学部・研究科等ごとの目的
農学を総合的・実践的に学び、21世紀の食料・農林業・地域社会が直面する諸課題の解決に貢献できる知識・技能と応用力を備えた人材を養成する。
○食品科学コース
食品の栄養素や機能分析、安全性やおいしさに優れた食品の製造、発酵・醸造による地域の伝統食製造に関わる専門知識と技能を身に付け、関連諸課題に積極的に取り組む人材を養成する。
○農業生産学コース
作物生産、食料生産、栽培資源利活用、栽培環境などの農業生産、安全で付加価値の高い作物生産に関わる専門知識と技能を身に付け、関連諸課題に積極的に取り組む人材を養成する。
○生産環境学コース
農林業を支える森林・農地・水環境等の生産資源、ならびに農業土木や農業機械といった生産活動を管理・運用するシステムに関わる専門知識と技能を身に付け、関連諸課題に積極的に取り組む人材を養成する。
○農業経営学コース
食料の生産から加工・流通を経て消費に至るフードシステムにおける経済活動、および農村社会や地域づくりに関わる専門知識と技能を身に付け、関連諸課題に積極的に取り組む人材を養成する。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
【福島大学の教育目標】
福島大学は,正規課程および課外活動等のあらゆる機会を捉えて,自ら学び,主体的な人生設計と職業選択を行うことのできる自立した人間の育成をめざします。
また,東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所事故からの学びを活かし,「新たな地域社会の創造」に取り組み,人口減少や高齢化,環境・資源・エネルギー問題などの地域および世界の「21世紀的課題」を自分事として捉え,複雑かつ困難な課題に果敢に挑戦する人材の育成を目標に掲げます。
そのために「問題基盤型学習」を教育理念としたカリキュラムを備え,確かな専門知識や技術,実践的なスキル,「解のない問い」に挑む態度などを身につけます。
【福島大学の求める学生像(福島大学のアドミッション・ポリシー)】
福島大学では,以下の要件を満たす学生を募集します。なお,「求める学生像」の具体的内容は,学類のアドミッション・ポリシー(AP)で示します。
1.〈福島大学の教育目標〉を理解していること
2.地域や社会の発展に貢献する志をもつこと
3.そのために,①選択した領域の専門知識,②問題を発見し探究する力,③広い教養と知的関心,④グローバルな視野,⑤主体的に多様な人々と協働する力,を自ら向上させようとする意欲があること
4.福島大学での学士課程教育を受けるにふさわしい基礎的学力,思考力・表現力・コミュニケーション能力,現実の問題や学問への能動的姿勢を持っていること
【入学者選抜の基本方針】
詳細は大学HPを参照。
【食農学類のアドミッション・ポリシー】
1.食農学類の教育目標と求める学生像
食農学類では,食品産業や農林業の第一線で活躍することや,行政や教育機関などで食品産業や農林業を支えることを目指す意欲を持ち,卒業までに次の4つの力を身に付けたいと考える学生を受け入れます。
・農学の専門知識を関連産業や地域社会の実践的な取り組みにつなげる力
・異なる専門分野との学際的な交流によってチームプレイを推進できる力
・グローバルな科学的知見や国際比較の情報を地域の課題解決に活かす力
・温かい眼差しと冷静な分析力によって地域社会への貢献を持続できる力
食農学類では,2年生の後期(第4セメスター)から,食品科学コース,農業生産学コース,生産環境学コース,農業経営学コースのいずれかに所属することになります。各コースは,次のような基礎的・専門的な知識と能力を身に付けた人材の養成を目標としています。
・食品科学コース:食品の分析について専門的な知識・技能を身に付けている。優れた食品の製造について知識・技能のポイントを修得するとともに,地域の食の伝統的な強みを活かす筋道を具体的に理解している。
・農業生産学コース:果樹・園芸等を含めて作物学の専門的な知識・技能を修得している。
病害虫管理や土壌肥料の原理を学ぶことにより,安全な作物生産や環境保全型農業の基本課題を深く理解している。
・生産環境学コース:森林・農地・水利施設等の生産環境の実態を把握し,管理・活用システムを体系的に理解している。生産環境の修復やICT 等の最先端技術導入などの実践的な課題に取り組むこともできる。
・農業経営学コース:農林業や食品産業の活動を社会科学の観点から分析する知識・技能を修得している。農商工連携などの新潮流の情報に詳しく,協同組合や共有資源の役割についても深く理解している。
2.入学試験の種類と内容
食農学類では期待する人材を求めて,4種類の入学試験を実施します。
それぞれの入学試験の科目などは以下のとおりです。
[一般選抜・前期日程] 募集人員 60人
大学入学共通テストの6教科8科目(国語,地理歴史・公民(1科目),数学(2科目),理科(2科目),外国語,情報),個別学力試験の2科目(物理基礎・物理,化学基礎・化学,生物基礎・生物,数学(数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学B・数学C),英語から2科目選択)で実施。
[一般選抜・後期日程] 募集人員 20人
大学入学共通テストの6教科8科目(国語,地理歴史・公民(1科目),数学(2科目),理科(2科目),外国語,情報),個別学力試験のペーパーインタビューで実施。
[総合型選抜・地域社会貢献枠] 募集人員 概ね10人
自己推薦書と調査書によって第1次選抜を行い,第1次選抜合格者を対象として課題論文と面接による第2次選抜を実施。
福島県内の高等学校等を卒業もしくは卒業見込みの者で,福島県内の農業,農業関連産業,食品関連産業,農林水産行政機関等の次世代の担い手として活躍する強い意欲を持つ者,あるいは福島県外の高等学校等を卒業もしくは卒業見込みの者で,福島県内か出身県内の農業,農業関連産業,食品関連産業,農林水産行政機関等で次世代の担い手として活躍する強い意欲を持つ者で,指定する資格のいずれかを取得している者を対象とします。
[総合型選抜・実践教育経験枠] 募集人員 概ね10人
自己推薦書と調査書によって第1次選抜を行い,第1次選抜合格者を対象として課題論文と面接による第2次選抜を実施。
高等学校専門学科(農業,工業,商業,情報,水産,家庭,看護,福祉に関する学科),総合学科,あるいは中等教育学校専門学科(農業,工業,商業,情報,水産,家庭,看護,福祉に関する学科)を卒業見込みの者,または高等専門学校の第3学年を修了見込みの者で,農学を学ぶ強い意欲を持ち,かつ指定する資格のいずれかを取得している者を対象とします。
3.入学者選抜の際に求める知識・技能・関心
本学類での成長を実現するために,以下に掲げる力を有している学生を求めます。
⑴高校までに身に付けるべき基礎学力
⑵対象を的確に捉える理解力と分析力
⑶主体的に課題に取り組み探究する力
⑷客観的かつ論理的な思考力
⑸自らの見解を的確に伝える表現力
⑹常に食と農に関心を寄せる持続力
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
食農学類では、「実践性」「学際性」「国際性」「貢献性」の観点からディプロマ・ポリシーを定めており、その達成に相応しいカリキュラムを以下の方針で編成しています。
【履修コース共通のカリキュラム・ポリシー】
Ⅰ. 実践性を重んじるカリキュラム
カリキュラムでは各科目の専門性を十分に確保すると同時に、それが農林業・食品産業・地域社会の具体的な課題と結びついていることを、学習の初期段階から伝えなければならない。この点を考慮し、本学の科目カテゴリー「問題探究領域」の一環ではあるが、他学類より半年間前倒しをして、農学フィールド基礎実習を1 年次の前期・後期に配置する。
これは動植物に直接触れる機会を早期に提供することで、実践的な農学への高い意欲の醸成と持続を図るためでもある。
Ⅱ. 学際性を重んじるカリキュラム
農学には地域環境・農林業・製造業・流通業等の連鎖に対応した多彩な専門領域があり、作物生産自体の高位安定化にも多くの専門領域が関与している。いずれも異なる専門領域によるチームワークの水準が全体の成果を左右する。この点を考慮し、1 年次からの「農学リテラシー」の科目群には学際性を重視したオムニバス講義や理解しやすい入門的・概論的な講義を配置する。また、Ⅳに記載の農学実践型教育を異なる履修コースの複数教員が担当する点も、学際的な理解力と発信力の涵養に配慮している。
Ⅲ. 国際性を重んじるカリキュラム
農学の最新の科学的知見はグローバルに共有されている。履修コース別の専門科目では最新の知見を丁寧に解説するとともに、国際経験豊かな教員による講義や演習を中心に、農林業や食品産業の国による特質を具体的に伝授する。グローバルな問題意識の涵養には、地域の個性的な食品や伝統的な慣習の背後にある国境を越えた普遍的な要素を学ぶことも大切である。科目を例示すれば、自然科学領域では地域の名品を支える発酵・醸造学があり、社会科学領域では共有資源管理の論理を学ぶ農林資源経済論がある。食農学類の教育は直接・間接に震災・原発事故からの復興の取り組みとつながっている。復興の歩みが国境を越えて語り継がれる挑戦であることも、本学ならではの国際感覚として学生と教職員に共有されることになる。
Ⅳ. 貢献性を重んじるカリキュラム
震災・原発事故からの復興の歩みの中から、あるいは技術・経営の革新的要素の普及の中から、各地で農林業・食品産業・地域社会の新たな潮流が生まれている。こうした流れの先導者もしくは後押し役として、本学類にも多くの期待が寄せられている。この点をカリキュラム編制に反映したのが、2 年次後期と3 年次に開講する履修コース横断型の農学実践型教育である。本学の教育理念である「問題基盤型学習(Problem-Based Learning)」の具体化でもある。課題の特定から解決策の提案に至るまで、現場との密接な交流を通じた学びの機会を提供する。市町村・農林業関係団体・関連企業等との連携により、7 か所程度のフィールドが対象となる。
【履修コース別のカリキュラム・ポリシー】
[食品科学コース]
機能分析や新製品開発などに関する食品科学の知識・技能を修得し、地域の食の伝統的な強みを活かす応用力を身に付けるための科目を配置する。主要科目を食品機能系(食品機能学Ⅰ・Ⅱ、食品分析学、食品素材科学)、食品加工系(食品加工学Ⅰ・Ⅱ、食品保蔵学)、発酵・醸造系(発酵・醸造学Ⅰ・Ⅱ)、食品安全学とする。
[農業生産学コース]
果樹・園芸等を含めて作物学の知識・技能を修得し、病害虫や植物栄養に関する専門知識と応用力を身に付けるための科目を配置する。主要科目を作物系(作物育種学、稲作学、環境保全型農業論)、園芸系(蔬菜・花き園芸学、果樹園芸学)、病害虫管理系(応用昆虫学、植物病理学)、土壌肥料系(土壌科学、植物栄養学)、飼料資源学とする。
[生産環境学コース]
農林業を支える生産環境の実態と利用システムに関する知識・技能を修得し、最先端の農業技術を理解・活用するための科目を配置する。主要科目を森林系(森林科学、森林育成学、森林保護学、森林利用学)、農業環境系(里山管理論、農村計画学、水資源利用学、土壌物理学)、農業機械系(農業リモートセンシング、スマート農業論)とする。
[農業経営学コース]
農林業や食品産業の行動を社会科学の観点から分析する知識・技能を修得し、ビジネスの新潮流や協同組合・共有資源等を深く理解するための科目を配置する。主要科目を地域農業系(農業経営学、協同組合論)、流通系(食品マーケティング論、フードシステム論、農産物流通論)、農業経済系(農業経済学、農業政策学、農林資源経済論)とする。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
【食農学類の教育目標】
本学類は、農学を総合的・実践的に学び、21 世紀の食料・農林業・地域社会が直面する諸課題の解決に貢献できる知識・技能と応用力を備えた人材を養成する。
【学類ディプロマ・ポリシー】
本学類は、日本やモンスーンアジア等の農林業と食生活を深く理解し、よりよい社会の創造に向けて農学の専門性を活用できる人材を養成するため、「実践性」「学際性」「国際性」「貢献性」の四つの能力の観点からディプロマ・ポリシーを定める。
Ⅰ. 課題解決志向と実践的な専門知識
本来の農学は課題解決への貢献を第一義とする学問として発展してきた。このような特性を有する農学から学んだ専門的な知識・技能の価値について、関連産業や地域社会の具体的な取り組みとの関わりにおいて認識できること。
Ⅱ. 学際的な理解力とコミュニケーション能力
自然資源に依存する衣食住の供給システムは地域環境・農林業・製造業・流通業等の連鎖として機能している。連鎖の各領域に専門化した農学を学びながらも、領域を超えた学際的な理解力と発信力を培うことで、連鎖総体のレベルアップを常に意識できること。
Ⅲ. 国際的な問題意識とグローバルな知見の応用力
立地特性の強い農林業や食品産業にも、地域や国を超えた共通の要素が含まれている。グローバルに認知された科学的知見を応用する手法を学ぶとともに、地域固有の課題の解決に向けた国際比較や国際交流に挑戦できること。
Ⅳ. 冷静な分析力と持続的な地域貢献意識
震災・原発事故からの復興に深く関わる本学類の農学教育は、歴史的・国際的にも類例のない取り組みである。科学的なエビデンスと論理性を大切にする冷静な分析力を身に付けるとともに、長期の時間視野から地域貢献の意義を理解できること。
【履修コースごとのディプロマ・ポリシー】
[食品科学コース]
食品の栄養素や機能の分析について、専門的な知識と実験手法を身に付けている。安全性やおいしさ等に優れた食品の製造について、専門的な知識・技能を修得するとともに、新製品への挑戦に寄与できるレベルの経験を積んでいる。発酵・醸造学などを学び、地域の食の伝統的な強みを活かす筋道を具体的に理解している。
[農業生産学コース]
育種学・栽培学などの作物学の専門的な知識・技能を修得し、地域の強みである果樹・園芸等の特性についても理解している。病害虫管理や土壌肥料の原理を学ぶことにより、作物の生産性向上や環境保全型農業拡大の基本課題を認識している。安全で付加価値の高い作物の生産に向けた取り組みのポイントも理解している。
[生産環境学コース]
農林業を支える生産環境(森林・農地・水利施設など)の実態を把握し、その管理・活用システムを科学的・体系的に理解することで、生産環境の修復や改善をめぐる実践的な課題に取り組むこともできる。ICT 等を用いて資源の効率的な利活用を実現する最先端の農業技術の原理を理解している。
[農業経営学コース]
農林業や食品産業の経済活動について、モノと情報の連鎖を分析する知識と方法論を身に付けている。具体的な事例に学ぶことで、農商工連携等の新潮流のポイントを理解している。協同組合の存在意義や共有地的な資源の持続性について多角的な議論を積み重ねており、単純な市場経済を超えた領域にも貢献することができる。