学部・研究科等の特色等
本研究科の特色は次の3点に集約されるでしょう。
第1に、研究者教員と実務家教員との綿密な連携が挙げられます。法実務において理論と実務は両輪の関係にあります。しっかりとした理論的裏づけのある法実務活動こそ、複雑かつ深刻な法的紛争を適切に解決できる唯一の方法といえます。そのため本研究科では、早くから研究者教員と実務家教員が協働して授業で使用する教材の開発を行い、それを日々の授業の中で活用しています。理論と実務を架橋する教育を実践するため、両者による「協働教育体制」を確立しています。
第2に、法学専門家で構成されたネットワークを背景にした実務教育の充実が挙げられます。現代の法的紛争は、法律家のみで解決できるほど単純なものではありません。民事・刑事事件に大別できる法的紛争も、そのカラクリを探ってみると意外に複雑な構造を持ち、法律家だけでなく、その他の専門家が互いに知識を結集して問題解決にあたらなければならないものも多いのです。そうした複雑な法的紛争に対する適切な解決能力を習得できるよう、本研究科では、医師、会計士、社会福祉士など様々な専門家の協力を得ながら行う授業があります。
第3に、本研究科では2012年12月、「岡山大学大学院弁護士研修センター(OATC)」を設置しました。このセンターは、本研究科出身の新人・若手弁護士に研修の場を提供し、研修後は、「組織内弁護士」として地域の各組織(自治体、企業、医療福祉機関など)へ送り出すことを主たる目的としています。「地域に奉仕し、地域に根差した」良き法律家の養成という理念をさらに促進するための試みであり、全国の法科大学院に先駆けて取り込むプロジェクトといえます。