学部・研究科等ごとの目的
本学部は,法学及び政治学の最先端の研究に基づき,人間が社会を形成していくために必要な知識及び考え方を教授することにより,高度化し,多様化する社会における諸問題を解決する広い視野と能力を有する有為な人材を育成することを目的とします。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
【学部の理念】
北海道大学法学部は,「社会における多様な利害や価値観の相互対立を調整し,よりよい社会の実現を目指す実践の学問」としての法学・政治学を探求することを理念とし, 現実の社会で生じている諸問題の具体的な解決策を検討し,よりよい社会を実現するための制度を設計することを中心課題としている。そのために,質・量ともに全国トップクラスの教員を擁して,少人数での授業を重視した高度できめ細かい教育を行うとともに,法科大学院等への進学をも想定して,法曹等の専門職養成の教育体制を強化している。具体的には,以下の二つのコースを設置している。
・法専門職コース:基本的な法律についてより重点的に学習し,法知識を前提とした専門職に就くことを目指す
・総合法政コース:法学・政治学の知識と素養を生かして社会の多様な分野で活躍することを目指す
【教育目標】
幅広い社会科学的知識を踏まえて,法を理解し,法に共感できる市民の育成を目指す。その上で,(1)法専門職コースでは,法律専門職につくための実定法学の基礎の習得,(2)総合法政コースでは,多様な領域で活躍できるための法的素養と政策判断力および広い視野と国際感覚の習得,を目指す。
【求める学生像】
・法学・政治学に関する知識・技能を身に付け,法律家や行政官,外交官などの専門職に就いて社会に貢献することのできる学生
・社会の多様で複雑な問題について多角的な観点から思考することによって適切な判断を行うとともに,それを論理的に表現することによって,問題の解決に進んで取り組むことのできる学生
・主体性を持って社会の様々な問題に関心を持ち,広く社会の多様な人々の声に耳を傾けて,彼らと協働して学ぶことのできる知的好奇心の旺盛な学生
以上のような学生を育成するために,法学部では,高等学校等の学習において,論理的な考え方,基礎的な表現力・コミュニケーション能力,専門知識を身に付けるために必要な基礎知識を幅広く修得していることを期待する。
【入学者選抜の基本方針】
法学部は,上記のような人材を受け入れるため,また多様な学生を確保するため,一般選抜,帰国子女入試,私費外国人留学生入試,2年次・3年次編入学試験を行う。
一般選抜では,出願書類にて主体性を持って多様な人々と学ぶ態度を評価し,大学入学共通テスト及び個別学力検査(前期:国語・数学・外国語/後期:小論文)にて知識・技能,思考力・判断力・表現力を評価し,入学者を選抜する。
帰国子女入試では,出願書類で知識・技能を評価し,課題論文及び面接試験で思考力・判断力・表現力及び主体性を持って多様な人々と学ぶ態度を評価し,入学者を選抜する。
私費外国人留学生入試では,日本留学試験スコアを含む出願書類で知識・技能を評価し,小論文および面接試験で思考力・判断力・表現力及び主体性を持って多様な人々と学ぶ態度を評価し,入学者を選抜する。
同様の目的から,2年次編入学試験では筆記試験(英語・小論文),3年次編入試験では筆記試験(英語・専門科目(法学・政治学))と書類審査を実施する。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
(1)法学部の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
法学部では、法学・政治学の基礎的素養を身に付け、幅広い分野で社会の発展を支える人材の育成という教育目標を達成するため、法専門職コース及び総合法政コースを設置しています。これらのコースでは、全学共通の「全学教育科目」と体系的に配置された「専門科目」をもって4年間の学士課程における教育課程を編成します。本学部の専門科目については、コース毎にカリキュラム・ポリシーを定め、それぞれ育成する人材像に沿ったカリキュラムを編成し、実施します。
(2)法専門職コースの教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
法専門職コースでは、実定法を実社会での問題解決のために適用する能力を身に付け、社会の発展をリードする人材を育成することを目標として、以下のとおりカリキュラムを編成し,実施します。
① 主に1年次学生を対象とする全学教育科目では、専攻する分野にかかわらず、本学の学生であれば当然身に付けておかなければならない共通の素養として、高いコミュニケーション能力、人間や社会の多様性への理解、独創的かつ批判的に考える能力、社会的な責任と倫理を身につけることを目的として、カリキュラムを編成します。具体的には「一般教育演習」、「総合科目」、「主題別科目」、「外国語科目」、「外国語演習」、「共通科目」に区分される教養科目(コアカリキュラム)を開講します。また、専門科目を学ぶ心構え、基礎知識を身につけることができるように、法学及び政治学の基礎科目として「人文・社会科学の基礎」を開講します。
② 2年次以降では、実定法に関する専門的知識を深めるため、専門科目を開講します。2年次では、1学期に法学・政治学共通の基礎科目に絞って集中的に学習させることにより、法学・政治学の基礎的なアプローチを体得させます。2学期には、実定法科目の中で最も基礎的かつ重要な科目(選択必修科目B)を集中的に配置することにより、体系的・段階的に実定法の基礎的な考え方の定着を図ります。専門教育への導入を着実に行うためには少人数教育も重要であるため、演習I で、法的資料を分析し判断するための基礎的な能力を習得させます。
3年次以降は、実定法のより発展的な応用科目、政治学の全科目及び法学と人文・社会・経済の融合科目(基礎法学科目)を展開します。これにより、実定法の体系的・構造的理解を深化させ、発展的な実定法科目について基礎的な知識の習得を図ると共に、自らの関心に応じて実定法以外の幅広い知識を自主的に習得する機会を与えています。演習II は2年次よりも授業時間を増やしてして議論の時間を確保することにより、資格試験及び就職活動の準備に必要な分析判断能力をさらに洗練させると共に、法学的素養を用いたコミュニケーション能力の向上を図ります。
③ 実社会で起こる問題によっては、国内法だけでなく国際的な法的知見が不可欠となります。法学部では、国際的な視点から法律問題を分析する専門科目を多く提供するほか、専門外国語科目、交換留学等の学習機会を提供することにより、国際性の涵養を促進しています。また、実務家による講義科目を配置すること等により、理論と実務の双方に目配りのきいた教育を提供しています。
(3)総合法政コースの教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)
総合法政コースでは、現代社会の抱える問題を広い視野から多面的に考察するために、法学・政治学の幅広い知識を身に付け、社会の多様な分野で活躍する人材を育成することを目標として、以下のとおりカリキュラムを編成し,実施します。
① 主に1年次学生を対象とする全学教育科目では、専攻する分野にかかわらず、本学の学生であれば当然身につけておかなければならない共通の素養として、高いコミュニケーション能力、人間や社会の多様性への理解、独創的かつ批判的に考える能力、社会的な責任と倫理を身につけることを目的として、カリキュラムを編成します。具体的には「一般教育演習」、「総合科目」、「主題別科目」、「外国語科目」、「外国語演習」、「共通科目」に区分される教養科目(コアカリキュラム)を開講します。また、専門科目を学ぶ心構え、基礎知識を身につけることができるように、法学と政治学の基礎科目として「人文・社会科学の基礎」を開講します。
② 2年次以降では、法学・政治学に関する専門的知識を習得させるため、専門科目を開講します。総合法政コースでは、早い段階から科目選択の柔軟性を高めることによって、個々人の関心と将来の進路に合わせた学習を可能にしていますが、それと同時に、重点学習領域履修認定制度を設けることにより、計画的・体系的に履修ができるための指針を提供しています。重点学習領域履修制度では、5つの領域(行政・ガバナンス、ビジネス、市民生活、歴史・思想、国際)を定めています。
2年次では、1学期に法学・政治学共通の基礎科目に絞って集中的に学習させることにより、法学・政治学の基礎的なアプローチを体得させます。2学期には、実定法及び政治学の中で最も基礎的かつ重要な科目(選択必修科目B、C、E)を集中的に配置することにより、体系的・段階的に法学・政治学の基礎的な考え方の定着を図ります。専門教育への導入を着実に行うためには少人数教育も重要であるため、演習I で、関連する資料を分析し判断するための基礎的な能力を習得させます。実定法科目の独自な配置を行うことにより、政治学の比重が高い学習計画にも早くから対応できる体制を取っています。
3年次以降は、実定法・政治学のより発展的な応用科目及び法学と人文・社会・経済の融合科目(基礎法学科目)を展開します。これにより、学生個々人が社会に出てから必要とする専門知識の体系的・構造的理解を深化させ、発展的な科目について基礎的な知識の習得を図る機会を与えています。演習II は2年次よりも授業時間を増やして議論の時間を確保することにより、資格試験及び就職活動の準備に必要な分析判断能力をさらに洗練させると共に、専門的知見を用いたコミュニケーション能力の向上を図ります。
③ 専門的知見に関する国際的な視野を身に付けたい学生のために、法学部では、国際的な視点から社会問題を分析する専門科目を多く提供するほか、専門外国語科目、交換留学等の学習機会を提供することにより、国際性の涵養を促進しています。また、短期間の実務実習を行うエクスターンシップ科目及び実務家による講義科目を提供すること等により、理論と実務の双方に目配りのきいた教育を提供しています。
(4)学修成果の評価
法学部では、以下のとおり授業科目の性質等に照らして適切な評価方法により成績評価を行うことを定めています。各科目の学修成果は以下及び公表されたシラバスの成績評価基準に基づき、厳格に判断されます。
また、成績評価の国際的通用性を高めるために 11 段階の GPA 制度を導入しています。
Ⅰ 成績評価の基準
1.成績評価は、本学部の学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)に掲げる「養成する人材像に求められる具体的な能力(学位授与水準)を踏まえ、授業科目ごとに「到達目標」を設定し、履修者の「学修成果の質」(達成度)に応じて行うこととします。
2.成績評価は,11段階に分けた「学修成果の質」に基づいて「成績のグレード」を判断し、「成績のグレード」に対応したGPを付与することを原則とします(素点はあくまで目安である)。但し、科目の特性に応じて、特定の「成績のグレード」のみを用いた6段階等での評価をすることを妨げないこととします。
3.授業の受講人数が概ね20名を超える場合には、履修者に付与されるGPが全学ならびに対外的にも履修者の学修成果の適正な指標として用いられることに留意し、その成績分布の目安を、「A+」及び「A」=5~15%(ただし,A+の割合は5%以内)、「A-」及び「B+」=10~20%,「B」及び「B-」=15~40%,「C+」及び「C」=10~20%とする。但し、科目の特性から相対的評価に適さない科目の場合は、この目安に関わらず、達成度に応じて評価することとします。
4.教務委員会は、授業科目ごとの「到達目標」に基づく成績評価の結果について、必要に応じて担当教員に説明を求め、担当教員に「到達目標」の再検討を依頼することができます。
Ⅱ 成績評価の方法
1.授業ごとに、中間試験、期末試験、出席状況、レポート、成果発表(プレゼンテーション)、学修態度等のいずれかにより評価するかを決定します。
2.但し、出席状況は履修者として成績評価の対象となるかどうかの判断のみに使用し、出席状況を点数化して評価に算入することはできないこととします。
3.具体的な評価方法は,担当教員が定めます。
(5)教育の質を高める持続的取り組み
法学部では専門教育の質を高めるため、個々の教員が先端的研究にたゆまない努力を続けると共に、授業アンケート及び投書箱等を通じた学生からのフィードバックに基づいて、授業内容の持続的な改善を図っています。法学部全体では、カリキュラム改革を進めるほか、平成27年度入学者からは、成績評価の国際的通用性を高めるために11段階のGPA制度を導入し、単位の実質化をはかるため履修登録単位数の上限設定制度を導入します。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
(1)法学部の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
法学部では、本学の4 つの基本理念(フロンティア精神、国際性の涵養、全人教育、実学の重視)の下、法学・政治学の基礎的素養を身に付け、幅広い分野で社会の発展を支える人材を育成することを教育目標としています。法学部では、この目標とする人材像に求められる具体的な能力(学位授与水準)を履修コース(法専門職コース、総合法政コース)毎に定め、当該能力を身に付け、かつ、卒業に必要な単位を修得した学生に学士の学位を授与します。
(2)法専門職コースの学位授与水準(ディプロマ・ポリシー)
法専門職コースでは、学部の教育目標に基づき、実定法を実社会での問題解決のために適用する能力を身に付け、社会の発展をリードする人材を育成することを目標としており、次の能力を持つと認められる学生に対して、学士の学位を授与します。
【ア 実定法を中心とする法学・政治学の基礎的素養】
一 七法を中心とする実定法科目の基礎的知識を体系的に習得しており、発展的な実定法科目についても基礎的な知識を説明することができる。
二 基礎法学及び政治学についても基礎的な知識を説明することができる。
【イ 法的な分析判断能力】
一 実社会で起こる問題に実定法を適用する場合に必要となる資料探索能力及び理論的分析能力を示すことができる。
二 実社会で起こる新たな問題に対して、一定の法的判断を下すことができる。
【ウ コミュニケーション能力及び自主的な学習管理能力】
一 基礎的な教養及び外国語能力を習得している。
二 他者との議論を通じて、他者の意見を理解し、自らの主張を明らかにすることができる。
三 率先して問題を発見し、必要な知識を自主的に習得することができる。
(3)総合法政コースの学位授与水準(ディプロマ・ポリシー)
総合法政コースでは、学部の教育目標に基づき、現代社会の抱える問題を広い視野から多面的に考察するために、法学・政治学の幅広い知識を身に付け、社会の多様な分野で活躍する人材を育成することを目標としており,次の能力をもつと認められる学生に対して、学士の学位を授与します。
【ア 法学・政治学に関する幅広い基礎的素養】
一 実定法科目についての基礎的な知識を説明することができる。
二 法学及び政治学を基礎科目から応用科目まで幅広く学習し、基礎的知識を習得している。
【イ 多面的な分析能力】
一 現代社会の抱える問題を多面的に考察するために必要な資料探索能力及び理論的分析能力を示すことができる。
二 現代社会の抱える問題を、現在の我々の立ち位置に縛られることなく、普遍的・学際的・国際的な視座から捉え直して、一定の分析を加えることができる。
【ウ コミュニケーション能力及び自主的な学習管理能力】
一 基礎的な教養及び外国語能力を習得している。
二 他者との議論を通じて、他者の意見を理解し、自らの主張を明らかにすることができる。
三 率先して問題を発見し、必要な知識を自主的に習得することができる。