,自己探求型の問題解決能力を養う。さらに,医療人としての資質や人間性豊かな人材の育成を目指す。
【検査技術科学専攻】
初年度から履修する「専門基礎科目」を出発点とし,「医療工学・情報科学」,「臨床病態学」, 「形態検査学」, 「生物化学分析検査学」, 「病因・生体防御検査学」,「生 理機能検査学」, 「検査総合管理学」の専門科目について,基礎からそれらの応用までを体系的に学ぶ。第三学年からは,少人数からなるいくつかの研究グループに 分かれ,学生各自が関心を持つ専門分野を「卒業研究」において,より深く探求する。また,最終学年では臨地実習を経験し,臨床レベルで対応できるよう知識および技 術を高める。なお,専門分野で開講される科目の大部分は国家試験受験に必要な必須科目であるが,各自の希望に応じて他専攻の科目,医療英語について自主的に 履修計画を作成することができる。
【理学療法学専攻】
共通教育科目で社会人として必要な知識や教養を身に付け,専門基礎科目で人体の構造や疾病と障害,および医療福祉とリハビリテーションの理念を学習後,理学療 法学の基礎,評価・治療学および研究法を,基礎医学と関連づけて学べるカリキュラムを編成している。臨床実習は段階的に編成し,施設見学,理学療法部門見学お よび評価実習を経験後,「臨床の場で理学療法の役割および責任を認識し,理学療法士として必要な専門知識と基本的技能を習得すること」を目標に掲げている。
【作業療法学専攻】
作業療法士は人と接する職業であるため,幅広い教養と知識を身につけることが大切である。保健・医療の領域で活動を行うために,医学の基礎知識の修得が重要で ある。専門基礎科目として,解剖・生理学,運動学などを学び,その後に臨床医学へと結びつけていく。学生は学内だけの講義・実習に加えて,リハビリテーションが行 われている実際の現場を見学して学んでいく。学年進行にあわせて,作業療法専門科目が多くなるが,学外での評価学実習を組み入れて,学内で学んだ知識と技術を 臨床を通して確認しながら進めていく。同時に面接等において必要な対人交流技術を修得する。最終学年においてはそれまでに修得した基礎科目及び専門科目を統 合し,作業療法士に必要な知識・技術をさらに磨き修得できる教育課程に編成している。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
保健・医療・福祉における科学的な知識・理論・技術の修得と課題探究能力を養成し,豊かな教養と人間性を備えた高度専門医療人と保健学研究者を育成し,国民の医療・福祉の発展に寄与する人材を養成する。この基本方針に従い,以下の能力を修得し,かつ各専攻の人材養成目標に到達することによって,医療社会に貢献できる者に学士(看護学),学士(保健学)の学位を授与する。
1.保健・医療・福祉分野に共通の教養的資質と専門的知識・技術を修得し,生涯教育を志向できる。
2.医療人として自主的に学修し,その専門分野の知識・技術を活用できる。
3.医療人としての使命・責任の自覚と職業・医療倫理医療制度の担い手として果たすべき使命と役割を理解する。
4.専門性を駆使して医療チームの連携と協働に主体的に取り組むことができる。
5.幅広い教養及び国際性を背景に,現代の多様な国内外の人々のニーズに応え,有効な医療環境を推進して患者中心の医療の担い手となることを志向できる。
6.英語による国際的なコミュニケーションを含み,多様な人々との人間関係を築くコミュニケーション力を修得する。
以上の能力を修得し,かつ各専攻の人材養成目標に到達することによって,医療社会に貢献できる者に学士(看護学),学士(保健学)の学位を授与する。