学部・研究科等ごとの目的
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(博士前期・後期課程)は,学部4年制課程を修了し,サイエンスを基盤とする「創薬」のプロフェッショナルを目指す研究者を育成するための高度教育・研究機関です。薬学を究めたスタッフが,全力で教育・研究への情熱を注ぎ,「創薬」という夢への挑戦をサポートします。社会の膨れ上がる「創薬」への期待に的確に答えるためには,本研究科での学びが礎となると確信しています。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程は、以下に掲げた力を身につけた人材を求めます。
求める人材像
医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程では、次のような学生を求めます。
1 最先端の研究動向を把握し、地域から国際社会まで幅広く普遍的に貢献する研究者・教育者を志す人
2 創薬・育薬に関する専門的知識を統合した学際的研究を志す人
3 世界をリードする先端的・独創的研究を推進し、研究成果を発信する人
4 創薬・育薬に関する高度で幅広い知識を習得し、科学の進歩に適応しうる問題解決能力を涵養する人
5 入学後は、薬学研究者・教育者に求められる高度な専門知識や研究遂行能力を積極的かつ主体的に学ぶ人
求める力
【実践力】
課題に対する解決策を自ら考案・実践できる
【探究力】
独自の専門力を駆使して、創薬・育薬に関する課題に迫ることができる
【コミュニケーション力】
成果を多角的にまとめ、他者と相互に意見交換できる
【専門力】
研究を自ら立案・遂行するための専門性の高い知識と技能を有する
【教養力】
幅広い視野をもち、様々な問題を解決するために必要な情報や知識を習得できる
選抜方針
幅広く多様な人材を確保するため、一般入試、進学者選考を複数の日程で実施します。
選抜方法
口述試験と外部英語試験、および出願書類により評価を行い、医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程での学修に足る学力、適正を測ります。
選抜方針・各選抜方法の具体的な考え方
(1) 一般入試 広く大学院博士後期課程進学希望者を対象とした入試で、口述試験と外部英語試験、および出願書類により評価を行います。口述試験では、志望する教育研究分野の専門科目により、専門研究分野に関する知識および理解力【専門力】、更には課題解決・探究力【実践力・探究力】について評価を行うとともに、出願書類とあわせて研究を遂行する上で必要とされる情報収集・発信能力、幅広い視野、主体的に学ぶ態度など【教養力・コミュニケーション力】について総合的な判断を行います。英語能力については、外部英語試験の成績により評価します。
(2) 進学者選考 本学大学院博士前期課程又は修士課程を修了し、大学院博士後期課程への進学希望者を対象とした入試で、口述試験と外部英語試験、および出願書類により評価を行います。口述試験では、志望する教育研究分野の専門科目により、専門研究分野に関する知識および理解力【専門力】、更には課題解決・探究力【実践力・探究力】について評価を行うとともに、出願書類とあわせて研究を遂行する上で必要とされる情報収集・発信能力、幅広い視野、主体的に学ぶ態度など【教養力・コミュニケーション力】について総合的な判断を行います。英語能力については、外部英語試験の成績により評価します。
入学前に学習しておくことが期待される内容
・研究を遂行する上で必要とされる創薬・育薬に関連する科学的基礎学力に加えて、希望する教育研究分野に関する専門的な知識と実験技術
・英語論文作成および国内外での研究発表や討論に必要な英語能力
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
卒業認定・学位授与の方針(ディグリー・ポリシー)で掲げた力を修得した人材を養成するため、医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程として以下の方針および考え方に基づき、教育課程を編成し、実践します。
教育の実施方針と教育内容および方法の考え方
【教育の実施方針】
持続可能社会の実践に向けて学生が主体的に学び続ける能力を育成する教育を実施します。
・自らの課題を様々な角度から検討し、考えの異なる人との協働で、その課題を実社会にあてはめ、独創的な課題解決を導くために必要な知識や技能を身につけ、また、課題の解決策を平易な言葉で説明できる技能も育てる共通教育として、コースワークでは、初年次配当の研究科共通科目で、薬科学学位プログラムの概要や学修目標、研究倫理や情報セキュリティなどについて学ぶ概論科目、薬学・生命科学領域の第一線で活躍中の研究者によるオムニバス講義を提供して、広範かつ先端的な知識を修得するとともにリサーチ・マインドを涵養します。さらに、大学院レベルの教養教育科目に位置づけられ、リサーチワークを進めるために必要不可欠な知識と技能の習得を目的とした授業科目を大学院共通科目として提供します。多様な学問領域に関心を持てるよう、学内で開催される講演会を授業とみなすこともあります。これらの科目によって【教養力】を養います。その後、自身が深めた専門分野の体系的な知識や技能、更に周辺分野も加えたそれらの統合的な知識や技能により、地球規模の課題と向き合って解決する策を創造できるように、薬学・生命科学領域で多岐にわたるプログラム専門科目を提供します。幅広い専門性に対応するため、他専攻所属の兼担教員の提供する授業科目や、他機関と共同で設置された連携大学院科目も提供します。これらの科目によって【専門力】を養います。
・リサーチワークの研究指導科目として、情報収集・計画立案・研究の実施と記録を行う実習科目、自身の研究過程・成果および研究課題に関連する論文報告について論理的・批判的に検証・考察して発表する演習科目を提供します。それぞれの専門分野での学びを社会実装などに繋ぐための統合型演習も提供します。これらの科目によって【実践力・探究力・コミュニケーション力・専門力】を養います。さらに研究の中間段階では、研究基礎力審査に相当する科目を提供します。それに加えて、多言語での研究活動や実践現場での活動を想定して、学会等で日本語だけでなくさまざまな言語での発表や交流する機会をもつことを推奨するため、国際学会での発表を推奨する授業科目も提供します。この科目によって【実践力・探究力・コミュニケーション力】を養います。
・正課外教育として、学生が授業での学びを越えて自らの成長を実感できるように、専攻を超えた異分野の授業科目を履修できる機会や研究室での活動の場を提供します。
【教育内容および方法の考え方】
主体的・対話的で深い学びの視点から、「何を教えたか」から学生が「何ができるようになったか」を重視して、医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程では、ディグリー・ポリシーを実現するために以下の教育カリキュラムを編成し、以下の教育内容および方法を提供します。なお、学務委員会を中心として、教育方法の継続的な改善に取り組んでいます。
・コースワークでは、講義形式および演習形式の科目を提供します。演習形式の科目では、アクティブラーニングにより、学修者が主体的かつ能動的に学ぶことができる場を提供します。
・リサーチワークを行う上で、学生は指導教員との議論を通じて薬学および関連分野での先端的かつ独創的な研究課題を設定し、各年次の始めに研究計画を自身で立てて指導教員に提出、指導教員はそれに基づいて研究指導計画書を作成して学生に交付することで、研究指導計画を共有してリサーチワークを進めます。また、所属教育研究分野以外の教員を副指導教員として選定し、複数の教員による指導体制を構築しています。リサーチワークとしては、実習科目と演習科目、および統合型演習科目を提供します。
学修成果の評価方針
規定数以上の単位修得と、リサーチワークに基づく研究成果を纏めた学位論文の審査と最終試験によって学修成果を評価します。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程では、創薬・育薬を中心とする薬学および関連分野を先導し、広く人類の健康に貢献する国際水準の研究と教育を推進しています。これらの研究・教育活動を通じて、深い教養と高度な専門性、さらには、社会をリードする実践力と自ら成長し続ける探求心を有し、得られた成果を世界に発信できるコミュニケーション力を備えた、薬学および関連分野の研究者や大学教員、高度な専門性を有する行政職員として社会の要請に応える人材を養成します。そのため、以下の資質・能力を身に付けることを求めます。
修得できる力:実践力・探究力・コミュニケーション力・専門力・教養力
【実践力】論理的に考案し、多面的な検討から新知見を得ることができる実践力
社会が直面する広汎かつ複雑な課題に対して薬科学の知識を統合して科学的根拠に基づく解決策を自ら論理的に考案し、多面的な検討から新知見を得ることができる
【探究力】独創的に解明できる探究力
培った専門力を駆使して創薬・育薬に関する課題の本質に迫り、独創的に解明できる
【コミュニケーション力】成果を発信、議論できるコミュニケーション力
成果を専門誌で世界に向けて発信し、様々な場面において議論できる
【専門力】個々の知識を統合して発揮できる専門力
創薬・育薬開発に関する研究を自ら遂行するための高度な専門知識と技能を習得し、個々の知識を統合して発揮できる
【教養力】問題点を整理し、課題解決に結びつけることができる教養力
薬学研究者として幅広い視野と豊かで国際的な教養を身につけ、創薬・育薬を取り巻く世界情勢を理解し、今後の問題点を整理し、課題解決に結びつけることができる
医歯薬学総合研究科薬科学専攻博士後期課程では、上記の資質・能力に加え、創薬・育薬および関連分野を先導する知のプロフェッショナルにふさわしい世界水準の広い学識と、研究課題を自ら設定し、自立して研究を遂行できる研究者としての高度な研究能力を身に付けるとともに、所定の単位を修得し、学位論文にまとめた研究成果が学位授与の水準を満たした者に博士の学位を授与します。