学部・研究科等ごとの目的
医学科では,高い倫理観と豊かな教養を備え,科学的探究心をもつ医療人養成を目指しています。
このため,大学キャンパスに留まらず広く学外での学びの場が活用できる体制を用意し,高い問題解決能力を育成することを重視しています。また,チーム医療の実践に必要なコミュニケーション能力,国際的に活躍できる語学能力の育成にも力を入れています。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
●求める学生像
医学部医学科では,以下のような能力を身につけてきた学生を求めています。
知識・技能
1.高等学校で履修する英語,数学,理科,社会,国語,情報において,入学後の医学部の修学に支障がないレベルの知識を有している。
思考力・判断力・表現力
2.人のために尽くそうとする明確な意志を有している。
3.地域医療を担う意欲と使命感を有している。
4.生命及び人に対する尊厳と倫理観及び理論的な思考力を備えている。
5.探究心が豊かであり,未知の分野に挑戦しようとする情熱を有している。
6.異文化や自分と異なる考えを受け入れ,広い視野で物事を判断し思考できる。
7.自分の意見や考えをわかりやすく言葉や文章で表現できる能力を有している。
主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
8.コミュニケーション能力に長けている。
9.相手の気持ちを理解するとともに支持し,周囲の人々と協調性を持って行動できる。
●入学者選抜の基本方針
一般選抜(前期日程)
大学入学共通テストでは,英語,数学,理科,社会,国語,情報において,入学後の医学部の修学に支障がないレベルの基礎学力を有しているかを評価します。
個別学力試験では,数学,英語の筆記試験を課し,これらの科目の知識,思考力,判断力,表現力を評価し,さらに面接では,医療人として必要な豊かな人間性,幅広い教養と高い倫理観,コミュニケーション能力,主体的な行動力,問題を自ら発見し解決を図る能力,情報収集能力及びチームとして協働できる能力などを評価します。
なお,県内定着枠では,卒業後は島根大学医学部附属病院を含む島根県内の病院の臨床研修プログラムにより初期研修及び専門研修を受けるとともに,島根県の地域医療に貢献する意欲・使命感を面接によって評価します。
学校推薦型選抜Ⅱ
大学入学共通テストでは,英語,数学,理科,社会,国語,情報において,入学後の医学部の修学に支障がないレベルの基礎学力を有しているかを評価します。
小論文では,出題された文章等に対し,主として論述式により解答する問題を課し,知識,物事の判断,論理的思考,分析・考察,問題解決等の能力を評価します。
面接では,医療人として必要な豊かな人間性,幅広い教養と高い倫理観,コミュニケーション能力,主体的な行動力,問題を自ら発見し解決を図る能力,情報収集能力及びチームとして協働できる能力などを評価します。
地域枠学校推薦型選抜
出願前にへき地医療機関等で医療福祉体験活動を行い,適性評価を受けるとともに,市町村長等による面接を受けます。この面接は,志願者が故郷の地域医療に貢献したいという強い意志を持っていることを確認するとともに,医師となるにふさわしい資質を備えているかを多面的に見極めます。
小論文では,物事の判断,論理的思考,分析・考察,問題解決等の能力を評価します。
面接では,医療人として必要な豊かな人間性,幅広い教養と高い倫理観,コミュニケーション能力,主体的な行動力,問題を自ら発見し解決を図る能力,情報収集能力及びチームとして協働できる能力とともに,志願者が故郷の地域医療に貢献したいという強い意志を評価します。
緊急医師確保対策枠学校推薦型選抜
出願前に県内医療機関等で医療体験活動を行い,適性評価を受けるとともに,島根県担当者による面接を受けます。この面接は,志願者が島根県の地域医療に貢献したいという強い意志を持っていることを確認するとともに,医師となるにふさわしい資質を備えているかを多面的に見極めます。
小論文では,物事の判断,論理的思考,分析・考察,問題解決等の能力を評価します。
面接では,医療人として必要な豊かな人間性,幅広い教養と高い倫理観,コミュニケーション能力,主体的な行動力,問題を自ら発見し解決を図る能力,情報収集能力及びチームとして協働できる能力とともに,志願者が島根県の地域医療に貢献したいという強い意志を評価します。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
1. 教育課程の編成の方針
(1)医学科では、ディプロマ・ポリシーを達成するため6年間の段階的な一貫教育を通じ、医の倫理やプロフェッショナリズム及び、医師になるために必要な知識、技能、態度を身につけます。
(2)医学科では、ディプロマ・ポリシーに包含されるコンピテンスを定め、それぞれ具体的な到達目標がコンピテンシーとして設定されています。その到達目標を達成できるようカリキュラムが構築されます。
(3)医学科では、中核となる必修科目だけでなく、選択科目が豊富に設定され、自主性を重視した授業構成を医学科全体として行うことで、学生の学習意欲を刺激します。
(4)基礎科学、基礎医学、臨床医学を統合した学習を目指した、領域ごとの垂直-水平的統合を推進します。
(5)アクティブラーニングを積極的に導入し、生涯にわたって共に学ぶ姿勢を涵養します。
2. 教育課程における教育・学習方法に関する方針
①各学年次におけるカリキュラムの方針
(1)1年次には、「医療倫理・プロフェッショナリズム」、「行動科学」を含む教養育成科目のほか、基礎科目を履修し、豊かな教養を養うとともに、生命の尊厳や倫理観についての認識を深めます。また、医学部附属病院での早期体験実習を通じて、将来医師となるための動機付けを行います。「情報科学概論」や「数理・データサイエンス」にて、急速に発展するICT (Information and Communication Technology)にいち早く対応できる知識と技能を身につけます。また、「組織学」「生化学」「免疫学」といった専門教育科目も開始されます。
(2)2年次は、基礎医学系の「解剖学」「生化学」「生理学」「医科遺伝学」、臨床基礎医学系の「免疫学」「細菌学」など専門教育科目を履修し、臨床医学を修得し応用するための基本的な医学知識を修得します。
(3)3年次には、「薬理学」「病理学」「ウイルス学」「放射線基礎医学」といった臨床基礎医学系の科目に加え、「法医学」「医事法制」「環境保健医学」などの社会医学系の科目を修得します。また、学生自らが希望する講座で研究や臨床の基本を学ぶ「研究室配属」を実施します。この間、医学研究に対する理解を深め、研究に対する姿勢(科学的探究心・リサーチマインド)を身につけます。
(4)3年次から4年次にかけては、「医学チュートリアルコース」が開始されます。垂直-水平的統合の一環として、臓器別・系統別に17コースが設けられ、コースに関連する基礎医学、臨床基礎医学、社会医学を組み込んで、臨床医学への導入を学びます。また、自学自習の習慣や問題解決能力、主体性・リーダーシップ等の能力を身につけるために、PBL、TBL教育が行われます。
(5)4年次に、共用試験CBT及び医学系臨床実習前OSCE(Pre-CC OSCE)を実施します。これらに合格すると、スチューデント・ドクターの称号が与えられ臨床実習を行うことができます。
(6)4年次末から6年次にかけて、診療参加型臨床実習(クリニカル・クラークシップ)を72週間にわたり実施します。学生は指導医のもとで、医療チームの一員として責任と主体性を持って実際の診療に参加します。これにより、実践的な臨床能力及びコミュニケーション能力を身につけ、また、多職種連携、チーム医療や医療倫理・医療安全、患者医師関係など幅広く臨床医学の基本や態度を学びます。また、この間に、課題抽出能力や問題解決能力及び生涯にわたって自己学習・研鑽に励む能力を養います。
(7)臨床実習(72週)のうち、16週は総合診療・地域医療学、精神科神経科、産科婦人科、小児科の4つの診療科に関して4週連続の診療参加型臨床実習を行います。特に、総合診療実習のほとんどにおいて、島根県内の約20の地域医療機関の中から選択して、臨床実習を行います。それ以外の診療科は1週ずつローテ―トします。
(8)6年次には、内科系診療科3つ、外科系診療科3つの計6つの診療科(計24週間)を選択して、4週連続の診療参加型臨床実習を行います。また、4週間のフレキシブル実習として、県外や海外の医療機関での研修も可能としています。また,医学系臨床実習後OSCE(Post-CC OSCE)を実施します。
②6年間一貫したコース構築について
(1)1年次開講の地域医療学や、臨床実習内での総合診療・地域医療学では、地域医療への貢献についての動機付けを図ります。更に、全学年の希望者を対象に、地域医療体験実習を実施し、県内の医療機関で地域医療を体験します。
(2)英語教育は1年次から6年次まで6年間一貫して実施し、医学英語の基礎から実践的な語学力向上を図ります。また、選択科目として、「アドバンスト・イングリッシュスキルコース」を設け、より高度な英語力の修得と異文化の理解を通じた国際的視野の涵養を図ります。海外の医療機関における実習に積極的に参加することで、国際性やグローバルな視点を身につけます。
(3)また、学生が自主的に教員のもとで研究の基礎を学ぶ「医学研究の基礎」により、早期から研究について理解を深めるとともに、研究体験を通じて、科学的かつ理論的な思考力を身につけます。
3. 学修成果の評価の方針
島根大学医学部医学科では、以下の点について、アセスメントポリシーを定めます。
1.定期試験等 2.公的試験 3.定期試験の受験資格 4.成績の評価 5.評価の基準
6.アンプロフェッショナルな行動の評価 7.臨床実習の評価 8.シラバス
9.追試験 10.再試験 11.成績評価の疑義 12.点検と改善
また、評価の基準を科目ごとに定め、ルーブリック等を用いて態度、知識、技能を含む評価を形成的、多面的に行います。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
◆人材育成の目的・学位授与の方針
・人材育成目標(社会における顕在・潜在ニーズ、卒業生が身につけるべき資質・能力)
医学部医学科では、学士課程において以下に掲げる能力を身につけた者に学位「医学士」を授与する。
【医療人としての適切な判断力・行動力】
1. 豊かな人間性、幅広い教養と高い倫理観に基づいて物事を判断し、行動することができる。
2. 生命の尊厳及び患者の権利と人格尊重の重要性を理解し、患者の立場に立って行動することができる。
3. 医療安全の重要性を理解し、また、医師の義務や規則を遵守して行動することができる。
・目標としての学修成果
コミュニケーション能力
4. 医療人に必要なコミュニケーション能力を身につけ、患者やその家族と良好な人間関係を築くことができる。
5. 多職種連携のチーム医療を理解し、相互を尊重し行動することができる。
問題解決・自己研鑽能力
6. 未知の課題に対して、自ら積極的に解決を図ろうとすることができる。
7. 生涯にわたり自己研鑽に励むことができる。
知識を統合し活用する能力
8. 基礎医学、社会医学及び臨床医学で修得した知識を統合し、医学・医療に関する事象を幅広い視野で考えることができる。
臨床能力(知識・技能・態度を統合し活用する能力)
9. 修得した医学の知識をもとに、患者の病態から治療・ケアのアプローチまで概説することができる。
10. 基本的な知識、技能、態度を身につけ、患者を総合的に診察・診療することができる。
研究への志向力
11. 研究心(リサーチマインド)を持って、真理を探究し、未知の分野を切り拓こうとすることができる。
グローバル化への志向力
12. 海外の医療や異文化を理解し、グローバルな視点で物事を判断し行動することができる。
地域医療への志向力
13. 地域医療が抱える諸問題に対して積極的に取組もうとすることができる。