学部・研究科等ごとの目的
本研究科の目的は、これまでの物理学・化学・生物学をさらに融合し、人類社会の諸問題に対し自然科学の立場から合理的な解決策を思考できる人材を育成し、人類の永続的発展のために寄与することを目的とする。
各専攻の目的は次のとおりとする。
(1) 物質システム科学専攻
実験科学と計算科学に基づき、電子・原子・分子レベルの視点から生命系を含めたナノシステムの解明をするとともに環境・エネルギー問題を科学的に捉える教育を行い、人類の永続的発展のために寄与できる人材を育成すること。
(2) 生命環境システム科学専攻
生命の基本設計図であるゲノムの科学を基盤とし、多様な環境に生きる動物・植物・微生物の生体分子の構造と機能を解明・教育することにより、食料・健康・環境などの諸課題の解決に貢献できる人材を育成すること。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
生命ナノシステム科学の理念を理解し、自然現象を物質に基盤をおいた原理で理解し、自ら新しい発見をしようとする積極的な人材を求める。また、科学の成果に基づいて、社会的な問題に貢献する姿勢をもつ人材を受け入れる。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
生命システムの機能を物質に働く法則と原理に基づく合理的な理解を基に解明することを目的とした、新しい統合生命科学を教育を行うカリキュラム編成とする。そのために、ゲノム科学、タンパク質科学、構造生物学、計算機科学、物質科学を基盤とした教育を行い、複雑な自然システムの探索を単なる現象論に止めるのではなく、論理的に解明できる能力を養う教育を行うカリキュラム編成とする。
○物質システム科学専攻
・学部での専門知識と実習経験に基づいて、ナノシステムが科学と物理の法則にしたがっていることを深く理解させるため、下記の科目を設ける。
・実験科学と計算科学のバランスのとれた人材を輩出するため、実験科学講義「ナノ物質科学特論、光物質科学特論、量子表面化学特論、物質計測科学特論、有機物質科学特論」および計算科学講義「計算物質科学特論、集積情報科学特論、知覚情報科学特論」を配置し、専門性を強化する。
・国際社会で活躍できる人材を養成するため、英語による発表能力を身につけさせる科目を配置する。
・科学技術と社会との関わりや知財関連の知識を修得させるため、横浜・京浜地域を中心とした企業へのインターンシップや産学連携を盛り込んだ科目を配置する。
○生命環境システム科学専攻
・専攻を越えたオムニバス授業を行う科目を配置する。
・英語でのプレゼンテーション能力を身に付けるための科目を配置する。
・最先端科学研究に関する知識を充実させ、展開をはかるために外部研究所と連携した科目を配置する。
・他専攻同様に複数指導教員制とし、アドバイスを受けることで研究において多角的視野を養う構成とする。さらに博士課程では、国際的にも質の高い研究論文・著書を数多く読みこなし、世界の研究の進展を把握し、研究者としてグローバルに活躍できる資質を養うことができるカリキュラム構成とする。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
生命システムの合理的解釈と理解を見据えて、これまでの物理学・化学・生物学をさらに融合することにより、人類社会の諸問題に対し、自然科学の立場から合理的な解決策を与え、人類の永続的発展のために寄与できる人材を養成することを目指す。
○物質システム科学専攻
<知識・理解>
電子・原子・分子の視点から、生命体を含めたナノシステムの原理を理解できている。また、ナノシステムに基づいてエネルギー、環境問題を科学的に捉える知識を修得している。
<汎用的技能>
「実験科学」 (創製・計測・評価)と「計算科学」(計算・情報・予測)の両方の手法や解析法を修得し、ナノシステムの原理の理解や、新たなナノシステムの創出ができる能力を身につけている。
<研究能力と創造的思考力>
実験科学と計算科学の両方を駆使できる研究能力を有し、高い社会性と国際性を備えた創造的思考を有している。
○生命環境システム科学専攻
<知識・理解>
ゲノム科学に基づき遺伝子・タンパク質レベルからの細胞システムの知識を身に付け、生命を担う物質の構造と機能の理解により生命システムを統合的に理解できる能力を身につけている。
<汎用的技能>
ミクロからマクロにおよぶ地球規模の幅広い生命科学の研究課題に貢献できる技能を修得している。
<研究能力と創造的思考力>
先端科学技術を有する生命科学分野の優れた、国際的にも活躍できる能力を身につけている。また、アカデミックな活動に止まらず、社会に展開できる指導的人材、企業の研究職や、自らベンチャー起業できる人材となっている。