学部・研究科等の特色等
(1)5つの研究領域(系)
博士後期課程では,各研究領域における更なる専門家と体系化を図るため,博士前期課程において設定している5つの科目群を基盤としつつも,その専門性をなお一層深化させた5つの研究領域(系)を編成しています。 博士後期課程を担当する教員はいずれかの系に属しており,学生は指導教員が属する研究領域(系)に基づいて研究課題にアプローチし,研究指導チームの指導の下,21世紀の「多文化社会的状況」におけるより一層高度な「問題本質を見極める力」又は「問題解決に向けた多様な解を提示する力」を養うなかで,持続可能な社会の構築に資する質の高い研究計画を立案し,それに基づき研究を実施します。
<社会文化研究系>
共生の視点に立って,生命,精神,社会文化と,それらに関わる社会,制度,組織,相互行為,構造,機能などの多様性を理解し,世界を,「出来事の生成と消滅の反復」と「出来事の物質化(制度化)」が構成する動的平衡及び差異体系として捉えるなかで,摩擦や衝突を超えた新たな秩序や文化の形成を探究します。
<言語研究系>
社会の現実と問題が,言語・コミュニケーションから構成されることに基づき,相互理解の原理的解決の可能性を求めて,言語の固有性を,記号内容(意味や意図)と記号形式(音や動作)の統語性や,言語表現の使用による意図の共有から探究する。また,言語の適応的機能に関する思考・生成文法や,コミュニケーションによる社会構築の可能性,コミュニケーションの情報・伝達・理解の選択を支える非言語コミュニケーション及び非記号的コミュニケーションについて探究します。
<環海日本長崎学・アジア研究系>
従来の日本研究の諸成果を,東アジア及び世界に位置付けなおし,ヒト,モノ,コトの流動のなかにある日本,その1つの拠点としての長崎という視点から,従来の文学部中心の日本研究とは異なる,トランス・ディシプリナリーな「環海日本長崎研究・アジア研究」を探究する。すなわち,オリエンタリズム的認識(自己に対して優越的な意味を付与するために,他者を一段劣った存在として,搾取や救済の対象に据えて構築すること,このような自己中心的な自己—他者認識が,「他者支配の言説」(ディスコース)に基づく近代学問のあり方に深く根差していること)を,理論・実証を通じて脱構築し,グローバリゼーションによる世界や学問の脱中心化と多中心化に注視しながら,21世紀の人文社会科学の前提となる,新たな自己—他者関係を探究します。
<公共政策研究系>
国際公共政策の課題設定と設計,政策形成と決定,政策実施と管理,政策評価を行うために,政策過程の各段階でそれぞれのアクターが演じる役割や限界を理解するとともに,現在の国際関係を批判的に検討し,グローバルな公共的価値の形成と実現を探究します。
<核兵器廃絶・平和学系>
核抑止力に依存しない安全保障の枠組みや原子力平和利用と核不拡散の関係等について国際情勢を注視しつつ分析・考察し,核軍縮・不拡散に関する専門性の涵養を通じて,核なき世界の形成と実現を探究します。
(2)多文化社会学研究に相応しい研究指導(学際性の担保)
博士後期課程では,主指導教員とは異なる研究領域(系)の副指導教員1名を含む3名の研究指導チームにより研究指導を行います。
また,必要に応じて学生の研究テーマを考慮してライデン大学,国際基督教大学,東洋文庫及び国立歴史民俗博物館等の世界トップクラスの教育・研究機関から学外アドバイザーを選出します。学外連携機関と連携する研究分野は、以下を想定しています。
【学外連携機関と連携する主な研究分野】
・ライデン大学(オランダ)
日蘭史やジャパノロジーなど日本学・長崎学・アジア研究
・国際基督教大学
平和学や公共政策研究分野
・国立歴史民俗博物館
社会文化研究や日本学・長崎学・アジア研究において、特に歴史学・民俗学・総合資料学の分野
・公益財団法人 東洋文庫
社会文化研究・言語研究や日本学・長崎学・アジア研究において、特に歴史学の分野