学部・研究科等ごとの目的
高エネルギー加速器を用いて、自然界各階層に存在する物質の構造、機能及びその原理を解明する実験的研究及び理論的研究、並びに加速器及び関連装置の開発研究に係る教育研究を行い、科学の進展に寄与するとともに、社会に貢献する人材の育成を目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
【加速器科学専攻】
(求める学生像】
次の何れかに該当する者は、加速器科学専攻の学生としての適性がある。
1) 加速器開発を通じて、現在、興味がある研究分野に寄与したい。
2) 加速器装置そのものの開発に関心がある。
3) 加速器科学分野で自分の能力を試したい。
4) みんなで協力して物を作り上げることが好きだ。
(入学者選抜の基本的な考え方)
(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)
入学者選抜は書類選考と筆記試験(数学・英語・専門科目)、面接による学力検査で行う。加速器科学の専門的な知識量は問わない。面接では志望動機、基礎学力に加え、研究に必要な知識や情報を新たに獲得する意欲や能力、論理的な思考力などを重視し評価する。筆記試験を課さない特別選抜も実施する。
(3年次編入学選抜の基本的な考え方)
入学者選抜は書類選考と面接試験により行う。面接では上記の観点に加え、加速器科学や関連分野の研究に取り組む意欲、研究を計画し遂行する能力を十分に有していることを重視し判定する。
【物質構造科学専攻】
(求める学生像)
物質構造科学専攻に入学を希望する者には、次の二点を要望する。
1) 生命体を含めた物質科学の基礎的知識、および英語に関する十分な学力を備えていること。
2) 高度な研究を遂行するために必要な資質である客観性、積極性、弛まぬ学習意欲、等を十分に備えていること。
(入学者選抜の基本的な考え方)
(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)
今後の専門的研究のため基礎学力、論理的思考能力、英語の能力に加え、旺盛で柔軟な探究心を持って、これからの学習・研究に取り組もうとしているかを判断する。
(3年次編入学選抜の基本的な考え方)
高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力、これまでの研究に対する理解度に加え、今後の研究展開を自分で独立して追究できるかについて総合的に判断する。
【素粒子原子核専攻】
(求める学生像)
素粒子・原子核物理学に対する強い関心を持って実験的あるいは理論的研究に積極的に取り組む意欲があり、基礎学力とともに論理性や創造性、忍耐力など研究者に必要な素養を持つ学生を求める。
(入学者選抜の基本的な考え方)
(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)
1) 筆記試験では、物理学の基礎知識および数学・英語に関する十分な学力を備えていることを確認する。
2) 面接試験では、高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力に加え、研究活動への適性、積極性、論理性、研究への意欲などを重視する。
(3年次編入学選抜の基本的な考え方)
面接試験により、高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力に加え、研究に対する理解力、積極性、論理性、研究への意欲などを総合的に判断する。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
【加速器科学専攻】
加速器科学専攻の学位プログラムでは、加速器科学と関連諸分野の専門知識と研究能力を身につけるため、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与える。
・加速器科学および超伝導低温工学、計算科学、放射線科学、機械工学等の専攻専門科目によって各々の分野の高度な知識や技能を体系的に習得する。
・研究科共通科目を通じて物理や応用数学などの基礎知識や、高エネルギー加速器および高エネルギー物理学に関わる最先端の広範な専門知識を習得する。
・2年次に高エネルギー加速器科学認定研究をまとめることによって3年次以降に博士研究を進めるための基礎を整える。
・指導教員のもと各研究グループで最先端の研究を進めることを通じて、実践的な研究能力と英語力を含む研究発表・コミュニケーション能力を養成し、博士論文を作成する。
【物質構造科学専攻】
物質構造科学専攻の学位プログラムでは、物質構造科学における基礎的理論と量子ビーム利用実験技術に関する基礎的知識を身につけ自ら研究を実施する能力を養うため、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与える。
放射光、中性子、ミュオン、陽電子等の量子ビームを用いて明らかになる物質構造や生命、量子ビーム利用技術に関する専門科目によって基礎的理論や必要な知識を学ぶ。また、高エネルギー加速器科学セミナーなどの研究科共通科目によって幅広い視野からの洞察力と応用力を養う。さらに、量子ビームを使う実験実習プログラムにより実験データの解析、理論的考察を行う能力を身につける。研究成果を英語で表現し議論する力を国際会議・学会等での発表を通じて養う。担当教員の指導を受けて最終的に博士論文を作成する。博士論文の作成にあたっては2年次の高エネルギー加速器科学認定研究、予備審査を経て、研究分野の発展に貢献する成果を得ることや英語による発表能力を身につけるための指導が行われ、博士論文提出時には審査委員会による判定が実施される。
【素粒子原子核専攻】
素粒子原子核専攻の学位プログラムでは、素粒子原子核物理学の専門知識と研究能力を身につけるため、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与える。
素粒子原子核物理学の基礎的知識と技術を身につける講義を基礎とし、最先端の実験・理論へとつながる専門的講義を設ける。実験部門においては素粒子および原子核物理概論の講義が基礎となり、理論部門においては、場の理論、素粒子理論、宇宙物理などの基礎的講義・演習を基礎とする。
専門的講義・演習では、さまざまな素粒子・原子核実験、実験技術、理論に関する詳細を習得することを目指す。また、研究科共通科目を通じて広い分野の研究に対する関心を高める。
2年次における高エネルギー加速器科学認定研究では、博士論文のための研究を始める準備が整っていることを認定する。
これらを土台として、理論部門における特別研究、実験部門における実習により、素粒子原子核物理学における最先端の研究を進めて、問題解決能力、研究発表の能力、英語力を含む研究能力を養成し、博士論文を作成する。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
【加速器科学専攻】
加速器科学専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。
加速器科学あるいは計算科学・超伝導低温工学・機械工学・放射線科学のいずれかの分野において、高度の専門知識や技能を習得し、自立して研究を遂行し、その成果を学術論文や国際学会に発表し議論をする能力を身につける。国際的研究機関の中で多様な人材と協働して研究を推進できる素養や、社会の幅広い分野で活躍し得る問題解決能力を養う。学位審査論文はオリジナルな内容でかつ当該研究分野の発展に寄与すると評価される水準にあり、また英語による研究発表やコミュニケーション能力を十分有すると認められることが必要である。
【物質構造科学専攻】
物質構造科学専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。
放射光・中性子・ミュオン・陽電子等、粒子加速器から発生する量子ビームを用いた物質構造科学の先端的な実験研究または理論研究を独自に行い、研究分野の発展に新たに貢献する成果を学位論文に記して発表すること。査読付き学術雑誌に受理されたか、それに相当する内容を含むことが必要である。物質構造科学を俯瞰する広い知識と、自立して研究を進める上で必要な問題を解決する力や応用する力、国際的な場で活躍するため英語の理解力・表現力が求められる。
【素粒子原子核専攻】
素粒子原子核専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。
最先端の高エネルギー加速器を用いた素粒子原子核物理の実験および理論、ならびに関連分野における研究開発において、独自の研究を行って国際的にも通用しうる成果をあげ、学位論文に記して発表すること。学位論文に関連する学問分野における専門的知識、自立して研究を進め広い分野で活躍しうる問題解決能力、学会発表等で研究成果を発表する能力、研究に関して英語で論文を記し海外の研究者と議論する能力を身につけること。