学部・研究科等ごとの目的
文学研究科における専門研究は、人文学・社会科学と呼ばれる分野に関わるものである。その研究対象や方法論はきわめて多彩で、文献や史料の読解を基盤とする人文諸学・歴史学から、調査や実験をもとに実証科学的な研究を行う分野まで広範囲をカバーしているが、そこには、「人間とはいかなる存在か」を探究するという明確な共通テーマが存在する。
今日、高度産業技術が社会を急速に変容させてゆく中で人類は多くの困難な問題と直面し、その解決を模索する過程で、人文学・社会科学の知識や発想法の助けが強く求められるようになった。複雑に絡み合った価値意識や世界観を読みほどき、何がわれわれにとってよりよい状態つまり幸福(Well-being)であるのかを見定めるために、「人間」のあり様を多面的かつ繊細に理解する「知」が必要となるからである。
文学研究科は、このような要請に答えるために、各分野の最先端の理論的・実践的研究を推進し、かつそれを基盤とした高度な教育を行う。それにより人文学・社会科学の知的遺産を確実に継承し、これを創造的に発展させることのできる高度専門職業人(研究者、あるいは各職域で自らの専門性を駆使して先導的な役割を担う人材)、及び「人間」への深い理解と洞察力を持って社会の健全な発展に寄与することのできる教養ある専門職業人(各職域で豊かな知識と教養を活かして活躍する人材)を養成する。
こうした人材は、各専門分野における先端的研究にコミットするだけでなく、分野や地域の枠にとらわれず、広い視野から自らの学問領域の意義を見定め、人類の発展にとって「知」がどう寄与しうるのかを常に反省的に捉える賢明さを持たなければならない。このため、文学研究科においては、分野横断的な教育を通じた柔軟かつ批判的な思考力の育成を重要な課題とする。
国際的な人の流動化や人口構成の変化を反映して、人文学・社会科学を学ぼうとする学生の多様化も進んでいる。文学研究科は、日本人学生と留学生の共修的環境を整備し、社会人の再教育ニーズに積極的に対応することで、多様な学生がそれぞれの目標に沿って自らの修学を完遂できるよう取り組んでゆく。それを通じて、「人間」と人間が作り出す「社会」の本質について深い洞察力を持ち、寛容な精神と柔軟な発想のもとで人類社会の持続的発展に貢献できる人材を養成することが、本研究科の教育目標である。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
東北大学大学院文学研究科は,人文社会科学に関する高度な専門的知識を有し,幅広く柔軟な視点に立って,根源的で深遠な思考を重ね,現代社会が直面する諸問題の解決を可能にする優れた研究者,高度専門職業人の育成を目指し,学生を募集します。 具体的には,社会の機構,変移に関する広範な展望と人間性への深い洞察に根ざした人文社会科学の専門的知識と技能をもって,人類社会の本質的な発展に寄与しうる高度専門職業人,さらには,人文社会科学の新たな進展のために最先端で活躍しうる研究者を志す人を求めます。 このため,学生の受け入れにあたっては,一般選抜及び社会人特別選抜の枠を設けて入学試験を実施する中で,上記の教育理念・目標に沿った研究を行うために必要な高い能力と資質を備えているかどうかを重視した選抜を行います。
選抜試験では,一般選抜試験・社会人特別選抜試験ともに,人類社会の本質的な発展に寄与する高度な専門性を具えた職業人と,人文社会科学の新たな進展をもたらす研究者を養成するために,日本学専攻においては日本の言語・思想・文化・歴史・社会に関連するテーマの考究に対して,広域文化学専攻においては文化の基礎理論あるいはアジア・欧米地域の個別文化の考究に対して,総合人間学専攻においては人間と社会の本質にかかわる原理的かつ実証的な考究に対して,それぞれ強い関心と意欲を持ち,専門的教育を受けるのに必要な基礎的知識及び学力を有し,問題発見能力と論理的思考力に秀でた人を,学生として受け入れます。 このような方針のもと,本課程の入学試験では,筆記試験及び面接試験により、専門に関する知識と学力に主眼を置き,外国語能力,研究に取り組む積極性や発信能力等も評価に加えて選抜を行います。それまでの研究成果(論文等)は,面接試験の基礎資料にする形で選抜に生かします。なお,社会人特別選抜試験では,外国語の文章を読み解く能力ではなく,古文や史料(資料)等を読み解く能力を評価する専攻分野もあります。 また,入学前に,文化・学芸にかかわる広範な知識を習得するとともに,自身が推進する専門の研究の対象・目的・方法に関係する多くの読書経験・調査経験・思考経験を積み重ねておくことを希望します。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
大学全体のポリシーと各学部・研究科等のポリシーをそれぞれ定めている。詳細については本学ホームページ参照
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
大学全体のポリシーと各学部・研究科等のポリシーをそれぞれ定めている。詳細については本学ホームページ参照