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美術学部

 
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学部・研究科等の特色等

学部・研究科等の特色等

 3年次から学生が所属する5専攻については、素材や技法に基づいて専攻等を区分している既存の美術系大学とは異なり、大学の4つの基本理念を踏まえ、「地域の文化資源を根源とする芸術」の教育と「現代を表現する芸術」の教育の二つの考え方に基づいた区分としている。
 「地域の文化資源を根源とする芸術」の教育については、文化資源すなわちルーツの発掘とその今日的解釈に依拠するものであり、美術学科を構成する5専攻のうち、「アーツ&ルーツ専攻」「ものづくりデザイン専攻」「景観デザイン専攻」の3専攻がこれにあたる。これらの専攻は、文化資源の今日的解釈を初発点とし、美術作品・器物・家具・街並み等を自己完結した単体として捉え個人の内面や理念の表現として造形するのではなく、それらを相互に影響し合う関係の中で捉え、それらの価値や意味を現代社会という全体の中で設定しようとする思想に基づいている点では共通している。
 その上で、「アーツ&ルーツ専攻」では、「歴史」と「地域」に残存する文化資源を根拠にして、現代の日本画・彫刻・立体造形等といった「美術作品」を制作し、「ものづくりデザイン専攻」では、機械工業化社会以前の製造物が保持していた「使用感の充足」を文化資源と捉え、それを根拠にして、現代生活が求める装身具・器物・家具等といった「もの」を制作し、「景観デザイン専攻」では、地方風土や地域文化に裏打ちされた人間の営為が育んできた「自然観」や「生活観」を文化資源と捉え、それを根拠にして公共空間(パブリックスペース)から各種の物(プロダクツ)までを含む「建築・景観デザイン等」をデザイン・設計するといったように、どのような文化資源を根拠・研究対象とし、成果物として何を設定するかが異なるという点において、3つの専攻に区分しているものである。
 一方、「現代を表現する芸術」の教育については、既存の芸術ジャンルやメディア(表現媒体)の差異にとらわれることなく、芸術の現代を表現することに特化するものであり、これに相当するのは、「ビジュアルアーツ専攻」と「コミュニケーションデザイン専攻」の2専攻である。美術作品およびデザインを表現の成果物として見るだけではなく、「変動する現代」を表象するための手段として見ようとする思想に基づいていることも含め、どちらも現代の最先端な思想と技術の習得を基本方針とするという点では共通しているものである。
 その上で、「ビジュアルアーツ専攻」では、「個人と社会の関係の変容」を変動する現代と捉え、それを根拠にして、現代絵画・立体造形・テキスタイル・インスタレーション・メディアアート・パフォーマンス・イラストレーション等を対象とし、かつそれら個別の芸術表現を相互に連携させながら制作を行うものであり、「コミュニケーションデザイン専攻」では、企業・公共・地域・個人等の間に成立している「相互のコミュニケーション」を変動する現代と捉え、それを根拠にして、視覚情報のデザインを行うといったように、どのような対象を「変動する現代」と捉え根拠・研究対象とするのか、専門的に扱う領域や成果物として何を設定するのかが異なるという点において、2つの専攻に区分している。
 このような5つの専攻を区分する2つの教育の考え方は、それぞれの論理に基づいて、現代の芸術を進歩発展させる原動力となるが、両者に通底しているのは、表現者が自己の内面を探る洞察力を深化させると同時に現代社会を構成している各種要素を見抜き、それらの要素を操作し、再構成する能力の育成である。この2つの共通点において、本学の5専攻は、1学部1学科として統合している。
学生は、1、2年次に分野の枠にとらわれずより多くの素材・技法に関する基礎的な知識や技術を総合的に学ぶとともに、2年次前期に学びたい分野や進むべき方向性を絞り込むための5専攻に関する「現代芸術演習」のうち2専攻の「現代芸術演習」を選択し、各専攻の考え方に基づいた入門制作を行ったうえで、2年次後期からいずれかの専攻に所属し、より高度な知識や技術を身に付けることとなる。
 2年次後期に所属専攻を決める際には、学生と教員が話し合いながら適性を見極めたうえで選択するが、学生の希望が特定の専攻に集中し、教員数や施設設備の規模から想定する各専攻の所属学生数を大きく超えた場合は、2年前期までの成績等により選抜する。
 このような専攻構成や学習プロセスにより、各学生の適性に応じた専攻の選択を可能にすること、学生が幅広く素材や技法に触れ体感することで、教育研究上の目的の1つである「多様な価値を交換・共有できる能力の育成」を果たすとともに、秋田にとっての有力なブランドとすべく他にはない特色を持った美術系の大学とすることを意図するものである。