学部・研究科等の特色等
人間社会科学研究科の博士課程後期には人文社会科学専攻(8プロフラム)及び教育科学専攻(4プログラム)の2専攻あり、各専攻・プログラムの特色等については以下のとおりです。
<人文社会科学専攻>
人文社会科学専攻では、人間や社会に関する深い見識と専門分野以外への強い関心を持ち、他分野の専門家と協働して現在社会における価値の再検討や新しい価値の創造をもたらす人材を育成する。そのため、分野専門型学位プログラムとして、人間やその精神活動の所産である文化等に関する専門性を涵養するための「人文学プログラム」、様々な環境における人間行動に関する専門性を涵養するための「心理学プログラム」、持続的社会を形成するための制度や経済活動等に関する専門性を涵養するための「法学・政治学プログラム」「経済学プログラム」「マネジメントプログラム」を置く。これらの分野専門型学位プログラムでは、それぞれの専門性とともに他分野への関心を培う。さらに、特定の分野に限定せずに研究テーマを設定し、分野を超えたアプローチを行う融合型学位プログラムとして「国際平和共生プログラム」「国際経済開発プログラム」「人間総合科学プログラム」を開設する。
〇人文学プログラム
人文科学の伝統的なディシプリン(言語学、文学、哲学、史学)を踏まえながら、人間及び文化を根源的かつ全体的に捉えるとともに、常に新しい知の探求と開拓をめざす。古今東西の文化を広く深く追究し、人類の来し方行く末を見据えつつ、文化の継承と共存に貢献できる、高度な研究能力と深い学識を有する人材を育成する。また、日本語・日本文化の研究を志す外国人留学生の枢要な受け皿としても機能する。
博士課程後期では、博士課程前期で培われた学力をもとに、自立した研究者に相応しい研究推進能力・論文作成能力を身につけさせる。
〇心理学プログラム
現代社会では、心に関連した様々な問題が生じている。それらを解決し、持続可能で平和な社会を構築するためには、人間の行動の根底にある心理過程にアプローチする必要がある。
博士課程後期では、博士課程前期の心理学先端研究コースと臨床心理学実践・研究コースにおいて培われた多様な視点に立つ研究力、臨床実践力を基盤として、さらに研究力を伸長し、心理学各領域の先端的な研究を国内外で推進できる研究者、大学教員、高度専門職業人の養成を目指す。
〇法学・政治学プログラム
博士課程後期においては、社会科学の他領域の研究成果も視野に入れたうえで、関係分野の最先端の知識や観点をさらに展開し、実践的な問題解決を導出する能力を涵養する。
〇経済学プログラム
博士課程後期においては、関係分野についての先端的な内容をテーマとした実践的研究、及び学生自身による先端研究情報の収集・解析を通じて、問題解決に必要な課題分析・政策提案能力を涵養する。
〇マネジメントプログラム
博士課程後期においては、関係分野についての先端的な内容をテーマとした理論的研究あるいは実践的研究、及び学生自身による先端研究情報の収集・解析を通じて、問題発見能力と問題解決能力を涵養したうえで、理論的課題あるいは実践的課題に必要な課題分析や政策提案能力を養成する。
〇国際平和共生プログラム
平和学、文化人類学、国際関係論、国際法学、記憶学、地域研究などを基盤として、社会における不平等の状況、その原因や解決策を分析・検討したり、国際社会・地域社会の協力による、紛争の予防と解決、包摂性を持つ平和な社会の実現について考察したりすることを目的とした教育研究を行う。なお、本プログラムは英語による学位プログラムとする。
博士課程後期では、博士課程前期で培われた学力をもとに、自立した研究者として研究を推進し深く問題を分析する能力及び論文作成能力を身につける。
〇国際経済開発プログラム
博士課程後期においては、関係分野についての先端的であり、かつ実践的な問題解決型の研究課題を設定し、自らの研究力で分析結果を導出し、政策的含意の導出ならびに提案力を涵養する。その上で、多様なステークホルダーと協働するためのコミュニケーション能力を持ち、問題解決に向けたリーダーシップが取れる人材を育成する。
なお、本プログラムは英語による学位プログラムとする。
〇人間総合科学プログラム
人間総合科学プログラムは分野横断型教育を行うことで、特定分野の専門性を獲得することに加え、研究分野の枠を超えた知識や方法論も有し、他領域の専門家との協働を通して現代社会の抱える諸課題に対応することのできる人材を育成することを目的とする。
本プログラムは、学問分野の枠を超えた学際プロジェクトを展開する。学生は、教員とともに研究プロジェクトに参加することで、中核となる専門分野に関する深い知識と方法論を獲得することに加え、多角的・多面的に捉える複合的視点及び異分野と協働することのできる能力を涵養する。
博士課程後期では、プロジェクトに参加して中核的に研究に携わり、自分のテーマについての研究を深めていく。また、指導教員の指導のもと関連領域の授業科目を履修することで、研究の幅を広げるとともに複合的な視点から異分野との協働を行う能力をさらに涵養する。
<教育科学専攻>
教育は「生きる」ことを支える重要な基盤(education for life)であり、急速なグローバル化の中で持続可能で平和な社会を目指す、国際社会共通の最重要課題である。教育科学専攻では、この課題を解決するため、グローバルな視野と人類が抱える様々な課題への深い洞察を持ち、教育による将来の人類社会の創造を目指す人材を育成する。そのため、教育の目的、内容、方法等を対象とする深い専門性を涵養するための分野専門型学位プログラムとして「教師教育デザイン学プログラム」「教育学プログラム」「日本語教育学プログラム」を、教育学を基盤としつつグローバルな視点から多面的アプローチによる国際社会の課題解決を目指す融合型学位プログラムとして「国際教育開発プログラム」を開設する。これらの学位プログラムは、教育による人類社会の構築のための幅広い専門分野と、それぞれの分野を横断、融合する
ことのできる構成とする。
〇教師教育デザイン学プログラム
教育問題の複雑化に伴う教職の高度化への要請に対応するため、 (i)学びが成り立つ場(空間)、(ii)学びを引き出す仕掛け(カリキュラム、学習材)、(iii)学びを支える人材(専門職)に着目し、これからの社会で期待される教育ビジョンをデザインできる教師教育者(teacher educator)を育成する。また、教師教育者の教育・研究に関わるアジアの拠点形成を目指す。教師教育者には、①教育システムの改革を支援するイノベーター(innovator)の側面と、②教育システムを実質的に機能させている教師を育てる専門職(mentor/ coach)の側面の、二側面がある。
博士課程後期では、特に②の側面の教師教育者の教育研究と社会貢献活動に焦点化し、次世代の革新的で先導的な教員養成・教員研修の課程と方法をデザインできる資質・能力と、教育現場で実際に教師を指導し、専門的職能をデザインできる資質・能力を涵養する。
〇教育学プログラム
多様な教育の目的・内容・方法・組織・制度等に関する基礎的・原理的研究及び現代教育の諸問題の解決に資する応用研究を、哲学的・歴史的・社会学的・国際比較的、教育方法学的・生涯学習的、制度・行政・経営的な視点から行う。それを通して、複雑化・深刻化する多様な教育課題の解決に向けて、社会のさまざまな領域で展開される生涯にわたる「生きる」ための仕組みとしての教育のあり方を多角的な視点から分析・探求する能力を持ち、国内外に新しい知見を発信する研究力と大学教育を担う教育力を備え、その能力開発を行う人材を育成する。
博士課程後期では、さらに研究を深めることを通して、教育に関する総合的な学識に裏打ちされた高度な研究能力、大学教育を担う教育能力及びその能力開発を推進できる能力を涵養する。
〇日本語教育学プログラム
日本語教育及び日本語・日本文化についての高度な専門的知識と研究能力を有し、国内外の高等教育機関において日本語の教育研究を行いつつ、世界的な日本語教育ネットワークの構築に中心的な役割を果たすとともに、国と国との懸け橋となって平和な社会の実現に貢献できる児童・生徒・学生及び社会人を育てることが可能な日本語教育研究者を育成する。
博士課程後期では、博士課程前期で修得した専門的知識や研究能力をもとに、日本語教育に関する諸課題について探究し、自立的に研究を推進することができる力を身につけさせる。
〇国際教育開発プログラム
博士課程後期においては、博士課程前期での研究を発展させ、各国・地域の特性を生かした教育研究活動をけん引するとともに、グローバルな視点から国際社会との連携し、協働的問題解決を行う能力を涵養する。
なお、本プログラムは英語による学位プログラムとする。