学部・研究科等ごとの目的
法学部は、法律学・国際関係学における基礎的な専門知識・能力を有するとともに、高度な教養と判断力を持つ人材の育成を図ることを目的とする。
入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)
一橋大学法学部では、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、以下のとおり入学者選抜を実施します。
1.求める学生像
本学部は、本学のリベラルな学風の下、学修に関する学生の自主性を最大限尊重しつつ、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有すると共に豊かな人権感覚と社会的公共性に裏打ちされた法学の専門的素養や国際的洞察力を修得することで、法化現象の進展とグローバリゼーションの著しい社会状況を前に、将来にわたり日本及び世界の自由で平和な政治経済社会の構築と改革に寄与することのできる多様な人材を育成することを、教育目標としています。
この教育目標を達成するため、本学部は、(1)社会問題を理解するための基礎となる知識・技能、(2)論理的に思考し明晰な言葉で表現する力、及び(3)高いコミュニケーション能力を有する意欲的な学生を求めています。
(1) 社会問題を理解するための基礎となる知識・技能
実社会で生じる問題を多く扱う法学と国際関係学の学修には、学生にとっては必ずしも身近とはいえない事象も含め、日々報道される様々な社会問題に高い関心を持ち、意欲的に情報収集をして知見を広げ、自ら理解を深めようとする姿勢が重要です。そして、そのような学修の前提として、関心を持った社会問題を適切に理解するための基礎的な知識・技能を習得していることも重要となります。
そのため、学力の「知識・技能」という要素の学習成果として、大学入学前に、国語、数学、理科及び情報に関する知識を習得していること、社会問題理解の大前提となる日本と世界の地理・歴史や公民の科目の知識を習得していること、外国語を理解・活用する知識及び技能を有していることが求められます。
(2) 論理的に思考し明晰な言葉で表現する力
論理的に思考し明晰な言葉で表現する力の鍛錬は、法学部のカリキュラム全体を通じて行われることとなりますが、基礎的な能力を備えていることが入学時に求められます。そのため、学力の「思考力・判断力・表現力等の能力」という要素の学習成果として、大学入学前に、適切に論説文の読解や数学的思考の訓練等を行い、基礎的な論理的思考力・表現力を涵養してきた学生を求めています。
日本語能力に関しては、入学の時点で、様々な文章の論旨を正確に把握する能力及び比較的長い論理的文章を作成する能力を有していることが求められます。また、優れた国際的感覚を身につける前提として、英語を中心とする外国語の能力も欠かせません。入学時には、他の外国語を習得する際の基礎学力にもなる英語について、文章の高い理解力と表現力を有していることが求められます。
(3) 高いコミュニケーション能力
本学部で習得することのできる知識や能力の前提条件として、高いコミュニケーション能力は必要不可欠です。カリキュラムを全うして学位を取得するためには、ゼミナール等で主体性を持って教員や他の学生との議論に参加し、協働して学ぶことが必須となるため、相手の考えを適切に理解し、自らの考えを相手に伝わるように的確に表現することが重要です。そのため、学力の「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」という要素の学習成果として、大学入学前に高いコミュニケーション能力を身につけた学生を求めています。
日本語・外国語双方でのコミュニケーション能力は、多様化・グローバル化が進む世界の中で、立場や考えを異にする人々と交わりながら活躍してゆくための基盤となるものであり、国際関係について学ぶことを志す学生のみならず、国内の実定法を専門的に学ぼうとする学生や法律専門職を志す学生にも欠かせないものです。大学入学後にもこの能力を高める教育が実施されますが、大学入学前に、その前提となる上記の基礎的な能力を習得していることが求められます。
2.入学者選抜の基本方針
上記の(1)~(3)にかかる各受験生の能力を確認するため、次のような基本方針で入学者選抜を実施します。
(a) 一般選抜では、大学入学共通テスト及び論述式試験を基本とする第2次試験で(1)及び(2) を確認します。
(b) 学校推薦型選抜では、大学入学共通テスト及び小論文試験で(1)及び(2)を確認します。さらに、推薦書・調査書等の提出書類で(3)を、面接試験で(1)、(2)及び(3)を、それぞれ確認します。
(c) 外国学校出身者選抜では、第1次選抜の英語・小論文で(1)及び(2)を、第2次選抜の面接で(3)を、それぞれ確認します。また、私費外国人留学生選抜では、TOEFLの成績、日本留学試験(総合科目・数学コース1)の成績及び学力試験(日本語)で(1)及び(2)を、提出書類により(3)を、それぞれ確認します。
教育課程編成・実施方針(カリキュラム・ポリシー)
一橋大学法学部では、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、以下のとおり教育課程編成の考え方に基づく、学修内容及び学修方法、学修成果の到達目標、学修成果の評価方法により教育課程を実施します。
1.教育課程編成の考え方
本学部は、本学のリベラルな学風の下、学修に関する学生の自主性を最大限尊重しつつ、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有すると共に豊かな人権感覚と社会的公共性に裏打ちされた法学の専門的素養や国際的洞察力を修得することで、法化社会の進展とグローバリゼーションの著しい社会状況において、将来にわたり日本及び世界の自由で平和な政治経済社会の構築・改革に寄与することのできる多様な人材を育成することを教育目標としています。
このような教育目標を達成するため、本学部では教育課程を以下の考え方によって編成します。
(1)国内外を問わず、あらゆる社会において生じる多様な問題に対して幅広い関心を持つと共に、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有していることという学修成果を実現するため、法学部開講の法学・国際関係に関する授業科目の履修に加えて、外国語科目を含む全学共通教育科目及び他学部教育科目の履修を求めるカリキュラムとします。
(2)自由で平和な政治経済社会の構築と改革に寄与する上で必要となる法学の専門的素養や法的思考力、優れた国際感覚や国際的洞察力を有していることという学修成果を実現するため、法学・国際関係に関し、基礎法部門、公法部門、国際法部門、民事法部門、企業法経済法部門、刑事法部門、グローバル・ネットワーク論部門の各専門領域について多種多様な授業科目を開講します。また、学生の幅広い関心を育てて多様な人材の輩出に繋がるように、自由度の高いカリキュラムを採用し、学生が主体的に学修内容を選択することで、法学・国際関係において関心を有する領域を広げることも、特定領域の学修を深化させることも可能となるようにします。
(3)法学・国際関係における特定の分野について、歴史や先人の智慧に学びつつ、現代社会に内在する様々な利害や意見の対立を多角的かつ論理的に分析する能力及び将来を志向した公正かつ衡平な解決策を主体的に構想する能力を涵養するため、後期課程では自らが選択する専門分野の授業科目を深く履修することを求めるカリキュラムとします。
(4)多様な立場や考えを受け止めつつ、自らの考えについて、説得力をもって明瞭に伝える能力を有していることという学修成果を実現するため、後期課程においてはゼミナールの履修及び卒業論文の提出を必修とします。
2.学修内容及び学修方法
本学部における学修内容及び学修方法は以下のとおりです。
(1)学修の基礎となる幅広い教養と社会科学の総合的視野の獲得のため、法学部開講の法学・国際関係に関する授業科目の履修に加えて、外国語科目を含む全学共通教育科目及び他学部教育科目の履修が求められます。
(2)本学部では、法学・国際関係に関し、基礎法部門、公法部門、国際法部門、民事法部門、企業法経済法部門、刑事法部門、グローバル・ネットワーク論部門の各専門領域について多種多様な科目を開講しており、学生は自らの選択により、在学4年間を通じて、全ての領域の科目を広く学修することも、関心の高い領域の科目を集中的に学修することもできます。これらの授業科目は、学部導入科目・学部基礎科目・学部発展科目・その他学部教育科目に分類されて、学生に提示されています。上記の各部門のほとんどについて1年次から履修可能な専門科目が配置されており、入学後早い段階から自主的な学修計画を立てることができます。
また、自由なカリキュラムの下でも学修の初期段階にある学生が系統的で適切な科目選択を行うことができるように前期課程と後期課程を区別しており、学生は段階的に学修することとなります。前期課程においては、①外国語科目を含む全学共通教育科目及び他学部教育科目の履修、②法学・国際関係の基礎的能力を涵養する学部導入科目の履修、③前期指定基礎科目となっている学部基礎科目の履修が必要であり、選択領域の多様性を維持しながら、学修の基礎となる授業科目の先行履修を促すカリキュラムとなっています。
(3)法学・国際関係について、特定の専門領域にかかる体系的・集中的学修の機会を確保しています。法曹コース以外の学生は後期課程に進学すると、法学コースと国際関係コースのいずれかを選択し、それぞれ指定された部門の科目を集中的に履修することになります。これにより体系的な科目履修が確保されます。また、一橋大学法科大学院との連携協定に基づく法曹コースが設置されています。法律家を志す法学部生は、2年次から法曹コースに所属して法律学を系統的に、かつ深く学ぶことできるだけでなく、所定の要件を満たすことにより3年間で法学部を卒業することもできます。
(4)後期課程においてはゼミナールを必修とし、少人数教育を通じた高度な専門的学修の機会を全ての学生に保障しています。他の学生や教員との双方向的な議論を通じて、専門領域にかかる学力を深めると同時に、問題を多角的かつ論理的に分析する能力、自身の意見について、説得力をもって明瞭に表現する能力、他者との議論を深化させることのできるコミュニケーション能力を涵養します。また、ゼミナールにおいては、法学部における4年間の学修の集大成として、卒業論文の提出が必須となっています。
(5)なお、研究活動上の不正行為を防止するため、全学生を対象として、研究倫理教育を実施します。
3.学修成果の到達目標
法学部は、各授業科目において適切な到達目標を設定することによって、学生が以下の能力・資質等を修得することを、学修成果の到達目標としています。
①国内外を問わず、あらゆる社会において生じる多様な問題に対して幅広い関心を持つと共に、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有していること
②自由で平和な政治経済社会の構築と改革に寄与する上で必要となる法学の専門的素養や法的思考力、優れた国際感覚や国際的洞察力を有していること
③法学・国際関係における特定の分野について、歴史や先人の智慧に学びつつ、現代社会に内在する様々な利害や意見の対立を多角的かつ論理的に分析すると共に、将来を志向した公正かつ衡平な解決策を主体的に構想することができる能力を有していること
④多様な立場や考えを受け止めつつ、自らの考えについて、説得力をもって明瞭に伝える能力を有していること
4.学修成果の評価方法
本学部は、学修成果の評価のために以下の方法を採用することで、適切な教育課程の実施を確保しています。
講義科目については、論述式の筆記試験やレポート等により、シラバスで示された授業の到達目標への到達度を判定することで、成果の評価を行います。
演習科目については、試験やレポートのみならず、発表内容や議論への参加の姿勢・貢献等も考慮して、シラバスで示された授業の到達目標への達成度を判定することで、成果の評価を行います。
卒業論文の審査は、最終学年に主ゼミナールを指導した教員が、次の2つの点を基準として行います。
(i)論文が扱う学術的問題について、過去・現在における多様な立場や意見・対立する利害を多角的かつ論理的に分析し、得られた学問的知見を適切に論述していること
(ii)将来を志向した公正かつ衡平な解決策を主体的に構想するために有益な学問的知見を適切に論述していること
本学部は、成績評価の適切性・厳格性を確保するため、全学的に定められている成績評価基準に準拠して成績評価を実施すると共に、学生に成績説明請求を認めることで、成績評価に対する透明性と公平性を確保しています。
5.カリキュラムの改善
本学部は以上のカリキュラム・ポリシーに基づき、学生の能力をよりよく伸ばすことを目指して、ファカルティ・ディベロップメント(FD)等を通じ、常にカリキュラムの改善にも努めていきます。
学位授与方針(ディプロマ・ポリシー)
一橋大学法学部では、豊かな教養と市民的公共性を備えた、構想力ある専門人、理性ある革新者、指導力ある政治経済人を育成するとの理念に基づいて、1.に掲げる能力及び資質等を修得していることを2.で示す方法で確認し、卒業の認定を行い、学士(法学)の学位を授与します。
1.修得する能力・資質等
本学部は、本学のリベラルな学風の下、学修に関する学生の自主性を最大限尊重しつつ、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有すると共に豊かな人権感覚と社会的公共性に裏打ちされた法学の専門的素養や国際的洞察力を修得することで、法化社会の進展とグローバリゼーションの著しい社会状況において、将来にわたり日本及び世界の自由で平和な政治経済社会の構築と改革に寄与することのできる多様な人材を育成することを教育目標としています。
このような教育目標を実現するため、本学部においては、以下に掲げる能力・資質等の修得が求められます。
①国内外を問わず、あらゆる社会において生じる多様な問題に対して幅広い関心を持つと共に、幅広い教養と社会科学の総合的視野を有していること。
②自由で平和な政治経済社会の構築と改革に寄与する上で必要となる法学の専門的素養や法的思考力、優れた国際感覚や国際的洞察力を有していること。
③法学・国際関係における特定の分野について、歴史や先人の智慧に学びつつ、現代社会に内在する様々な利害や意見の対立を多角的かつ論理的に分析すると共に、将来を志向した公正かつ衡平な解決策を主体的に構想することができる能力を有していること。
④多様な立場や考えを受け止めつつ、自らの考えについて、説得力をもって明瞭に伝える能力を有していること。
2.修得した能力・資質等の判定方法
上の①から④に係る能力・資質を備えていることの判定は、下記の要件に照らして行われます。
(a)上の①に係る能力・資質等を確認するための要件として、外国語科目を含む全学共通教育科目及び他学部教育科目について、所定の単位を修得すること。
(b)上の②に係る能力・資質等を確認するための要件として、学部教育科目(学部導入科目・学部基礎科目・学部発展科目・その他学部教育科目)について、所定の単位を修得すること。
(c)上の②及び③に係る能力・資質等を確認するための要件として、自らが選択したコース(法学コース・国際関係コース・法曹コース)に応じて指定されている授業科目を履修し、所定の単位を修得すること。
(d)上の③及び④に係る能力・資質等を確認するための要件として、後期ゼミナールの単位を修得し、卒業論文の審査に合格すること。