【教育課程の特色】
京都教育大学教育学部では、社会人としての基本的な態度・考え方を養う教養科目や、各分野における専門科目に加え、教員養成大学として必須の教職科目や教科教育科目等から成る教育課程をもっています。近年とりわけ重視しているのが実践的な指導力の向上であり、実際の教育現場に関わる実地教育科目を1回生から4回生まで配置しており、1回生では京都府・京都市教育委員会との連携による「公立学校等訪問演習」を通じて小学校を中心とした教育現場の実情を幅広く学びます。2回生からは、幼稚園・小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・特別支援学校の6つの附属学校園を有する利点を生かして、「附属学校参加実習」(2回生)という形態での実習を経た後、3回生、4回生で本格的な「教育実習」を附属学校園で履修します。さらに教育実習以外に、京都府・京都市教育委員会との連携のもとに、教育現場での公立学校インターン実習やボランティア活動なども実施しています。理論面と実践面の両面からの学びを通じて、高度な専門性を有する教員の養成をめざしています。
【教育学部履修要領】
本学教育学部は、教員養成大学としての使命と教育目的に沿った人間形成を行うために、次に掲げる資質・能力を積極的に培うことを目指して、教育課程を編成・実施します。所定の単位(135単位)を修得した者に学士(教育学)の学位を授与します。
(1)共通教育科目
普遍的な学問的視点や多面的・総合的なものの見方、考え方を身に付けた教養ある社会人を育成することを目的として設置しています。①基礎科目(初年次教育科目を含む)及び②教養科目に区分しています。
①基礎科目
「日本国憲法」、「KYOKYOスタートアップセミナー」、「専攻基礎セミナー」、「情報機器の操作」、「外国語」及び「体育」の6つに区分されています。(初年次教育に関する詳細は後述しています。)
「外国語」は、多様な価値観、異なる歴史・文化をもった人々とのコミュニケーションや相互理解のための科目として、「英語」「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「ハングル」「イタリア語」を設置しています。なお、「英語」を、必修外国語科目としています。
②教養科目
基本的な考え方、歴史、現代社会や日常生活との関わりなどを身に付けられるよう、「社会・文化と人間」、「自然と人間」及び「その他」の区分を設け、幅広い様々な授業科目を設置しています。
(2)専門教育科目
専門教育科目は、①教育課題対応科目、②教科に関する科目・教職に関する科目、③専攻専門科目、及び④卒業論文に区分されています。
①教育課題対応科目
教員養成においては、様々な教育課題への対応と充実した教育実習が重要であるとされています。そのため、現代社会における教育の諸課題への対応力を育成するとともに、教育実習に臨む事前の教育を含め、本学独自の「教育課題対応科目」区分を開設して、人権教育・情報教育・小中一貫教育・国際教育・日本語教育・環境教育・学校安全など、多様な授業を設置しています。(実地教育科目に関する詳細は後述しています。)
②教科に関する科目・教職に関する科目
教育の基礎的理解に関する科目、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目、領域及び保育内容の指導法に関する科目、教科に関する専門的事項・教科の指導法に関する科目、教育実践に関する科目など、教員免許状を取得するために必要な授業科目を設置しています。
特に、教育実践に関する科目として履修する教育実習にあたっては、幼児、児童、生徒の学習や人格形成などに大きな影響を及ぼすことを自覚して、事前に共通教育科目、専門教育科目を履修し、十分な学力を身につけておく必要があります。
③専攻専門科目
学生がそれぞれ所属する専攻ごとに、専門領域の授業科目を履修します。1回生から4回生まで専攻ごとに設置された授業科目を系統的に学び、卒業論文の作成へとつなげます。また、小・中・高等学校の教科に関する専門的事項に関する授業科目を同時に履修します。
④卒業論文
卒業論文(一部の専攻においては、論文形式を取らないこともあります)は、全専攻において必修としています。
(3)自由科目
自由科目として、学校図書館司書教諭の資格取得科目、外国語のスキルアップ科目、国際教育関係科目といった授業科目を設置しています。資格取得や個々の興味、関心に応じて、履修することができます。
(4)得意分野パッケージ科目
本学では、各自の履修目的や意欲により選択することができる「得意分野パッケージ」科目を設定しており、「外国人児童生徒等教育」「発達障害の教育」「幼児教育」「グローカル教員育成」の4つのパッケージを設置しています。いずれも、将来、教職に就いたときに役立つ内容となっていますので、各自の興味・関心も含めた履修目的に応じ、主体的に履修することを奨めています。
学科・専攻等の名称
学科・専攻名 | 修業年限 | 取得可能な学位 |
---|---|---|
学校教育教員養成課程 | 4年 | 学士(教育学) |
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
本学教育学部は、教員養成大学としての使命と教育目的等に沿った以下の資質・能力を積極的に培うことを目指して、教育課程を編成・実施します。
1.教職科目、実地教育科目などを初年次から系統的に履修することで、教師として備えるべき倫理観、規範意識、人権意識を身につける。
2.教職科目、実地教育科目などを履修して、教職に必要な知識や技能を実践的に学び、子どもを理解する力、生徒指導のための知識・技能、子どもの成長・発達についての理解を深める。
3.卒業論文及び専攻専門科目を履修することで、専門的な知識・技能を修得し、自らの関心や問題意識にもとづいて思考し探究する姿勢を身につけるとともに、教職科目・実地教育科目を履修することで、教育実践へ展開できる力を培う。
4.基礎科目、教養科目などを履修することで、思考・判断の基礎となる教養と感受性を培い、思考し表現する力を養う。
5.教養科目、実地教育科目などを履修することで、豊かな人間性と社会性、常識と教養、コミュニケーション力などを身につけ、主体的に協働できる力を養成する。
教育課程の特色(履修モデル、カリキュラムマップ等)
◎初年次教育に関する科目のねらいと概要
本学は初年次教育で3つの力、1.学習適応力(スタディスキル)、2.社会適応力(大学生活のなかで社会人に成長する力)、3.キャリア適応力(希望するキャリア=教職にむけて能力を開発する力)の養成をめざしています。この3つの要素に則して、本学の初年次教育をご紹介します。
1.学習適応力(スタディスキル)の養成
前期の共通科目「KYOKYOスタートアップセミナー」では、本学が独自に作成した教材で、文章表現の作法、レポート作成やプレゼンの基本ルール、著作権の基礎など、スタディスキルを身につけます。図書館ツアーでPCによる資料探索を体験して、それを基にレポートを仕上げます。PowerPointのスライドを作ってプレゼン(口頭発表)にも挑みます。また、グローバル時代の教育のあり方、海外研修や留学などについても具体的な説明をうけます。
コンピュータを使った情報処理については、前期科目「情報機器の操作」で、Word、Excel、PowerPointの基礎を習得し、情報収集、書類作成、データ集計、発表用スライドの作成ができるようになります。
こうした基本的なスキルを身につけて、後期の共通科目「専攻基礎セミナー」に進みます。そこで専攻分野についての手ほどきを受け、より本格的なレポート、プレゼンに取り組むことになります。
2.社会適応力の養成
大学生活に慣れ、高校生から大学生そして社会人へ、滑らかな移行を促すのが狙いです。教育資料館ツアーを通して自大学の歴史や成り立ちを知り、大学生活におけるメンタルヘルスや、SNSなどでトラブルに遭わないための情報モラルについて学びます。また、デートDVなどの性暴力や人権問題についても、正しい認識をもつよう指導されます。
3.キャリア適応力の養成
KYOKYOスタートアップセミナーのなかに、“教師への道”と題した回が用意されています。受講生が4年後に教員として巣立つことを見据え、教職に関する基礎知識、最近の教員採用試験の動向などを提供します。後期になると「公立学校等訪問演習」で、近隣の公立学校を2校以上訪ねて、校長先生と話したり、実際の授業を観察したりして、多様な学校現場に直にふれます。1回生から教職をめざす確かな意識をもてば、3回生での教育実習やインターンシップにも自覚と情熱をもって臨めるでしょう。
◎実地教育科目のねらいと概要
<1回生>
【公立学校等訪問演習】 -教育についての基礎的な認識と教職への心構え-
この授業は、京都府・京都市の幼・小・中・高・特別支援学校およびいくつかの教育関連施設への訪問を中心に実施する、大学における最初の実地教育科目です。オリエンテーションでは、実地教育を履修する上で、最低限身につけておくべき知識・マナーを学びます。また、訪問する学校や教育関連施設では、教職員の仕事や施設の果たす役割などについての説明を受けたり、参観を行うことにより、児童・生徒の立場で「学ぶ側」の視点ではなく、将来の教師として「教える側」に立った新しい視点で、教師の仕事や学校の施設を理解するとともに、“教職”への心構えを持つようになることを目指しています。この一連の訪問を通して得る知識や体験は、次年度以降の本格的な実地教育科目を履修する上での基礎となります。
<2回生>
【附属学校参加実習】 -附属学校園での子どもの理解-
この授業は、3回生での教育実習(主免実習)を行う前の準備の学習として、附属学校園で実施します。ここでは、実際の学校教育の場に入って、学校の教育・学習活動を体験することを通して、子どもを理解し、教育実習をより充実したものにすることがねらいです。この授業までは、まだ「学生」という立場で子どもと関わることになりますが、各々の附属学校園の特色ある教育方針、規則をよく理解し、課題意識を持って教育活動等に積極的に参加することが求められます。
<3回生>
【主免教育実習】 -教員として必要な基礎的な教育実践力の習得-
主免実習は、これまでに、大学での講義や実習・演習等で学んできた教育理論や教科に関する専門的知識と、実地教育科目を通して「学生」の立場で得た経験的な知識を総合し、基礎的な指導力を身につけることを目指して、附属学校園で4週間の実習を行います。この実習で、初めて「先生」の立場にたつことになり、授業だけでなく、学校生活のあらゆる場面で子どもと接することになります。したがって、子どもへの影響力という意味において、これまで以上に責任ある行動が求められ、体力的にも精神的にも厳しい場面に直面する機会が増えますが、それと同時に“充実感”も味わうことになります。多くの人がこの実習を通して、将来の職業としての“教師”を強く意識することになります。
【公立学校インターンシップ】 -公立学校園の現場を肌で感じる-
公立学校インターンシップは、京都府内・京都市内の公立学校園を演習校として、幼・小・中・高・特別支援学校のいずれかに配属されて、担当教員の指導のもとに演習をします。主免実習を終えた3回生後期が演習期間です。附属学校での教育実習を終えた上で、より学びたいという意欲の高い学生が受講しています。公立学校園の現場を肌で感じて、より教員志望が高まっていきます。
【介護等体験】 -障がい者・高齢者に対する理解-
介護等体験は、附属特別支援学校および社会福祉施設等で実施します。この体験は、教育実習とともに、教員免許状を取得するための必須条件となっています。
ここでは、障がいやその他の理由で特別なサポートを必要とする子どもの存在と「子どもの発達」の多様性を知ること、また多様な人生や価値観をもつ家族や地域の人々と積極的にかかわる力をつけることを主なねらいとして設定されています。この体験を通して獲得する知識や姿勢には、他の実地教育科目では獲得できない貴重なことが多々あります。真摯かつ積極的な姿勢で体験に臨むことが求められます。
<4回生>
【副免教育実習】 -異なる校種での教育実践力の習得-
副免実習は、「主免実習」を行った校種とは異なる校種の附属学校園で2週間の実習を行います。異なる校種の児童または生徒と接することにより、子どもの発達段階を見とおした教育実践を行えるようになることを目的としています。
京都教育大学の強みはここにもあります。主免・副免の両免許を取得することで、幼・小・中・高の免許を持ち、今後増えてくる小中一貫校や義務教育学校に対応できる教員を養成しています。
【公立学校等教育実習】 -さらなる教育実習の積み上げと実践力の養成-
本学では附属学校園で複数校種の教育実習を履修することができますが、さらに教員としての資質、能力および実践的指導力を高めるために、附属学校園での教育実習を終えた者のうち、教職の意志が堅固な者(希望者)は、公立学校等で教育実習経験を積み上げることができます。
以上のように本学の充実した実地教育科目は、教員になるために必要な力を学年に合わせて段階的、系統的に向上させていくようになっています。本学の学生にしかできない実践的な学びを支える特色ある取組です。実地教育科目の履修を通して、未来を創る子どもたちを育てる素晴らしい教員に育っていってほしいと考えています。
授業科目
授業の方法・内容
年間の授業計画
シラバス等
学生が修得すべき知識及び能力に関する情報
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
京都教育大学は、「人を育てる知の創造と実践を担う大学」として、不断の研究を基盤とした質の高い教育を通じて、責任と使命を自覚した実践力のある教員を養成し、教育に関する新しい知の創造と実践によって地域及び国際社会に貢献します。本学教育学部は、教員養成大学としての使命にしたがって、所定の単位を修得し、教師となるにふさわしい以下の要件を満たす者に学士の学位を授与します。
1.教師としての使命感、情熱、倫理観や人権意識を持ち、常に学び続ける強い意欲を有している。
2.教育や教職に関わるさまざまな知識や技能を有し、子どもの特性や心身の状況を理解して、誠実に子どもと関わることができる。
3.教科等に関する専門分野において高い知識・技能を修めるとともに、新たな学びを展開できる実践的指導力を有し、自らの関心や問題意識にもとづいて思考し、探究できる。
4.深い教養や豊かな感受性にもとづいて、思考・判断・表現することができる。
5.豊かな人間性や社会性、常識と教養、コミュニケーション力などを有し、地域社会や同僚などと主体的に協働して、新たな課題に対応できる。
学修の成果に係る評価の基準
卒業・修了認定の基準
転学部・編入学等の可否、費用負担
可否 | 費用負担 | |
---|---|---|
転学部 | 不可 | |
編入学 | 不可 |
(2024年9月30日現在)
転学部・編入学情報補足
専攻分野
専攻分野 |
---|
教育学(教員養成課程) |
専攻分野に関する説明