学部・研究科等ごとの目的
理学には、二つの役割が期待されています。
・「なぜ?」という知的な興味から真理を探究し、数のさまざまな法則やミクロな世界から宇宙に至るまでの自然の仕組みを明らかにすること。
・得られた知識や理論を活かし、先端的な情報技術の開発、新しい機能を有する素材の創生、生命生存に適した環境の保全・創造というような広い応用分野に基礎分野から貢献すること。
理学部では、このような期待に応えるため、次のような目標を掲げています。
新潟大学理学部は、自然界の構造と仕組みについて真理を探究する基礎科学研究を推進するとともに、社会から要請される広い応用分野に基礎学問領域から貢献することを目指します。本学部は、次のような施策に基づき、科学技術の基盤となる理論と方法の創出を担う人材と、基礎科学を基盤にして現代社会が直面している多様な課題に対応できる人材を育成し、社会に送り出すことを教育目標とします。
1.理学の各分野における系統的・段階的な講義履修体系の編成
2.理学の複数分野を横断する学修目標に基づいた講義履修体系の編成
3.理学の共通基盤形成に必要な演習・実習科目の設置
4.課題解決力の育成を目的としたアクティブ・ラーニング科目の設置
5.社会との連携を重視したインターンシップの推進
6.学生の進路意識の向上を図るキャリア教育の推進
7.コミュニケーション力育成を重視した国際交流の推進
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
(教育内容・特色) 理学科での学修は、数学と理科の全分野に対応した7つの学位プログラム(数学プログラム、物理学プログラム、化学プログラム、生物学プログラム、地質科学プログラム、自然環境科学プログラム、フィールド科学人材育成プログラム)からなります。それぞれの学位プログラムでは、数学や理科の体系的教育を通して、理学全般の基礎と専攻する分野の専門的知識を身につけるとともに、種々の現象を理論や実験を通して理解し、的確に表現できる能力を身につけます。また、充実した野外実習科目を通して、野外の様々な場面で必要となる知識と技術と、それらを統合して多様な分野のフィールド活動に応用できる能力を身につけます。特に地質科学プログラムとフィールド科学人材育成プログラムではフィールド教育に重点がおかれます。
入学後は、入試の試験区分や選抜方法によらず、理学科の学生として理学の基礎教育を受け、理学の全体像を把握した後、2年次半ばに各学位プログラムへ移行します。
数学、物理学、化学、生物学、地質科学の各学位プログラムでは、専攻する分野の専門性を深める専門力プログラムと、専攻する分野とその学際分野を学ぶ総合力プログラムのいずれかを選択して履修します。自然環境科学プログラムでは、専門性を深めるために必要となる多分野の理学的知識を身につける専門力プログラムを履修し、またフィールド科学人材育成プログラムでは、理学部と農学部の授業を取り入れた独自のプログラムを履修します。
以上の各プログラムによって、それぞれの分野のエキスパートとして社会における諸問題に的確かつ柔軟に対応し解決する能力を育成します。 (求める学生像) 理学科は、理論、実験、あるいは野外観察の知識と方法の習得を通じて能動的な学習態度を身につけ、さらに習得した知識と方法を実践することによってより高度な専門的課題や社会の諸問題に臨機応変に対応し解決できる能力を身につけたいと考える人を求めています。特に、数学や理科に興味を持つとともに他分野への応用にも関心がある人、数理や自然の法則の探求に興味を持って取り組む人、また、理学の各専門分野に意欲的に取り組む人、そして、様々な個性や多様な能力を生かして、自らを成長させ、社会に貢献したいと考えている人を積極的に求めています。
入学後の学修のため、数学は下記の科目の内容を履修していることが望まれます。また理科は、下記の科目のうち複数の科目およびその基礎科目の内容を履修していることが望まれます。
数学:数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学Ⅲ、数学A、数学B、数学C
理科:物理、化学、生物、地学
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
<教育課程の特徴>
理学部の教育課程は、すべての学位プログラムを理学科1学科の下に配置・構築した分野横断型の教育システムである。理学人材に共通して求められる科学的素養と汎用的能力の育成を強化するために、学位プログラムの第一段階(1年次から2年次前半)には、アクティブ・ラーニングによる転換教育を含む理学部共通科目を導入する。2年次後半以後の第二段階においては、分野横断型の学修を通して複合的な課題に柔軟に対応できる力を育成する「総合力プログラム」を導入し、専門分野を体系的に学修して専門的課題解決力を育成する「専門力プログラム」と併せ、多様な専門形成を可能とする設計とした。
<教育課程の編成方針>
理学部理学科には以下の7つの学位プログラムを設定する。
・数学プログラム
・物理学プログラム
・化学プログラム
・生物学プログラム
・地質科学プログラム
・自然環境科学プログラム
・フィールド科学人材育成プログラム
入学後の最初の1年半は、各学位プログラムに分かれることなく、全学生を対象に理学部共通教育を実施する。総合的な判断力・課題対応力の基盤となる理学の幅広い基礎リテラシーを修得するとともに創造性・柔軟性・コミュニケーション能力形成の基盤を培う。2年次後半以後、学位プログラムのカリキュラムに沿って学修し、基礎科学各分野の専門知識と実践技能、特に課題解決力を身につける。学位プログラムでは、「専門力プログラム」あるいは「総合力プログラム」または理学部と農学部の学部横断型主専攻である「フィールド科学人材育成プログラム」のいずれかに沿って学修を進める。
・教養に関する科目(初習外国語、英語、体育実技、人文社会教育科目、新潟大学個性化科目)により、幅広い教養を身につける。
・「自然系共通専門科目」を履修することにより、数学、物理学、化学、生物学、地学の基礎を修得する。
・「理学部共通ベーシック科目」、特に、アクティブラーニング(必修)により、能動的かつ実践的な活動によって、自らの学修ビジョンを形成して主体的学修への意識転換を図り、また、広い視野とコミュニケーション力を身につける。
・「理学部共通ベーシック科目」の基礎実習(必修)により、基礎実践力を複数の分野で身につけることができる。
・「理学部共通コア科目」により、専門形成の初期段階における知識を複数の分野で修得する。
・講義、実験、実習、演習からなる学位プログラム専門科目により、選択した学位プログラムの専門分野における専門知識と実践技能を修得するとともに、卒業研究では、課題解決力や様々な汎用的能力を身につける。
・「専門力プログラム」では、特定の専門分野での体系的な知識・技能の修得を重視する。
・「総合力プログラム」では、②多様な社会のニーズに対して貢献できる人材像を目標に設定し、学位プログラム専門科目だけでなく他学位プログラム専門科目を合わせて履修し分野横断する課題への対応力を修得する。
・「フィールド科学人材育成プログラム」では、理学分野の基礎科学と農学分野応用科学を備えた上で、フィールド分野の専門的知識及び野外活動での実践力を修得する。
・特に明確な目標や強い学修意欲と能力もった学生には、「フロンティア・スタディ・プロジェクト」により、先取り履修などの積極学修や研究活動への参加を通して、優れた能力を一層伸ばしていく。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
<人材育成目標>
理学部では、基礎科学各分野の専門的知識や専門技能を修得するだけでなく、原理や本質を考える科学的思考力とともに、自然科学に関する広い視野や専門分野を横断して獲得した知識を活用し、科学技術の進化や社会構造の変動にともなって変化していく多様な現実の課題に柔軟かつ創造的に対応できる人材を養成する。
<修了認定(学位授与)の基準)>
理学部は、基礎科学の立場から産業や教育および学術的研究分野における多様な課題に柔軟かつ創造的に対応できる人材を養成するという目標のもと、数学、物理学、化学、生物学、地球・環境科学など基礎科学各分野の専門的知識や専門技能を有するだけでなく、原理と本質を考える科学的思考力、自然科学に関する広い視野、専門分野を横断する知識を持ち、これらを課題解決に活用できる学生に、学士(理学)の学位を授与する。到達目標は以下の通りである。
・人文社会科学分野の基礎理解や語学を含む幅広い教養を身につけている。
・数学、物理学、科学、生物学、地学などの理学の広範な分野における素養を身につけている。
・各学位プログラムが対象とする専門分野における基盤的な知識や基本的な実践技能を修得し、科学的な思考力と判断力を身につけている。
・専門分野の知識技能をもとにした実践的な課題解決力を身につけている。
・専門分野における現実的な研究課題や専門分野をまたぐ複合的な課題に対応できる柔軟性を身につけている。
・理学の素養と専門的知識技能をもとにした、コミュニケーション力、表現力を身につけている。
・課題解決にむけて、積極的に取り組む意欲、協調性、発想力を身につけている。
これらの能力を含む形で定められている各学位プログラムの修了認定の基準を満たした者に、学士の学位を授与する。