学部・研究科等ごとの目的
歯学部は、「国民への高度な歯科医療の提供」と「先端的な歯科医療の研究開発」を重視し、教育・研究を通して世界最高水準の歯科医療人材を育成することを目的としています。これまでの卓越した研究成果と国内外における交流活動の実績を基礎として、歯科医学の発展と課題解決に対する学生の自発的な取り組みと研究マインドの醸成を促します。また、国内外の学生や関係学部の教職員との対話や議論、連携を通じて、高い倫理観を持つ豊かな人間性を形成できるように支援し、地域社会に貢献できる歯科医師を養成するだけでなく、活躍の場を教育職、研究職、行政職、さらには海外に求め、幅広い分野において中核的に活躍し、次世代を担い得る指導的人材の育成を目的とした教育を行います。
入学者受入方針（アドミッション・ポリシー）
求める人材像
歯学部では、歯科医師として国民の健康、福祉・介護に興味を持ち、歯科医学の発展と地域医療、さらには国際医療に貢献したいという明瞭な目的意識を持つ、以下の人材を求めています。
求める力
【実践力】
何事にも興味を持ち、意欲的に取り組むことができる。
【探究力】
生命科学・健康科学に強い好奇心と知的探究心を持っている。
【コミュニケーション力】
思いやりと高い倫理観を備え、他者への理解と自己表現ができる。
【専門力】
進歩する歯科医学に対応するために必要な基礎学力を持っている。
【教養力】
知的好奇心が旺盛で、学びを継続することができる。
歯学部の選抜方針
文系・理系に関わらず幅広く多様な人材を確保するため、科目を配慮し、複数の試験及び日程の入試を実施します。
歯学部の選抜方法
学力検査、面接、書類審査などによる試験のいずれかを、あるいは組み合わせて行い、歯学部での学修に足る学力または適性を測ります。
学力検査においては、歯学を学ぶ上での基礎学力を、面接では、医療人としての倫理観やコミュニケーション力を、また、志望理由書や調査書において、歯科医療に対する熱意や好奇心・探究心などを評価します。
選抜方針・各選抜方法の具体的な考え方
・一般選抜(前期日程)
６または７教科８科目の大学入学共通テストを課し、高等学校卒業レベルの基礎学力を評価します。個別学力検査等では数学・理科（２科目）・外国語（英語）を課し、歯学を学ぶ上で基盤となる科目への理解度と応用能力を評価します。また面接により歯学に対する好奇心、歯科医療に貢献したいという熱意、そして医療人としての倫理観やチーム医療に大切なコミュニケーション能力を総合的に評価します。
・学校推薦型選抜Ⅱ（大学入学共通テストを課すもの）
６または７教科８科目の大学入学共通テストを課し、高等学校卒業レベルの基礎学力を評価します。個別学力検査等では小論文により論理的思考力と表現力を、また面接により歯学に対する好奇心、歯科医療に貢献したいという熱意、そして医療人としての倫理観やチーム医療に大切なコミュニケーション能力を総合的に評価します。
・私費外国人留学生選抜
日本留学試験の日本語・数学・理科（２科目）を課し、高等学校卒業レベルの基礎学力を評価します。また前期日程の個別学力検査と同一の問題を用いて、英語、数学及び理科（２科目）の学力を評価します。さらに面接により、日本語の能力、歯学に対する好奇心、歯科医療に貢献したいという熱意、そして医療人としての倫理観やチーム医療に大切なコミュニケーション能力を総合的に評価します。
・国際バカロレア選抜
書類審査と面接により、歯学を学ぶ上で必要となる基礎学力及び歯学に対する好奇心、歯科医療に貢献したいという熱意、そして医療人としての倫理観やチーム医療に大切なコミュニケーション能力を総合的に評価します。
・その他(編入学試験)
４年制大学卒業者を対象に、編入学試験を実施します。書類審査によって基礎学力や出身大学で受けた専門教育の背景を吟味し、小論文と面接により論理的思考力、表現力、歯学に対する好奇心、歯科医療に貢献したいという熱意、そして医療人としての倫理観やチーム医療に大切なコミュニケーション能力を総合的に評価します。
教育課程編成・実施方針（カリキュラム・ポリシー）
卒業認定・学位授与の方針（ディグリー・ポリシー）で掲げた力を修得した人材を養成するため、歯学部として以下の方針及び考え方に基づき、教育課程を編成し、実践します。
教育の実施方針
持続可能社会の実践に向けて学生が主体的に学び続ける能力を育成する教育を実施します。
歯学部の教育は６年一貫の授業プログラムで行われ、歯科医師国家試験に合格するだけでなく、歯学部ディグリー・ポリシーに掲げる学士力を備え、世界の多様な課題に取り組むことのできる医療人、研究者育成のために、特色あるカリキュラムを策定し、実施します。
教育内容の考え方
主体的・対話的で深い学びの視点から、「何を教えたか」から学生が「何ができるようになったか」を重視して、以下の教育内容を提供します。
【共通教育】
全ての学生に共通して求められる汎用的技能の育成を目指し、他の学生と学び合う、共に育ち共に創る実践的な活動を提供します。
自身が学ぶ専門領域とその関連領域にとどまらず、幅広い学識を有するため、また、保健医療福祉領域では必須とされる多職種協働に向けた「多職種連携に関する科目」を提供します。
【専門教育】
専門領域の内容を体系的に提供することによる深い理解と、異なる専門領域の知識を統合したり、創造したりすることができる機会を提供します。
歯学教育モデル・コア・カリキュラムを基本とし、歯科医師になるために必要な知識・技能・態度を修得するための臨床系専門教育科目と、その礎となる基礎系専門教育科目を設定しています。
［具体的な履修の展開］
まず、本学が独自に構築した、早くから医療人としての自覚を持てるよう促すための「早期見学実習」を１年次に実施し、チュートリアルを含む様々なアクティブラーニングの授業を初年次教育から取り入れます。３年次には選択科目「自由研究演習」として、各分野の研究テーマを学び、実際に研究活動に参加し、研究成果を発表する機会を提供しています。1年次から５年次までの基礎・臨床専門教育においては、知識をより深く理解し、実践する能力を培うための講義と実習を並行して行います。また、４、５年次にかけて、歯科領域だけでなく、全身的な医学・疾患に関する知識を修得するため「隣接医学」を開講します。健康長寿社会の実現に向けて、3年次で「介護施設を用いたPBL演習」、４、５年次で「講義シリーズ」として、生活習慣病や急性期医療、在宅介護医療に関する講義をe-learning を活用して学習します。「EBMとプロフェッショナリズムへの覚醒」では歯科医師として生涯教育の基礎となる職業倫理と臨床判断能力を身につけ、多職種連携科目により歯科以外との連携について実践します。６年次の「死生学・認知症」では、医療人として必要な哲学観、倫理観に基づき、患者の病床、終末期・認知症の患者の心に寄り添うための知識・態度を養います。さらに５年次から６年次にかけては、岡山大学病院における実際の臨床の現場で教員の指導を受ける「診療参加型臨床実習」を組み入れた授業科目を展開するとともに、「高度医療支援・周術期口腔機能管理実習」として、超急性期医療の現場を、また、「在宅介護歯科医療実習」として、地域医療の現場で活躍する臨床講師の指導の下、在宅歯科医療を体験します。
専門教育科目は１年次から開始し、４年次までに歯学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠した基礎・臨床系専門科目を行い、臨床系専門科目については５年次前半までに履修完了します。また臨床技能実習を経て、５年次から６年次まで臨床実習を行います。そして、統合型学習としての「総合歯学演習」を行い、６年間の歯学教育内容を整理します。
なお、「診療参加型臨床実習」に進むためには、厚生労働省が定める共用試験（Computer Based Testing; CBT、Pre-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination; Pre-CC OSCE）に合格する必要があります。「診療参加型臨床実習」の修了要件には、歯学生共用試験（Post Clinical Clerkship-Performance Examination; Post-CC PX）の合格が義務付けられています。
【言語教育】
グローバル社会を生きるうえで必要とされる英語力を伸ばす教育を提供します。
１、２年次では、聞く、読む、話す、書くを統合した総合力を伸ばすために必要な英語、異文化理解の科目群を通じて言語を学ぶ初修外国語、留学生には日本語、それぞれを学ぶ機会を提供します。３年次には、選択必修科目「歯学国際交流演習(ODAPUS)」として、海外大学へ聴講生(Auditor)として参加できる科目を提供しています。加えて、正課のみならず正課外においても言語を学ぶ機会を創出します。
教育方法の考え方
前述の教育内容を以下の方法で提供します。
①自身の可能性を主体的に広げる教育方法を展開します。
人が交わる共通教育、知が交わる専門教育、言葉が交わる言語教育を通して他者を理解し、切磋琢磨しながら、自身の可能性を広げる教育方法を実施します。
②総合大学の特長を活かした教育体系を提供します。
自らの専門を尊重しながらも、様々な専門との出会いにより、共に考え、共に動き、共に創り、共に育む教育体系を展開します。
③学生の成長に応じた実践的な教育プログラムを提供します。
学外実習や留学等、地域や世界とつながった学びを提供します。
④教育内容に合わせた適切な授業形式を提供します。
授業への積極的な参加を促すため、一部でアクティブラーニングの手法を取り入れるとともに、対面での講義・演習・実習、オンライン講義など、科目の目的に応じて様々な授業形式を展開します。
学修評価の考え方
授業科目の成績評価については、その基準・方法を予め明示し、それらに基づいて学習成果を評価します。
それぞれの科目の評価は、科目の目的、身につく能力を的確に測定できるように多様な方法で行われます。すなわち、学士力の基盤となる知識の評価は試験やレポートで、点数化の難しいパフォーマンスや態度の評価には、ルーブリック評価やピア評価、360度評価等も加えて総合的に行います。
講義科目では主に総括的評価を、演習科目では主に形成的評価を重視します。評価は主に、A＋・A・B・C・F 評価で実施し、到達目標の概ね達成の基準Cを設定しています。各科目の評価方法はシラバス等により履修者に示します。
正課外教育の考え方
学生が授業での学びを越えて自らの成長を実感できる正課外の機会を提供します。
学位授与方針（ディプロマ・ポリシー）
【実践力】多様な場面で活躍し、チームを牽引する力
歯科医学を基盤に、幅広い領域で活躍することできる。
【探究力】科学的素養を生かし、探求を続ける力
科学的素養を基盤に、課題の発見と解決に努め、自己研鑽を続けることができる。
【コミュニケーション力】情報収集能力と発信能力を有し、良好な人間関係を構築する力
歯科医学における諸課題について、自発的に情報収集・分析し、成果を効果的に発信できることに加え、周囲との良好な人間関係を構築できる。
【専門力】進歩する歯科医学に即応する力
医療に対する社会の要請と歯科医学の進歩に、身につけた専門的知識と技能、態度で速やかに対応し、高度な医療福祉の担い手となることができる。
【教養力】多面的・多角的視野を持ち、継続して学ぶ力
自然や社会の多様な問題に対して関心を持ち、その問題解決のため、高い倫理観を持って学び続けることができる。