学部・研究科等ごとの目的
生命現象を分子から個体、集団に至る様々なレベルで解明するための教育研究を行い、国際的通用性を持つ広い視野を備えた次世代の生命科学研究を担う研究者の育成を目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
【遺伝学専攻】
(求める学生像)
遺伝学に基礎をおく生命科学の基礎研究に強い関心と意欲を持ち、在学中の研究活動を通して自立した研究者を志向する、またそのような研究者に育つための素地を有する学生。
(入学者選抜の基本的な考え方)
1) 単に知識の有無だけでなく、基礎研究に対する意欲、思考上の論理性、創造力を試すことを重視した選考を行う。また、研究実施に不可欠な英語の学力を選考基準に加える。
2) 志望学生ひとりひとりに対し十分な時間をかけた面接と筆記の試験により、研究者として育ちうるかどうかの適性を専攻に属する教員全体で評価して判断する。
3) 留学生、社会人、編入学生など多様な人材の受け入れが可能な選抜方式をとる。
【基礎生物学専攻】
(求める学生像)
生物が示す現象に興味を持ち、現象を生み出す仕組みや要因を探ることに意欲を持つ学生。
(入学者選抜の基本的な考え方)
提出書類および基礎生物学専攻の教員による面接によって、学習に対する意欲と能力を確認する。5年一貫制の入学者については、加えて、小論文と英語の筆記試験によって、論理的な思考を展開して発表する能力と英語の基本的な読み書きの能力を確認する。
【生理科学専攻】
(求める学生像)
生理科学専攻の基本方針を理解してそれに共感し、「深い知性と豊かな感性を備え、広い視野をもった高度な研究者」として育成するのに相応しい学生
(入学者選抜の基本的な考え方)
1) 入学者選抜は、生理科学専攻の基本方針に相応しい入学者を適切に見いだすという観点から行う。
2) 学力検査のみならず、入学志願者の個性や資質、意欲等、多様な潜在能力も勘案し、多面的な選抜方法を採用する。
3) 学力検査においては、理解力、表現力、思考力、英語力等をみる総合的な試験を実施する。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
【遺伝学専攻】
遺伝学専攻のカリキュラムの目的は、自立的で創造性に富み、世界的に活躍できる研究者を養成することである。学位授与方針で要求される能力が全て身につくように教育科目を以下のように編成している。
【教育課程編成の方針】
1. 高度な研究能力
幅広い分野で最先端の研究をおこなう教員が研究指導や科目を担当する。主任指導教員によるメンタリング(生命科学実験演習I-V)に加えて、各学生のために組織されるプログレス委員会からの指導助言を受ける(生命科学プログレスI-V)。
2. 分野を俯瞰する幅広い知識
生命科学(遺伝学)の基礎知識は分子細胞生物学II、進化ゲノム生物学、遺伝学で提供する。これらは連続して2年間ですべてを修了できるように設計されている。遺伝学の全体像を知るためにも履修すること。選択科目としては、専攻横断的な科目群を遠隔講義システムで受講できる。履修届を出してなくても自由に聴講できるので、興味ある講義にできるかぎり参加し、分野を超えた幅広い知識を身につけること。
3. 科学を英語で理解・議論・表現する能力
科学英語口頭演習Iや英語筆記表現演習I-IIIなどの体験型講義で、研究成果を効果的に伝える能力を養う。科学英語セミナーを理解する力を科学英語口頭演習IIで鍛え、議論を中心に進める授業(発生生物学II-IV)で議論する力を高める。
4. 研究の将来を展望する豊かな構想力
論文紹介セミナー(生命科学論文演習I-V)と生命科学セミナーを通して、実際に国内外で行われている最先端の研究にたくさんふれて、研究者として考える力を養成する。
5. 研究者としての高い倫理性
必修科目フレッシュマンコースを受講して研究倫理について学ぶと共に、毎年行われる研究倫理講習を必ず受講する。
【教育・学習方法に関する方針】
卒業時に学位取得要件を満たせるようにバランス良く計画的に履修すること。「生命科学実験演習」「生命科学プログレス」「生命科学論文演習」の3科目は研究者としての能力をつけるために不可欠なので、全課程を通して毎学期必ず履修すること。遺伝学専攻生として必ず知っておくべき内容は履修推奨科目「分子細胞生物学II」「進化ゲノム生物学」「遺伝学」「発生生物学II-IV」で提供する。5年一貫制学生は2年次までにこれらの科目を全て履修することが望ましい。なお博士号学位取得のためには、5年一貫制学生は必修単位フレッシュマンコース2単位を含む32単位を、3年次編入学生はフレッシュマンコース2単位を修得しておく必要がある。各科目の履修にあたっては、あらかじめシラバスをよく読んで、学習目標や学習方法について理解しておくこと。
【学習成果の評価の方針】
科目レベルでの評価については、各科目のシラバスに規定する様々な観点から「A,B,C,D」で成績を判定する。各学生の研究能力を最も直接的かつ客観的に評価することになる「生命科学プログレスI-V」では、主任指導教員以外のプログレス教員が、通常の「A,B,C,D」評価に加えて書面による報告書を作成して客観的評価をおこない、その報告を当該学生と全教員間との間で共有する。
教育課程レベルでの評価としては、5年一貫制学生が2年次から3年次に進級する際に「進級資格審査」を行う。審査は生命科学プログレスIIBとして行い、提出された研究レポートと、公開口頭発表、質疑応答を元に、生命科学(遺伝学)における学識の深さと、自立した研究者として育ってゆけるかどうかについて、主任指導教員以外の4名のプログレス教員が審査する。不合格となった場合は、再度生命科学プログレスIIBを履修することになる。
【基礎生物学専攻】
基礎生物学専攻では、研究者として主体的に研究を遂行する能力を身につけることができるよう、次のようなカリキュラムを編成・実施している。このカリキュラムへの大学院生の取り組みに対し、面談、提出レポート等により学修成果を評価し、それに基づき研究指導を受けたことを認定している。
1.基礎生物学専攻専門科目、生命科学研究科共通専門科目の講義科目を履修することにより、各専門分野における体系的知識、基礎生物学全般における幅広い学識を身につける。
2.自らテーマを決めて研究計画を立案し、研究遂行、考察、論文作成にいたる過程を主体的に行うことを通して、実践的な研究能力を修得する。
3.研究室・研究グループ内での議論や、専門分野の異なる教員から助言をうける機会を活用し、多角的な視点をもって研究を進める態度を身につける。
4.英語によるプレゼンテーションや論文作成にかかわる実践的な授業科目に加え、専攻内や他専攻と合同での研究発表の機会を通して、研究成果を効果的に伝える能力を養う。
5.総研大や基礎生物学研究所で開催される各種セミナーや国際シンポジウム等に参加することにより、最先端の知識を得るとともに、研究活動に必要なコミュニケーションの実際を学ぶ。
6.総研大や基礎生物学研究所から提供される海外での研究活動や発表をサポートするプログラムを活用し、国際的に活躍できる能力を身につける。
【生理科学専攻】
ディプロマ・ポリシーに掲げる高度な知識・技能を修得させるための教育課程を体系的に編成している。詳細は以下に示す。
1.生理科学専門科目、基礎生理解剖脳科学、基礎情報脳科学等の講義により、生理科学や神経科学分野の基礎知識を幅広く身に着ける。
2.生理科学特別講義により、生理科学分野の先端的知識を得る。
3.教員の指導を受けながら学位論文を作製する過程で、新たな研究計画を立案し、研究を実行し、得られた成果について発表・討論する能力を身に着ける。また、この過程で、知識を活用する能力、研究に必要な倫理観を身に着ける。
4.生命科学論文演習により高度な専門的知識を取得するとともに、英語での読解力を向上させる。
5.生理科学英語筆記表現演習、生理科学英語口頭表現演習により、国際的コミュニケーション能力を養う。
これらが達成されているか、提出されたレポート等による講義科目の学修成果の評価と単位認定、プログレス担当教員との年2回の面談、D2学年終了時の審査委員会の教員によるレポート審査並びに面談、D2•D4で行われる中間発表により評価する。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
【遺伝学専攻】
遺伝学専攻では、学位認定に際して、自立した研究者として要求される以下の能力を有することが評価される。
1.遺伝学を根幹とする生命科学の分野の発展に寄与する本質的に新しくかつ高度な研究成果を生み出す能力
2.分野を俯瞰する深い洞察力と知識
3.科学を英語で理解・議論・表現する能力
4.研究の将来を展望する豊かな構想力
5.研究者としての高い倫理性
【基礎生物学専攻】
基礎生物学専攻では、学位認定に際して、研究者として主体的な研究を遂行するために必要な次のような能力を評価している。
1.専門分野において、体系的、かつ最先端の知識を有するとともに、基礎生物学の全体像を俯瞰できる学識を備えている。
2.研究分野の将来を展望し、未解決で重要な問題を自ら発掘することができる。
3.独創的、かつ実現可能な研究計画を立案する能力と、それを遂行していくために必要な技術力や分析力を備えている。
4.高度なコミュニケーション能力を有し、得られた研究成果を国内外に発信し、基礎生物学の発展に寄与することができる。
【生理科学専攻】
生理科学専攻では、5年一貫制あるいは3年次編入の博士課程を通して、授業科目と演習を履修し、研究指導を受けることで所定の単位を習得し、専攻が行う審査に博士論文審査に合格したうえで研究科の承認を受けることにより学位が授与される。
学位授与のための専攻における審査では、高度な研究者または専門家として活躍できる人材の指標となる次のような能力を身につけていることが評価される。
1.生命科学全般にわたる幅広い知識と生理科学における基礎知識および高度な専門性を身につけ、これをもとに課題を解決できる能力
2.深い知性、豊かな感性と医学、神経科学及び生命科学全般にわたる広い視野にもとづく、新しい分野を切り拓く意欲と先見性
3.高い倫理性と強い責任感にもとづき、社会との関わりから自らの研究を厳しく評価できる能力
4.世界に向けて研究成果を発信するとともに、必要に応じて海外の研究者と共同して課題を解決する国際性
5.博士論文を作成するにあたり、生理科学の発展に貢献する新しい知見を得て、それをわかりやすい英語で論理的に書く能力