学部・研究科等の特色等
技術革新が急速に進む現代社会では、さまざまな工学の知識や技を組み合わせて、未来社会を切り拓いていく能力が求められています.「フロンティア工学類」では、これらの能力を身につけるために、コース制を採用せず、新たに「プログラム」を設置します.学生は、従来の工学の専門分野(電子機械、機械、化学工学、電子情報)に対応するコアプログラムを学んだのち、6つのフロンティアプログラム、すなわち「知能ロボティクス」、「バイオメカトロニクス」、「マテリアルデザイン」、「計測制御システムデザイン」、「ヒューマン・エコシステム」および「ナノセンシング」で異分野間の融合により、従来の工学の枠を超えた未踏領域(=フロンティア)を開拓する素養を身につけます.各フロンティアプログラムの特色を以下に示します.
知能ロボティクスプログラム
機械工学から電子情報分野にわたる知識・スキルを駆使し、ロボットなど自律化が望まれる機械の高度知能化に取り組む能力を持つ人材の育成を目指します.具体的には、ロボットをはじめとする自動化が必要な機械システムの解析や設計を行うこと、さらにそれらの制御・計測系の開発を行うことができるように、機械工学から電気・電子・情報分野に渡る幅広い知識とスキルを身に付けます.これにより、ロボットやモビリティ、航空宇宙分野における関連機械などの知能化を図り、未知未踏の技術革新へのブレークスルーを実現する柔軟かつ挑戦的な思考力を育成します.
バイオメカトロニクスプログラム
安心・安全・快適・便利な生活を支える様々な人間支援技術とその社会実装プロセスを学び、人間に密着した機械工学分野で活用できる応用力を持つ人材の育成を目指します.そのために、機械工学や制御工学などの機械・計測制御分野から人体科学・人間工学などの医用生体工学分野までの幅広い知見を学び、人間支援に重点を置いた知識を習得します.さらに、医療福祉機器や生活支援機器などの人間に密着した技術の社会実装に向けた応用力や、人間との調和に配慮した機械を創造するために必要な幅広い知識および課題解決型思考力を育成します.
マテリアルデザインプログラム
人間の暮らしや健康を支える新素材、化成品や先端のナノ材料までをつくり出す「化学・力学を中心としたものづくり」に関する学習を通じて、様々な用途に用いられるマテリアル(物質)を自由にデザイン(設計)できる斬新なアイデアを持つ先端人材育成を目指します.マテリアルが有する機能とそのモノづくり(=プロセス)を学ぶために、化学・力学に基づく物質の性質・理論・分析法から化学工学や機械工学に基づいた工業的応用までを修得します.本プログラムでは、新しいマテリアルを開発する人材およびマテリアルを活用した様々な機器を研究開発する人材を育成します.
計測制御システムデザインプログラム
人間や機械、システムの状態を高感度・高精度に計測し、それらを制御するシステムをデザインできる応用力、開発力を持つ人材育成を目指しています.また近年急速に進展する情報ネットワークを組み込んだ新たなシステムの構築や最適化を学びます.本プログラムでは、計測制御装置の原理、システム設計およびそれらの応用に関する科目群を配置しています.これにより、計測制御の原理や応用に関する知識を持ち、それらを種々のデバイスと組み合わせたシステムを設計し、工業的応用や研究開発に取り組む能力を持つ人材を育成します.
ヒューマン・エコシステムプログラム
地球環境の保全や人間生活の快適性向上に役立つ技術を創造できるエンジニアを目指し、本プログラムでは、人間や環境にやさしいモノづくり能力(機械工学の応用力)や、人間を取り巻くさまざまな環境に配慮し、豊かで快適な持続可能型社会(エコシステム)を構築するための技術開発に必要な多面的な視野と総合的な思考力を育成します.そのために、人間工学や生体計測などの人間(ヒューマン)に関する科目と共に、電気化学・物質循環工学やエネルギー変換工学などのエコシステムに関する科目を学ぶことにより、先進的なモノづくり、人間・生物・物質の機能、エネルギー有効利用と環境安全に関する知識を習得します.
ナノセンシングプログラム
生体や物質あるいは機械の状態を検出・解析するセンシング技術は、我々の生活や先端技術、さらに近未来の超スマート社会を実現するために不可欠なテクノロジーです.本プログラムでは、ナノオーダーの分解能を持つ先端計測技術や、ナノテクノロジーを駆使した高度センシング技術について、それらの原理や設計概念からデバイス設計や環境・生体計測技術などの工業的応用までを学びます.種々のセンサ、デバイスや分析装置を研究開発する人材およびセンサを活用した様々な機器やシステムを研究開発する人材を育成します.